さて、今回はCHET BAKERのレコードを紹介してみたいと思います。今回の盤は、数多くの言語で歌いこなすことで有名な女性歌手との共演で、4月の定番曲を演っていますよ。

「COMPACT JAZZ」 (emarcy)
数多くの言語で歌いこなすことから「歌う通訳」とも称されたイタリアの歌手、CATERINA VALENTE(ヴォーカル、ギター)とCHET(トランペット)とのデュオ編成で、1955年の録音であります。55年の秋から始まったCHETにとって初めてのヨーロッパ・ツアー中、ドイツで行われたライヴでCHETのレギュラー・カルテットとCATERINA、LARS GULLIN(バリトン・サックス)が共演しました。ライヴ後に、CATERINA側のマネジメントから、CHETのレギュラー・カルテットとの共演レコーディングをしたいという申し出がありました。ピアノのDICK TWARDZIKをはじめとするバンド・メンバーたちは断ったものの、CHETだけは乗り気だったそうです。CATERINAは「私はギターを弾けますし、BAKERさんはトランペットを吹けますから、2人だけで演奏できます」と言い、デュオで吹き込んだのが「I’LL REMEMBER APRIL」と「EVERYTIME WE SAY GOODBYE」の2曲です。CATERINAはギター演奏も軽快にこなしており、スキャットを含めたヴォーカルも魅力的です。そして、唄とギターに合わせて巧みに合いの手を打つCHETのトランペット・プレイは、饒舌ながらもスペースはきちんと残していて、お互いの邪魔は全くしていない、見事な即興演奏です。この2曲は晩年まで愛奏曲として残り何度も吹き込んでいますが、とくに「I’LL REMEMBER APRIL」のデュオ・ヴァージョンは屈指の出来だと思います。CATERINAと吹き込んだ2曲は、当時、ヨーロッパでシングルとして発売されたそうですが、現在ではオフィシャルな形としては、今回紹介しているemarcyレーベルの編集盤「COMPACT JAZZ」に収録されています。もっとも、録音から50年以上が経って権利が消滅しているので、いくつかのオフィシャルではない編集盤などでも聴くことができます。これら2曲の出来のよさを考えると、CHETとCATERINAのデュオで、もっと多くの曲を聴いてみたかったなぁと思いますよ。
みなさま、ぜひ「BAKER」へお越しくださいませ。初めての方もお気軽にどうぞ。お待ちしております。
Bar BAKER
日野市多摩平1-5-12 タカラ豊田ホームズ107