さて、今回はCHET BAKERのレコードを紹介してみたいと思います。今回の盤は、CHETにとって初めてのヨーロッパ・ツアーの際に、パリでレコーディングした音源のひとつであります。

「CHET IN PARIS VOL.4」(barclay)
1955年の秋に、CHETはレギュラー・メンバーとともに初めてのヨーロッパ・ツアーに出かけました。パリでbarclayというレコード・レーベルと複数枚分の契約を結び、早速レギュラー・カルテットで素晴らしい出来のレコーディング(以前の記事で紹介した「CHET IN PARIS VOL.1」に収録)を終え、順調なスタートを切ったかと思われました。しかし、レギュラー・ピアニストだったDICK TWARDZIKが急死し、事態は暗転します。当初組まれていたコンサートはキャンセルされ、他のメンバーたちはアメリカに帰りましたが、CHETは単身ヨーロッパに残り、現地のミュージシャンたちと多くのコンサートやレコーディングをこなしました。DICKの死のつらさを紛らわすために、あえて忙しくしていたとCHETの自叙伝には書かれています。barclayレーベルからは、当時、LP3枚、EP2枚が発売されましたが、多くの未発表録音も残されました。本作はそれらの未発表分をまとめたもので、BOBBY JASPAR(テナー・サックス)、JEAN-LOUIS CHAUTEMPS(テナー・サックス)、RENE URTREGER(ピアノ)、RAYMOND FOL(ピアノ)、FRANCY BOLAND(ピアノ)ら、ヨーロッパの名手たちを迎えたカルテット、クインテット、セクステットなどの編成で、1955年から56年にかけての録音であります。DICK TWARDZIKの後釜のピアニストにCHETが希望したRENEは、後のモード・ジャズにつながっていくような音数を抑えたプレイが印象的です。CHETとRENEは音楽的相性がよく、60年代、80年代にも共演レコーディングを残しています。DICKの死の4日後のレコーディングでは、最後に吹き込んだ寂しげな曲に「IN MEMORY OF DICK」というタイトルをつけ、彼を追悼しています。また、LPではドラムレスでスロー・テンポのバージョンが採用された「TASTY PUDDING」は、テイクを重ねるごとにテンポが遅くなり、当初は入っていたドラムスが控えめになっていくのが興味深いですよ。
みなさま、ぜひ「BAKER」へお越しくださいませ。初めての方もお気軽にどうぞ。お待ちしております。
日野市多摩平1-5-12 タカラ豊田ホームズ107