1974年10月6日19時30分。
日本のサブカルチャー界に、運命的な作品が初めてテレビにお目見えしました。そのタイトルは、「宇宙戦艦ヤマト」。今日は50年目の同じ時間に第一話を鑑賞するというイベントでした。
MC:庵野秀明監督
ゲスト:出渕裕氏、氷川竜介氏
50年の時を経た2024年の同日同時刻に上映されたのは以下のプログラム。
『宇宙戦艦ヤマト』TVシリーズ第1話
「SOS地球!! 甦れ宇宙戦艦ヤマト」
劇場初公開となる幻の8mmフィルム版
※劇場版とは異なるTVシリーズ総集編
第1部「さらば地球よ」
第2部「神よ、ガミラスのために泣け」
第3部「愛に生き 愛に死す」)
テロップが入っていないオープニング3種とエンディングが15年前に発掘され、ようやく上映許可が下りたということで、以下の話で。
第1話、第2話、第21話
※第2話のものが一番ポピュラーです。第1話はヤマトの線が青色になっていること、波動エンジンがかかっていない状態でした。
※第21話のオープニングは波動砲がまだ水をかぶっている状態で飛び立ってしまう。庵野さんに言わせると「原画が2枚足りない」とのことでした。
8mmフィルム版について
レア度については、この8mmフィルムを提供した小林氏から情報がありました。
出典:tachime
左に不思議な□がありましたが、「左右にパーフォレーションと光学トラックが見える状態」だそうです。小林さんによると、「8mmフィルム映写機による上映では絶対見ることが出来ない部分も見れちゃうまさに初モノ!」(tachime)だそうです。
ファンの方が手放したものだと思いますが、Yahooオークションに出品されていました。
※オークションはいずれも終了しています。
当時12,500円×3本で37,500円もしたんですね。小学生低学年だった私には無理無理無理。
氷川さんによると、これは1978年の劇場版のとき、スターシャが死亡していたので、問い合わせが相次ぎ、急遽企画されて1978年12月1日に売り出されたものだそうです。
何がすごかったか。
氷川さんによると、エフェクトアニメーターという部門があって、海の波や、遊星爆弾の飛来などにとてもこだわっていたそうです。「すごくなるものにはわけがある」
庵野さんと出渕さんは第1話を見逃していた。
第2話からリアルでみていたそうですが、第1話はリアルでみておらず、再放送でみたのだそうです。庵野さん曰く、「円谷プロを卒業した」とのことでした。
ヤマトの功績
庵野さん曰く、 「宮崎さんの「ハイジ」はすばらしいアニメ。でも、ハイジだけでは、テレビ漫画で終わっていた。ヤマトが出てきて、青年向けのコンテンツがでてきた。サンライズも合体ロボで終わっていた」
氷川さんによると、ガンダムがヤマトを意識していたそうです。そもそも富野さんの合言葉は「ヤマトを潰せ」だったとか。
庵野秀明さん曰く、「ガンダムはヤマトとマジンガーZを組み合わせたもの。コスモタイガーをロボットにしているから強い。ガンダム第1話はヤマトよりもよくできている。」なんだそうな。
余談ですが、「アルプスの少女ハイジ」10月6日も物語の佳境でした。クララがアルムにハイジに会いたがっているところで、二人の運命が大きく変わっていくときでした。絵コンテは富野由悠季さんw。(アルプスの少女ハイジ (アニメ) - Wikipedia)
今後のスペシャルな企画
詳細はこちらです。
「宇宙戦艦ヤマト」50周年記念 特設サイト (tfc-chara.net)
出典:Yamato50th
特にうれしかったのが、雑誌連載のまま置き去りだった聖悠紀氏が描いたテレビランド連載版「宇宙戦艦ヤマト」がいよいよ単行本になります。2025年の発売になります。今残っている原稿、そうでないものは雑誌からまとめるそうです。
記録集は氷川氏が故石黒氏から譲り受け、ATACに寄贈した設定資料などを中心にまとめるそうです。
どちらも電子書籍でもお願いしますだ~。
庵野版ヤマトの企画が進行中
庵野監督と出渕監督は「年をとったらいっしょにヤマトをやろう」と誓い合った(笑)仲だそうですが、 「宇宙戦艦ヤマト」の原作権を管理するボイジャーホールディングスから新作アニメ映像を製作する権利を付与されるとともに、東北新社から著作権の利用許諾を得たそうです。
「平たく言うと僕が新作を作ることができるようになり、『宇宙戦艦ヤマト』新作アニメを製作へ 劇場作品の企画が進行中」なのだそうです。
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庵野秀明、「宇宙戦艦ヤマト」 新作劇場アニメを制作進行中 「“ヤマト”を後世に遺していけたら」 | アニメ!アニメ! (animeanime.jp)
株式会社カラーからのお知らせ。
2024.10.06
このたび株式会社カラーは、ポイジャーホールディングス株式会社(代表取締役 西崎彰司)様より、『宇宙戦艦ヤマト』をベースとした新作アニメ映像を製作する権利を付与されるとともに、株式会社東北新社様からは著作権の利用につき許諾も得ました。
日本のアニメ作品として輝かしい歴史を持つ『宇宙戦艦ヤマト』シリーズのさらなる発展に寄与し、多くのファンに楽しんでいただける作品とすべく、2025年からのプロダクション開始を目標に新作劇場作品を現在鋭意企画進行中です。
なお、この新作アニメ映像は、2012年公開の『宇宙戦艦ヤマト2199』から始まり、2024年11月22日に第二章が劇場公開される『ヤマトよ永遠に REBEL3199』に連なるリメイクシリーズとは、異なる航路を進む作品です。 現在製作中のリメイクシリーズの航海の安全を陰ながらお祈りしております。
50年前、『宇宙戦艦ヤマト』に出会わなければ、今の自分は無かったと思います。自分がその『ヤマト』に関わる以上、あらゆる『ヤマト』のスタッフ・キャストに感謝と敬意と恩返しを込めて、新旧織り交ぜた面白い作品群を残りの人生を費やして可能な限り作り、『宇宙戦艦ヤマト』を後世に遺していけたら、と思っています。
何卒、よろしくお願いいたします。
株式会社カラー代表取締役 庵野秀明
出典:【お知らせ】 | 株式会社カラー (khara.co.jp)
鶴岡八幡宮のぼんぼりはやっぱり…
撮影日:2024年8月5日
ライブビューイング会場から撮影した御三方
入場者特典のステッカー
私にとっての「宇宙戦艦ヤマト」
このころの松本零士作品に多い傾向だけど、メカの精密さと世界が変われば見方も変わるところ、女性の美しさに惹かれました。ティーンのときは、そういう表面的な刺激が多かったです。
30代になると、氷川さんがエフェクトアニメーターに言及されていましたが、人の痛み、思い、愛をどう表現するかにとてもこだわっていたように思いました。そのエフェクトにこだわった背景には、太平洋戦争での無慈悲な惨劇、自分達が作り上げてきたものが砂塵に帰したときの絶望観が大きかったからではないかと推測しています。
そして、時代として、原爆による恐怖、戦時中の落胆と絶望、東西冷戦、高度経済成長中のあの空気感が、この物語を頂上まで押し上げたのではないかと私は思います。
そんな中、戦う意味を勝利ではなく「愛」に方向を向けたことは大きな価値の変換でした。戦う前の模索はもっとなかったのか…。その葛藤をSFを通じて後世に受け継いだことは、確かに意味があったと思います。
ただ、「さらば宇宙戦艦ヤマト」あたりから、「愛」「勝利」という言葉だけが独り歩きし、「いろいろな価値観が渦巻くなかで体験を伝える」という物語の世界観をロストしてしまったのではと思っています。
なお、富野さんはそこは賢明で、敵対する対象を地球人に限定しているので、世界観を維持しやすいというのがありましたね。そこはすごい。
庵野さんが企画するヤマト、とても楽しみです。
好きな推理作品はある?
→イチオシはアガサ・クリスティーのマープルもの。
人間描写が深いので、身近な人に置き換えて想像しやすいのがおすすめポイント。特に「火曜クラブ」はぜひ。
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