【映画】「デリシュ!」 #じゃがいも #マリー・アントワネット | いろいろといろ

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 パリのオリンピックでマリー・アントワネットのイメージが出たため、SNSで「マリー・アントワネットが処刑された理由は何なのか」というのが話題になっています。

 裁判自体ができレースだったので、罪の如何に問わず、市民の感情のはけ口のために処刑されたように私は考えています。

 

 

 市民から憎まれた理由は、ルイ・フィリップ2世オルレアン公爵がパトロンになって展開したプロパガンダによるものが大きいのですが、一部から憎まれた理由の一つが、「じゃがいも」キャンペーンです。

 

(抜粋)

 パルマンティエにとって、待ちに待った機会が到来する。フランス・アカデミーが、打ち続く凶作、国家財政の窮乏という危機的状況を打破するため、1772年「食糧飢饉を緩和する食物」についての論文を募集したのだ。彼の論文は見事最優秀賞。その後も次々に研究成果を発表していく。『ジャガイモの化学分析』(1773年)、『小麦粉を混ぜないでジャガイモのパンを作る方法』(1779年)、『ジャガイモの播種についての研究報告』(1786年)、『ジャガイモ、バター、トピナンブール(菊芋)の栽培と用法についての概論』(1789年)等々。

 彼の活動は王室の関心を呼ぶところとなり、ルイ16世は、パリ郊外のレ・サブロンの原野25ヘクタール(約6万1000坪)ほどの土地をジャガイモ栽培用としてパルマンティエに提供。ジャガイモ普及のため彼は「奇策」も用いた。まずその試験農場を柵で囲い、「これはジャガイモといい、王侯貴族が食べるものであるから、盗んだ者は厳罰に処する」と書いた看板を立てる。そして昼間は銃を持った警備の兵に物々しく見張らせる。周囲の農民たちはささやきあう。「これほど厳重な警備をするからにはうまいものにちがいない」と。その一方で、夜になると監視の兵隊を引き上げさせた。農民たちにジャガイモを盗ませるためだ。ジャガイモを食べた農民からジャガイモの評判は広まっていった。

 

 パルマンティエは上流階級の理解者を増やす試みも行う。試験農場での収穫が終わると、ジャガイモ料理だけでの宴席を設けて、多数の著名人を招待。その中には、「近代科学の父」とも称されるラヴォアジェや、雷が電気であることを実証するとともにアメリカ独立宣言の起草委員の一人にもなったベンジャミン・フランクリンなども入っていた。料理の味と満足感はジャガイモの価値を実証することになり、多くの有名人をジャガイモの理解者に転向させた。

 

 さらに王室にも強く働きかけ、ルイ16世にボタン穴に挿せるように作ったジャガイモの花束を献上。マリー・アントワネットら貴婦人たちも、美しいジャガイモの花をその髪や胸に飾り、ジャガイモの花は夜会で大流行した。

 

 パルマンティエのジャガイモ普及作戦は図に当たり、18世紀の末ごろまでには、農民の間にジャガイモ栽培が普及するようになり、フランスの食料事情は大きく改善されることとなった。1799年、ブリュメール18日のクーデタで権力を握ったナポレオンもまた、パルマンティエと彼が提唱したプロジェクトに注目し、財政援助を行った。ナポレオンは軍事的見地から食料を自給できるフランスを目指していた。そして、ナポレオンの時代にフランスのジャガイモ生産量は急カーブで上昇。ほぼ15倍になったと推定される


(抜粋ここまで)

出典:julius-caesar1958.amebaownd.com

 

と、あるのですが、「食」としてはなかなか広まらなかったようです。

 

(抜粋)

 フランスは17世紀に11回、18世紀に16回の飢饉に見舞われた。とりわけ18世紀が過酷だった。この休みなく民衆を直撃した飢饉は、1789年に勃発するフランス革命の背景にもなっている。しかし戦争が終わって帰国したパルマンティエが見たのは、飢饉に苦しみながらも、百年一日のごとくムギ作りにこだわり、馴染みの薄いジャガイモの栽培には手を出そうとしない農民たちの姿であった。啓蒙活動は行われていた。1761年、リモージュ県の知事テュルゴー(後にルイ16世の財政立て直しのため財務総監に就任)は、傍らに農夫数人を座らせ、衆人環視の中でジャガイモを口に入れた。こうすればジャガイモが毒でないことを皆納得するはずだと。しかし、偏見は容易には揺るがない。
(抜粋ここまで)

出典:julius-caesar1958.amebaownd.com
 

この時代の偏見とは…

 

ふんわりウイングその見た目からハンセン病を起こすと考えられていた

 

ふんわりウイング聖書にのっていないものは食べない

 

 「ジャガイモが「聖書に載っていない」とは具体的にどういうことなのかというと、 創世記第1章11節と12節で記述された植物の定義にジャガイモが当てはま らないということです。創世記では植物は「種をもつ」ものでなければならない のですが、ヨーロッパにはそれまで芋が存在しなかったことから、種芋で実を 作るジャガイモは種を持たずに増える植物と認識されてしまいます。従って、 創世記に書かれた神が創り給うた「種を持つ」植物とは違うものだから、悪魔 の食べ物に違いないと思われてしまったのです。つまり、聖書による神の被造 物としての植物の定義に合わないジャガイモが、悪魔の被造物として、一部の 敬虔な(迷信の強い)地域や宗派によって禁止されたのです。
出典:Yahoo知恵袋

 

ふんわりウイング見てくれが悪い

 

1771年の新聞での論争

「ノルマンディ地方のある男が怒ってこう言い立てた。ジャガイモパンをつくるため水を使うと、その水が直ちに黒っぽく変色した。腐ったものが入っている証拠だ。ジャガイモは危ない。まともな人間は誰もこんなもの食わない」

 

 ということで、地方に行けば行くほど、キャンペーンしていた国王夫妻への印象はすこぶる悪かったのではないかと。

 

そんな時代を描いたのが2021年のフランス映画「デリシュ!」です。

 

 

概要:

フランス革命前夜の18世紀フランスを舞台に、世界で初めてレストランを作った男の実話をもとに描いた人間ドラマ。

1789年。宮廷料理人マンスロンは、創作料理「デリシュ」にジャガイモを使用したことで貴族たちの反感を買って解雇され、息子を連れて実家へ帰ることに。ある日、マンスロンのもとに謎めいた女性ルイーズが料理を習いたいと訪ねてくる。彼女の熱意に負けて料理を教えることになったマンスロンは、失っていた料理への情熱を徐々に取り戻していく。やがてマンスロンはルイーズと息子の協力を得て、一般人のために開かれた世界初のレストランを開店する。
出典:映画.com
 

ふんわりウイングスタッフ

監督:エリック・ベナール
製作:クリストフ・ロシニョン フィリップ・ボエファール
製作総指揮:
イブ・フランソワ=マシュエル
脚本:エリック・ベナール ニコラ・ブークリエフ
撮影:ジャン=マリー・ドルージュ
美術:ベルトラン・セーツ
衣装:マデリーン・フォンテーヌ
音楽:クリストフ・ジュリアン

マンスロン:グレゴリー・ガドゥボワ
ルイーズ:イザベル・カレ
シャンフォール公爵:バンジャマン・ラベルネ

 

ふんわりウイング公式サイト:

映画『デリシュ!』オフィシャルサイト 2022年9/2公開 (ayapro.ne.jp)

 

当時の様子を再現しているので、私はイチオシの映画です。この中の牧師の言葉が辛辣。

 

カメラ「トリュフとじゃがいもは豚のえさだ」

 

 貴族と僧侶は「地面から上」のものしか食べちゃいけないそうです。

 

 セットと中の人によって醸し出される時代の空気感。ちなみに今や世界三大珍味のひとつであるトリュフがこんな扱いだったなんて…絶望

 

 でも、

 

 国王と王妃のキャンペーンによって、徐々に広まり、飢饉で餓死する人も少なくなり、ナポレオン帝政につながっていくんですね。やっぱり「食」って大事。フランス革命を食の面で描いている作品なので、今回のオリンピックを機会にソフトを買いたいなと(しまう場所がない…)

 

 

 

 

 

ではでは。

 

メモ関連サイト

右矢印映画『デリシュ!』オフィシャルサイト 2022年9/2公開 (ayapro.ne.jp)

右矢印Délicieux (2021) - IMDb

 

 

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