【映画】第95回全米アカデミー賞ノミネートと「イニシェリン島の精霊」鑑賞 | いろいろといろ

いろいろといろ

「いろいろ十色」ちょっとした振り返りのためのブログです。
※何かお気づきの点がありましたら、メッセージ(左メニュー「メッセージを送る」)でご連絡ください。
※特別な記載がない限り、記事と画像の転載はご遠慮ください。

 

1月24日に全米アカデミー賞ノミネート作品が発表されました。

 

 

主要8部門で9ノミネートされているのが、1月27日から公開されている「イニシェリン島の精霊(原題:The Banshees of Inisherin (2022) - IMDb)」です。

なんと、主要8部門で9ノミネート!!


作品賞
監督賞 マーティン・マクドナー、
主演男優賞 

 パードリック役 コリン・ファレル、
助演男優賞 

 コルム役 ブレンダン・グリーソン、
助演男優賞 

 ドミニク役 バリー・コーガン、
助演女優賞 

 シボーン役 ケリー・コンドン、
脚本賞 マーティン・マクドナー、
作曲賞 カーター・バーウェル、
編集賞 ミッケル・E.G.ニールセン

 


サイト:

The Banshees of Inisherin (2022) - IMDb

イニシェリン島の精霊|サーチライト・ピクチャーズ公式 (searchlightpictures.jp)

 

ニュース:

『イニシェリン島の精霊』第95回アカデミー賞®<主要8部門9ノミネート>! (searchlightpictures.jp)


参考:



 

メモ概要
 

第74回ヴェネチア国際映画祭で脚本賞、続く2017年度トロント国際映画祭で最高賞の観客賞を受賞、さらに主演のフランシス・マクドーマンドに2度目のアカデミー賞主演女優賞をもたらし、その年、映画ファンを最も興奮、震撼させた傑作『スリー・ビルボード』から5年。いまなお演劇界・映画界の最前線に立つ鬼才マーティン・マクドナーの全世界待望の最新作。 本作の舞台は本土が内戦に揺れる1923年、アイルランドの孤島、イニシェリン島。島民全員が顔見知りのこの平和な小さい島で、気のいい男パードリックは長年友情を育んできたはずだった友人コルムに突然の絶縁を告げられる。急な出来事に動揺を隠せないパードリックだったが、理由はわからない。賢明な妹シボーンや風変わりな隣人ドミニクの力も借りて事態を好転させようとするが、ついにコルムから「これ以上自分に関わると自分の指を切り落とす」と恐ろしい宣言をされる。美しい海と空に囲まれた穏やかなこの島に、死を知らせると言い伝えられる“精霊”が降り立つ。その先には誰もが想像しえなかった衝撃的な結末が待っていた…。

出典:イニシェリン島の精霊|サーチライト・ピクチャーズ公式 (searchlightpictures.jp)

 


 

メモ感想

 

ふんわり風船星キャラクターが立っている。

 

デビッド・リンチ監督の「ツイン・ピークス」を彷彿とさせるほど、変人ぞろい…。読書家のシオバンを除いて、パードリックとコルム、ドミニク、ドミニクの父の警官、パードリックがミルクを売りに行く小売店兼郵便局の文盲の店員、そして、異様な存在感をはなつマコーミック夫人…。

 

ふんわり風船星ロケーションがすごい。


嵐が丘を彷彿とさせる荒野

出典:The Banshees of Inisherin (2022) - IMDb

 

背後の絶壁に怖さましまし…絶望

 出典:The Banshees of Inisherin (2022) - IMDb



 

 

 

注意注意注意以降 ネタバレ です注意注意注意

 
 
 
1923年、実は島の半分くらいは文盲ではないかと。いい味でしていたのは、小売店兼郵便局のおばさん。「ニュースはないか」とねだるが、「死体が浮いた」「●●がつかまった」といった情報に惹かれる傾向があります。また、人の手紙を勝手に開く割には、内容はわかっていなかったよう…。
 
 そんな中で、コルムは何かひとつ残そうと一念発起したのだと思われます。そこに水を差しにくるのがコリン・ファレル演じるパードリック。コルムはパードリックや故郷のために歌を作ります。それがこの映画のタイトルになっている「The Banshees of Inisherin (2022) - IMDb」。
 ただ、その言い方がまずくて、親友であるパードリックとどんどん距離が開いていくんですね。
 
 一方、パードリックは、いきなり拒絶されて戸惑ってしまいます。ただ、彼もコルムの心の奥底まで洞察することができず、表情や言葉に惑わされます。コルムは右手の指を全部切り落とします。切り落とした指を食べたパードリックのロバ馬、ジェニーは急死。
 
 個人的な見方ですが、本当はコルムは唯一信頼がおける友人として、パードリックを認めていて、自分の体の一部を失ってもいいくらい、信じていたんだと思います。自分の時間と信頼がほしいと願ったのにも関わらず、パードリックは錯乱して、その挙げ句に、コルムを殺そうとコルムの家を焼いてしまいます。
 
 コルムの作っている歌が「バンシー」と言うのを聞いて、アイルランドの民話に出てくるバンシーのことを思い出しました。日本では、山岸涼子先生がバンシーついてコミックにしています。死の予告をし、生け贄を要望するバンシー(精霊)と黒衣のマコーミック夫人が重なります。


一番印象的なバンシーのシーン。

 出典:The Banshees of Inisherin (2022) - IMDb


 写真はないけど、異様な存在感なんです。ツイン・ピークスの丸太おばさんに匹敵します。パードリックに「まもなく二人の死体がでる」と予告し、ことあるごとにパードリックとシボーン兄妹にゆっくり手招き。それは、この世のものではない感じでした。

 バンシーが欲した二人の死体。それは、シボーンに言い寄ろうとしたドミニクとロバのジェニー。ロバといっても、ジェニーはパトリックにとってはかけがえのない友人でした…。

 

 

 万人受けはしない内容ですが、イギリスが好きで、IRAやアイルランド紛争に興味がある人は当時の雰囲気を知るのに、いい資料になるかもしれません。

 

 私はというと、閉塞的な社会の人々と都会から来た人の軋轢を描いた溝口正史氏の小説や映画が思い浮かび、世界観に浸っていました。もし、続編でドミニクの水死体を調査するための捜査官がもし呼ばれるとしたら、どんな人でしょうか。金田一耕助的な人か、はたまたクーパー捜査官みたいな超美形だったらいいなぁ~飛び出すハート

 

 花束おすすめ