【読書】2020年2月に読んだ本 | いろいろといろ

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年が明けたと思ったら、もたもたしているうちに2月も過ぎてしまいました。2月に読んだ大作は「オペラ座の怪人」です。

映画、ミュージカルに翻案されましたが、原作はかなりイメージが違いました。

 

(ミュージカル鑑賞時のレポートはこちら

 

父母は劇場関係者やバレリーナではなく、ルーアンの石工の息子。

建築の素養があってオペラ座の建築も手がけた。だから、いろいろな仕掛けを知っている。

 

■地下の湖

オペラ座はナポレオン三世のチュイルリー宮殿から近い場所というリクエストで今の場所に作られたそうです。ですが、地下水のレベルが高いという問題がありました。この問題に対処するために、ガルニエは湿気から上部の建物を守るために水路と巨大なコンクリートの貯水池(cuve)を組み合わせるという二重の基礎をデザインしたのだそう。両方とも基礎壁の外からの地下水のからの重圧を和らげ、防火用貯水池として機能させるものとされたそうです。

ウィキペディア:ガルニエ宮

 

■ルイ・フィリップ様式の部屋

最後のシーンでエリックがクリスティーヌ・ダーエを閉じ込めるのがこの部屋。エリックはこんなふうにクリスティーヌ・ダーエを脅します。

 

「さあ、この小さな青銅製の鍵で、ルイ=フィリップ様式の部屋の暖炉に載せた黒檀の箱があく。ひとつの箱にはサソリが、もうひとつの箱にはバッタが入っている。青銅で本物そっくりそっくりに作った日本製のサソリとバッタが、求婚に対する答えだ。軸に取りつけたサソリをまわして、下にむけるだけでいい。わたしはルイ=フィリップ様式の部屋、婚約の部屋に戻ってきたときそれを見て、おまえが結婚を受け入れたとわかる。 」

 

19世紀後半、江戸時代に作られて海を渡ったサソリとバッタがフランスで物語の大事なキーになっているなんて。また、ナポレオン三世が帝位につく前に流行したルイ・フィリップ様式の部屋ということで、その豪華さを想像させます。

 

(出典:フランスのレストレーションとルイ-フィリップ様式

(抜粋)

ルイ・フィリップ様式とはレストレーション様式とルイ・フィリップ様式の最大の特徴は、 やはり使いやすさ、扱いやすさが考慮されたシンプルさではないでしょうか。 主にエンパイヤ様式のデザインを残したまま、 快適さを求められ進化したレストレーション様式、 レストレーション様式から真鍮の飾り等の過度な装飾を排除し、 且つ中流階級の憧れだったロココスタイルのリバイバルの要素を取り入れたルイ・フィリップ様式

(抜粋ここまで)

 

■コミューン期の牢獄

ラウールが閉じ込められるのはパリ・コミューンで捕まった人が捕らえられた牢獄。

 

「オペラ座の怪人」はところどころに前世紀から続く革命の足跡も残した小説だったのかもと思いました。

 

 

で、長くなりましたが、今月読んだ本の一覧です。

 


2月の読書メーター
読んだ本の数:6
読んだページ数:1805
ナイス数:12

ミステリと言う勿れ (6) (フラワーコミックスアルファ)ミステリと言う勿れ (6) (フラワーコミックスアルファ)感想
雑誌連載で読んでいましたが、単行本で読むと通読のおもしろさ。謎の伏線がいろいろ。整くんを監視しているガロくんの叔母って?ライカはいつまで生きている?千夜子は今どこに?カウンセラーって?
読了日:02月29日 著者:田村 由美
王妃マルゴ 8 (愛蔵版コミックス)王妃マルゴ 8 (愛蔵版コミックス)感想
いままでのマルグリット王妃のイメージが変わりました。母カトリーヌ・メディシスとの確執を背負った生涯。でも、母としての愛を知った安らぎの日々を得たというラストにほっとしました。(フィクションですが)。カトリックとプロテスタントとの闘争、ノストラダムスの予言に囚われた3人のアンリ。絡まった糸をほどきにまた最初から読もうと思います。
読了日:02月25日 著者:萩尾 望都
シャーデンフロイデ 他人を引きずり下ろす快感 (幻冬舎新書)シャーデンフロイデ 他人を引きずり下ろす快感 (幻冬舎新書)感想
いままで「人の悪口を言う人はなんのメリットがあるのか」「おんなじようないじめの手口が数十年も続く(最近さらに陰湿化)」のが不思議でした。そのこたえを見つけたように思います。特にジョーンズの学生に対して行った実験で学生らのヒトラー・ユーゲント化には恐怖を覚えました。
読了日:02月23日 著者:中野信子
オペラ座の怪人 (光文社古典新訳文庫)オペラ座の怪人 (光文社古典新訳文庫)感想
映画「オペラ座の怪人」ミュージカル「ファントム」を見たので、原作を知った気にになっていました。オペラ座を舞台、醜悪な怪人、歌手クリスティーヌ・ダーエ、落ちたシャンデリアというエッセンスは同じだけど、エリックはパリ生まれではなく、もともとはルーアンに近い村の石工の生まれで建築家の素養があった人だし、庇護していたのはペルシャ人のダロガだし…。10年以上、北はロシアから南はモロッコまで記者として活躍していたルルーだからこそできた描写があり、実は想像していたよりも大スペクタクルでした。
読了日:02月03日 著者:ガストン ルルー
ローマへの道 (小学館文庫)ローマへの道 (小学館文庫)感想
すぐれたバレエを観賞必ずよみたくなるのは、この作品。テクニカルな面だけではなく、究極の美を追求するためには、自分と向き合うことの大事なんだと考えさせられます(毎回)。
読了日:02月01日 著者:萩尾 望都
フラワー・フェスティバル (小学館文庫)フラワー・フェスティバル (小学館文庫)感想
社会人になってから初めて読んだバレエ漫画。当時、イギリスから帰国したばかりでしたが、ロンドンの情景が懐かしく、何度も読み耽ったものでした。そして、この作品で、リアルなバレエの魅力に開眼しました。
読了日:02月01日 著者:萩尾 望都

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