ミュージカル「エリザベート」、暗殺者のルケーニが重要な役どころということで、食わず嫌いしていたんですが、今回、VIXXのレオさんがトート役をやった関係で、予習してしっかり見てきました。ミュージカルの骨子、脚本、音楽、どれをとってもすごいミュージカルでした。
■ルケーニと彼が配るキッチュ(Kitsch)
以前にも同様の記事を起こしております。こちらをご参照ください。
(オリジナル歌詞抜粋)
「100年以上も前からみんな彼女のことを話題にしています。
でも、本当の彼女がどうだかは
どんな本からも
どんな映画からもわかりませんよ。
何が彼女を神様に仕立てあげたのか
何が彼女を善望の的にしたのか」
誰か注目を受けていた人(例えば、ダイアナ妃)が亡くなると、「○○の真実」本が巷に蔓延しますが、このミュージカルでは、「本当のところはわからない」とまず大きく一歩さがって作っているところが、斬新だと思います。また、「キッチュ」の考え方はやっぱり、ジャン・ジャック・ボードリヤールの著作からインスパイアされたものだと思います。ちなみに彼の著作は日本でも「オタク文化」の分析でよく引用されています。
で、ルケーニが配っているこのエリザベートのトレカやカタログ。
これらは、1992年ミュージカルが公演されていた時期のウィーン郊外につながっていると思います。劇場から出れば、エリザベートや皇帝が住んでいた王宮があり、皇帝が皇后を偲んで作らせた石像があり、今ではミュージアムまで!!実は、この「ルケーニ」、皇后エリザベートが生きていた19世紀後半と観客の現在(1992年ミュージカル初演当時)をつないでいるんじゃないかと思いました。
#今の私のkitsch
■「死」の擬人化
「死」という普遍的な概念を役に割り振ったたのはすごい発想だと思います。初演時、その外見はシシィが心酔した詩人ハインリヒ・ハイネや、ロック歌手のデヴィッド・ボウイがモデルとなっていたそうです。初演当時のセックスアイコン、アイドルが「死(Der Tod)」とされていたんですね。逆に宝塚は女性がトート役を演じているため、エリザベートの分身という見方もできそうです。ところで、今回のEMKミュージカルのTodは、「白鳥の湖」のロットバルトやルキーノ・ヴィスコンティの映画「Ludwig」からもインスパイアされてそうな感じがします。特に、下の予告動画の1分すぎに出てくるルードヴィヒの装いは第二幕に「医者」として出てくるTodに雰囲気が似ています。
そして、パク・ヒョンシクさんは「Ludwig」で主演だったヘルムート・バーガーを意識してそうな気がします。
実は、2016年「Ludwig」のデジタルリマスター版のブルーレイが出たときに、ヒョギたんにあげたことがあります。彼が映画関係の仕事に就くのであれば、資料として役に立つかなと思って。そして、ブルーレイだったら、視聴できますからね。でも、たぶん、レオさん見てないだろうな…😞。
(参考)
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「死」の考え方についても、脚本家の深い洞察があると思います。エリザベートの周りにずっと「死」がつきまとうわけですが、それはエリザベートに限ったわけではなく、今生活をしている私たちすべてに言えることですよね。若い世代は「死」を憧れのアイコンとしてみるでしょうし、世代があがればあがるほど、「死」か「死にかけた場面」に直面しているわけで、「死」の本質を考えることが多くなっているのではないでしょうか。
「死の誘惑」
私も「宮川泰氏のように寝ている間に往生できれば」と真剣に考えた時期がありました…。そんなときに、亡くなったSHINeeのジョンヒョンが夢に現れました。あのときの本音を言うと、「いっしょに連れていってほしかった。」。今は笑い話ですが。レオさんのトートをみながら、そんなことを思ってたんですよね。
今回、レオさんとヒョンシクさんのトートだけを見たのですが、少しコンセプトが違うのかなと思いました。ドラマをやっているということもあって、ヒョンシクさんは演技派かな。特に医者として出てくるところで、二人の違いを感じました。ヒョンシクさんのトートは、観客側にはシルクハットのつばを折って、ルートヴィヒばりの横顔を観客に向けて颯爽と登場するのですが、片側の顔はシルクハットの陰で見せないようにしていたんですね。TwoFaceというのか、「人間」と「魔」の二面性を表現したかったのかなと思いました。
逆にレオさんは、シルクハットを目深にかぶり(2回目見たときはつばを折ってくれていたんですが…。もしかしたら、ひとつしかなくて、サイズが合わないという可能性も…😅)、観客からは「死」とはわからないように現れます。レオさんは「知らないうちに忍び寄る魔性」を表現したかったのかもしれません。
■最後に
キッチュと現在わかっている情報で過去と現在をつなぐ「ルケーニ」、普遍の概念…というか必ず私達が経験する「死」を現代の誘惑的な男性像に置き換えることで、「エリザベート」はこれからも、その魅力を損なうことなく、輝き続けるのだろうな…なんてことを思いました。






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