真夏の方程式 ⑯
「じゃあ帰るか」
そう言って二人で86に乗り込んだ。
すると史が急に真顔になった。
「待って」
「ん?」
「大事なものを忘れてる」
「一通り揃ったんじゃないのか?」
「忘れてる」
史は断言した。
「……」
「ライディングブーツよ」
「ああ、ブーツか」
正直、まったく頭になかった。
「くるぶしを守るためのライダーの基本装備」
「この前の事故では、くるぶしは無事だったからな」
「転倒したとき、足首をバイクと路面に挟まれて大ケガするケースも多いらしいわ」
「確かに……」
俺はうなずいた。
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