三つ目の奇跡。
シータは、少し真顔になって言った。
「まあ、あとはケガの領域の話だから、俺よりお前の奥さんのほうが詳しいかもしれないが……」
「あれだけ肋骨が折れて、肺を突き破らなかったのは、外科の友人に聞いたが、かなりラッキーらしいぞ」
「それに、内臓破裂が一か所もなかったのも、相当運がいい」
少し間を置いて、シータは続けた。
「あと、これはちょっとホラーな話だが……大型のイノシシは、人と接触すると、よく人間の指を食いちぎるらしい」
「バイク屋に聞いた話だが、お前のバイクのフロントブレーキローターは、ぐにゃっと曲がっていて、イノシシの毛が付いてたそうだ」
「イノシシも相当痛かったろうな。慌てて逃げていったなら、指を食われずに済んでラッキーだったな」
「……シータ、ありがとな」
俺は心から感謝した。
三か月という短期間で社会復帰できたのも、シータのおかげである。
「いや……俺たちは、お前の奥さんやお嬢さんに、合わせる顔もない」
少し照れたように、だが真剣に、シータは続けた。
「ただ、奥さんや娘さんの許しが出たら、いつでもK-1に戻ってこい」
「ただし、顧問扱いで、バトル参加は禁止だがな……」
「そりゃいいな。ぜひ参加するよ」
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