二つ目の奇跡。
シータはリュックサックから何かを取り出しながら、ニヤリと笑って言った。
「ところで山ちゃん、両膝の具合はどうだい?」
「え? いや……両膝は、かすり傷ひとつしていない」
自分でも不思議だった。なぜだろう。
「山ちゃん、俺の言葉、覚えているか?」
「何のことだ?」
「事故で膝をやると厄介だ。まともに歩けなくなる。俺はそう言ったんだよ。覚えてるか?」
「あ……覚えてる。それでワークマンに行って、膝パッドを買ったんだ」
シータは俺の目の前に、膝パッドを放り投げて言った。
「お前の膝、このパッドのおかげで奇跡の“かすり傷なし”だぜ」
俺は記憶をたどったが、事故の日、なぜ膝パッドをしていたのか思い出せない。
俺は、本当に膝パッドをしていたのか……。
そう。これが二つ目の奇跡。
もし膝を丸出しにしていたら、もうまともには歩けなかっただろう。
なるほど。
ツーリングにもかかわらず、無意識に膝パッドを巻いていた...。
そういうことなのかもしれない。
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