突然の試練。序章
2月1日(日)。
近所に住む叔父の米寿と、俺の全快を祝おうと、街中のホテルで会食することになっていた。
俺は長女の車の助手席に乗り、ホテルの地下駐車場で降りた。
長女とホテルのレストランへ向かって歩いているとき、彼女がふと口にした。
「お父さん、歩き方が変よ。左足を引きずってる」
「……硬膜下血腫かもしれない」と長女がつぶやいた。
先月、大学病院での脳外科研修中に見た症例が、頭をよぎったらしい。
「まさか……」
俺は意識して左足を高く上げながら歩いてみた。
だが、意識とは裏腹に、左足の靴底が地面を擦る。
このままでは、間もなく歩けなくなる――
そんな強い予感が、急に胸を貫いた。
「彩、ちょっと待ってくれ」
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