地域戦略部には戦略が無い(211)経営者の気概 | cb650r-eのブログ

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経営者の気概

旭社長は声を強めた。
「加えて、富山には“我が社も上場するぞ”という気概の経営者が多い。デメリットを承知の上で挑戦する。地元経済を牽引する存在になりたいという強い思いがあるのです」
「地元愛か…」大杉主任がぽつりとつぶやく。
「経営者の意気込みそのものが地域の空気を変えているのですね」天野次長も感慨深げだった。

予定時間を過ぎるほど熱心な視察となったが、最後に天野次長が深々と頭を下げた。
「旭社長、本日は貴重なお話をありがとうございました。大きな学びを得ることができました」
「こちらこそ。商人の街・大阪から富山の企業を見学いただき光栄です」

研究所の沼田主任も一礼し、視察は終了した。

帰りの車内で、大杉主任が窓の外を眺めながら言った。
「地方の人口減少や若者流出って、解決は簡単じゃないですけど……少なくとも富山にはヒントがありましたね」
「ええ。企業の気概と地域の支え合い。その組み合わせが、この街を強くしているのだと思うわ」天野次長が静かに答えた。

磯料理「松月」

富山経済研究所に戻ったあと、沼田主任研究員も誘い、夕食会場の磯料理「松月」へタクシーで向かった。
すでに日は落ち、外は深い闇に包まれている。

「いかにも料亭って感じで、いい雰囲気ですね」
暖簾をくぐりながら大杉主任が感心する。

 



座敷に案内されると、沼田主任が地元らしく解説を始めた。
「松月は明治44年創業。この岩瀬港町は北前船の寄港地として栄え、当時は廻船問屋が軒を連ねていました。ここでは今も富山湾の新鮮な地魚を生かした料理が楽しめます。なかでも白えびは県の名産。200匹を使って作る“白えび団子”は名物ですね」
「へぇ~、それはすごい」大杉主任が思わず声をあげた。



海鮮懐石のコースが始まる。
刺身、焼き物、煮物――次々と運ばれてくる料理に、思わずため息がもれる。
「やっぱり、おいしいわねぇ、富山の食事は」天野次長が箸を止めて言った。

 



盃を傾けながら、天野次長は今回の視察の目的を率直に語った。
「関西でもコンパクトシティを目指す都市はあります。ただ人口減少や若者流出はどこも悩みの種で…」
「なるほど。いい勉強になったようですね」沼田主任が微笑む。
「ええ。大阪に戻ってコンサルティングのプラットフォームを作りたいと思っています。もちろん時間はかかりますけど」

和やかな宴は夜更けまで続いた。

 

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