地域戦略部には戦略が無い(208)世界一美しい | cb650r-eのブログ

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世界一美しい

「さあ、次長!世界一美しいスタバ――環水公園店に行きましょう!」
「……仕方ないわね。せっかくだから寄ってみましょうか」
「そう来なくっちゃ!」

秋の紅葉が彩る環水公園。水辺に映えるガラス張りのスターバックスは、確かに“美しい”と呼ぶにふさわしい姿だった。
「紅葉の季節に来られて良かったわね。本当に素敵だわ」天野次長がしみじみと言う。
二人は短いコーヒータイムを楽しんだ。

 



さて、夕食である。
二人は富山県の第三セクター鉄道・万葉線の新湊港線に乗り、新町口で下車した。駅から歩いてすぐの場所にある「割烹 かわぐち」。千﨑部長が予約してくれた店だ。

 


割烹 かわぐち

「外見は…普通~のお店ですねぇ」大杉主任が首をかしげる。
「でも、部長おすすめなんだから、間違いはないと思うわ」天野次長は冷静に返す。

店内に入っても、派手さはなく落ち着いた雰囲気。
「ここ、本当にカニのコースなんですかね」大杉主任が小声でつぶやく。

 

 

仲居さんが丁寧に料理の説明をしてくれた。
「当店は白エビやズワイガニなど、富山湾の海の幸が自慢でございます。本日は、旬のズワイガニをふんだんに使ったコースで承っております」

運ばれてきた料理に、二人の表情が一変する。
最初の一口を味わった瞬間、天野次長が思わず声を漏らした。
「……おいしい。今まで食べたことのない味だわ」
「ほんとですねぇ…!」大杉主任はもう言葉にならず、夢中で箸を動かしている。



焼きガニ、カニ刺し、カニ鍋――次々と運ばれる品に、二人はすっかり魅了された。

やがて食事を終え、会計へ。
法人カードを手にした天野次長は、明細書を見て小さくつぶやく。
「……副部長じゃないけど、これは結構いったわね」
「だって地酒がおいしすぎたんですよ。つい、ジャンジャンいっちゃいました」大杉主任はご機嫌だ。
天野次長は苦笑しながらカードを財布にしまう。
「まあいいわ。今日は学ぶことも多かったし、ご褒美ということで」

二人は、ほんのり酔いを帯びた頬で店を後にした。

 

このブログの内容はフィクションです。 実在の人物や団体などとは関係ありません。