千葉は眼鏡をかけ直し、真顔に戻った。
「そうか。……いいでしょう。俺も久々に“大阪”で話してみたくなったよ」
胸の奥が熱くなる。
――これで基調講演は決まった。
だが、戦いはまだ終わらない。
フォーラム全体の設計、他の登壇者との調整、ライバル企業との競合――課題は山積みだ。
応接室を出ると、永田町の夕暮れが広がっていた。
ビルの谷間に沈む夕陽が、空を朱に染めている。
俺は拳を握りしめ、つぶやいた。
「行けるぞ、成瀬。ここからだ」
「はい。やっとスタートラインに立てましたね」
二人で並んで歩き出す。
四十年ぶりに再会した旧友の言葉を胸に、俺は心の中で固く誓った。
――このフォーラム、必ず成功させる。
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