お味はどう?
やがて料理が運ばれ、3人は静かに箸を進めていった。

しばしの沈黙。
語られることは少ないまま、それぞれが目の前の握りに向き合っていた。
やがて食事が終わると――
「さて、大杉さん。お味はどうだった?」
伊達木社長が問いかける。
「はい……」
大杉主任は一呼吸おき、ゆっくりと答えた。
「大阪の人間には、十分おいしく感じられました。でも……」
「天野さんは?」
伊達木社長が向き直る。
「はい……」
天野次長は、慎重に言葉を選びながら話しはじめた。
「ご馳走になっておいて非常に恐縮ですが……正直に申し上げると、
私たちが求めている“お寿司”とは、少し違う気がしました」
「違う、というと?」
伊達木社長の目が細くなる。
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