この案件は…。
時計が11時30分を回ろうとしたころ、市の職員が控えめに声をかける。
「そろそろお時間となりますが……」
そのタイミングで、静かに立ち上がったのは永富理事長だった。

「私から、一言よろしいでしょうか」
場が自然と静まり返る。
「大阪ビジネスコンサルタンツさんのご提案、大変興味深く拝見しました。この案件は、今回限りの話にしてしまうのは、もったいない。ぜひ、継続案件として取り組んでいきたいと考えています。そしてもちろん、引き続きのコンサルティングは、OBCさんにお願いしたい」
その言葉に、天野次長はすっと立ち、お辞儀をした。
「ありがとうございます。心より感謝申し上げます」
永富理事長は続けて、ふと視線を横に向けた。
「せっかくご同席いただいたことですし、伊達木社長にもご感想をうかがえれば」
促されると、伊達木社長は静かに席を立ち、よく通る声で語り出した。
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