長崎スタジアムシティ
「ところで、土曜日は何を?」
大杉主任が尋ねた。
「サッカーの試合、観に行こうよ。スタジアム・シティで」
いたずらっぽく笑いながら、伊達木社長がさらりと言う。

「ほんとですか?」
大杉主任の目が、ぱっと明るくなる。
「あなたたちの食事代も、延泊分のホテル代も、他にかかる費用も――全部、私のポケットマネーで出してあげる。もちろん、千﨑さんには私からきちんと連絡しておくから、安心して」
「やったー!」
大杉主任が思わず両手を挙げて喜んだ。

そんな様子を横で見ながら、天野次長は小さく笑い、静かに口を開いた。
「伊達木社長。ところで――その見返りに、何を差し上げればよろしいでしょうか?」
伊達木社長はにっこりと微笑む。
「そうねぇ。じゃあ、車での移動中にでも……あなたたちが長崎に来た“本当の目的”、聞かせてもらおうかしら」
その笑顔は、どこまでも軽やかで――けれど、どこか核心を突いていた。
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