地域戦略部には戦略が無い(97) | cb650r-eのブログ

cb650r-eのブログ

ブログの説明を入力します。

長崎の寿司で一番いちばん美味しいのは?

「ところでね、私がもう一つ気になってることがあるの」

と、天野次長が少し真顔で言った。

「実は長崎って、水産業がとても盛んで、日本で最も多くの種類の魚が獲れる地域なのよ」

「へぇ〜、そうなんですか!」

「そう、それで“寿司屋の店舗数”とか、“マルシェ(=食の集積地)”の話に繋がってくるわけ」

「あっ、なるほど!海の幸が豊富だから、“寿司”と“マルシェ”で地域を活性化できるかもしれないってことですね?」

「そう。ひょっとすると、“寿司屋”と“海鮮マルシェ”が、沈みかけている地方都市・長崎を救う、未来の救世主になるかもしれない」

「へぇぇ〜……!」

「でもね、長崎の寿司でいちばん美味しいのは……」

と、天野次長はふと天井を見上げた。

「……なんですか? じらさないで教えてくださいよ、次長!」

「――皿うどん」

「えぇ〜っ!? 寿司屋で、皿うどん!?」
 

 

「ふふ、まあ、嘘じゃないのよ。もう40年も前の話だけどね。たとえば、親戚が集まる時とか、引っ越しの手伝いをしてくれた人へのお礼とかで、お寿司を取るわけ。巻き寿司とか、稲荷寿司とかが多いけど」

「昔ながらの家庭って感じですね」

「そうそう。でね、そのお寿司と一緒に、必ずって言っていいほど、大皿の“皿うどん”も頼むのよ」

「……なんでですか? 意味が分かりません」

「だよねぇ……」

と、天野次長がぽつりとつぶやいた。

ちょうどその頃、特急サンダーバードは定刻通りに大阪駅のホームへと滑り込んでいた。


このブログの内容はフィクションです。 実在の人物や団体などとは関係ありません。