地域戦略部には戦略が無い(92) | cb650r-eのブログ

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近江町市場(石川県金沢市)

金沢の中心に位置する近江町市場は、藩政時代からおよそ300年、金沢市民の台所として親しまれてきた歴史ある市場だ。
時代の移り変わりのなかでも、そのにぎわいは衰えることなく、金沢の発展とともに栄え続け、今なお「おみちょ」の愛称で市民に愛されている。

狭い小路を挟んで、約170の店舗が軒を連ねる。新鮮な旬の魚介や野菜、果物はもちろん、精肉、土産物、菓子類から、生花や衣類といった生活雑貨まで――目移りするほど多彩な商品がそろっている。

 

 

 

飲食店は43店舗。そのうち35店舗が、海鮮を中心とした料理を提供しているという。

「“食の集積地”というか……すごい賑わいですね、次長!」

と、大杉主任が驚きを隠せない様子で言った。

天野次長は、活気に満ちた市場の様子を見渡しながら、ゆっくりとつぶやいた。

「この賑わいから、地方都市が学ぶべきことは多いんじゃないかなあ。こういうのも、立派な“勉強”よ」

「なるほど……」

と、大杉主任は感心したようにうなずいた。

「よし、この店に入ってみましょうか」

「知ってるお店なんですか?」

「いえ、初めて」

「はぁ……」

――しばらくして。注文した料理が運ばれてきた。

「ハズしませんねぇ〜、次長!」

 


と、大杉主任が目を丸くする。

「そっちの海鮮丼もすごいわね」


と、天野次長も笑顔で応じた。

テーブルの上には、金沢の海の恵みが惜しげもなく盛りつけられている。
それぞれが思い思いに箸を伸ばし、言葉少なに味わいながらも、心の中では同じことを感じていた――
“このまちには、人を惹きつける何かがある” と。

このブログの内容はフィクションです。 実在の人物や団体などとは関係ありません。