お前のせいだぞ、森。いや、自業自得か。
それから、しばらくして――
グリーンのKawasaki Ninja ZX-25Rと、SUZUKIのモタードDR-Z400SMが休憩所へ戻ってきた。
森君はヘルメットを脱ぐなり、少し息を弾ませて俺に話しかけてきた。

「山ちゃん、さっき……R1とすれ違ったんだ。あいつ、こっちに寄らなかったか?」
「いや? 誰も来てないけどな」
俺は、何食わぬ顔で答えた。
「……そうか。ま、とにかく無事でよかったよ、山ちゃん」
――お前が、俺の話を盛りに盛って、妙な噂を流したからだろ、まったく……
そう心の中で悪態をつきながら、俺はバイクにまたがった。
「じゃ、俺もK-1を一本流したら……家に帰って、床屋でも行ってくるよ。白髪、染めなきゃな」
そう言い残して、俺はその場をあとにした。
山の空気が、少しだけ重くなったような気がした。
前方を見据えながら、ふと心の中でつぶやく。
「さて……売られたBattleだが、どうしたもんかな…。」
アクセルをひねると、CB650Rのエンジンが低く唸った。
俺はそのまま、K-1に入った。
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