地域戦略部には戦略が無い(68) | cb650r-eのブログ

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「では、処方箋は?」

 

天野さんは大杉さんに指示してスライドをもう一枚進めた。

「そして、地方は元々出生率が比較的高かったにも関わらず、若者の流出で子どもが生まれない。“生まれるはずだった命”が減っている。つまり、東京一極集中によって、出会い、結婚、出産という“人生の三本柱”すべてに負の連鎖が起きているんです。」

 



会議室に沈黙が落ちた。だれもが、その言葉の重みに圧倒されていた。

「では、処方箋は?」と千﨑部長が静かに問いかける。

「“働く場所”と“暮らす場所”を再設計することです。」天野さんは力強く言った。

「リモートワークやテレワークを活用して、地方にいても都市部と同じレベルの仕事ができる環境を整備する。さらに、地方の企業に多様な人材、特に女性が働きやすい職場環境を作ること。そこにダイバーシティ&インクルージョンの思想が欠かせません。」

「地方で女性が“働ける”“活躍できる”“暮らせる”——その三拍子が揃えば、地方はもう一度、輝きを取り戻すはずです。」

千﨑部長がゆっくりとうなずいた。

「……いいですね。ロジックが通っているし、問題提起と解決策が明確だ。」

そして、部長は俺の方を見た。

「どうだ? 副部長。沖縄旅行、楽しみになってきただろ。」

「部長、遊びじゃないですよ。遊びじゃ…。」

一同が笑った。

 

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