地域戦略部には戦略が無い(56) | cb650r-eのブログ

cb650r-eのブログ

ブログの説明を入力します。

俺が、俺が。どうぞ、どうぞ。

 

その日の朝。週初恒例の定例ミーティングが始まった。
各自が今週の担当案件について報告を終えたところで、千﨑部長が、どこか連絡事項のような口調で言った。

「沖縄の大学から、講演スピーカーとしての緊急登壇依頼があった。ただ、準備期間が短いこと、言語が英語であること、テーマが『女性の活躍、ダイバーシティ&インクルージョン』という進化系の内容であることから——今回は見送ることにする」

俺も、隣に座る成瀬代理も、「まぁ、妥当な判断だな」とうなずき合った。

ミーティングルームに、少しの間だけ静寂が流れた——その時だった。

「あの……私に、やらせてくれませんか。いえ、私が、やります」

場の空気を切るように、天野次長がきっぱりと言い放った。

 



続いて、大杉主任も手を挙げて発言する。

「私が、次長をサポートします」

と、静かだが力強い声で言った。

 



おいおい……と、俺は思わず成瀬代理と目を合わせる。
「大丈夫か、これ……?」
互いに目線で問いかけるようにして、固唾をのんだ。

「……もう少し、詳しく聞かせてください」

千﨑部長のその一言で、終わるはずだったミーティングは、まさかの延長戦に突入した。

 

 

このブログの内容はフィクションです。 実在の人物や団体などとは関係ありません。