“インクルージョン”ってなに?
「6月22日、日曜日。沖縄科学技術大学院大学——OISTで特別セミナーが開かれるらしい。複数のスピーカーが登壇するんだが、その中で予定されていた基調講演の女性スピーカーが体調不良でキャンセルになったそうだ。で、急遽代わりを探している、と」
あと2週間もないな、と俺は壁にかかったカレンダーを見ながら言った。
「ちなみに、その講演テーマって何だったんですか?」
「セミナー全体のテーマは『日本再生は女性の活躍から!』だそうだ」
「なるほど……まあ、テーマは良いとして。なぜ、無理とご判断されたんですか?」
「“ダイバーシティ”&“インクルージョン”ってな。講演内容にも、その視点をしっかり盛り込まないといけないらしい」
「“ダイバーシティ”はなんとなく分かりますけど……“インクルージョン”って何ですの? て感じですね」
俺が首をかしげると、部長は曖昧に笑って話を打ち切った。
「まあ、それも含めてだな……それより問題は別にある」
「なんです?」
「OISTの公用語、英語なんだよ。講演も、もちろんすべて英語」
部長が続ける。
「おっ、そういや、副部長は国際畑だからイングリッシュOKなんじゃ?」
「お~・の~。チャイニーズ・オンリー」
――と、最後はお決まりの悪ふざけ。
だが、部長の口ぶりから見て、そのときは笑い事で済まされると思っていたのだが――。
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