オートバイをもう一度(128) | cb650r-eのブログ

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医療、介護?

 

「はぁ。」
「で、私はどこに?」

「医療・介護グループだ。」
「医療・介護グループ?」

「私は外国為替と海外取引しか経験がないのはご存じですよね?」
「もちろんだとも。」

小川常務はにやりと笑うと、手元の資料をちらりと見せた。
「リーダーは真崎 孝、あと若手の大坪 信吾に井村 ひとみ、そしてお前だ。お前以外の3人は医療経営コンサルタントの有資格者で、経験も3年以上。お前は資格なしのオールドルーキーってわけだ。」

「私が異動する理由が見当たりませんね。」
つい、むっとした声が出てしまった。

「行けば分かるさ。」小川常務は、どこか楽しそうだ。

「まず、医療業界ってやつは景気に左右されにくい。お前が生まれた昭和40年代、大きな病院がどんどん建てられた。あれから40~50年が経ち、立て替え案件が今、ラッシュなんだ。それに事業承継だ。同じだろ?どの業界も。医療も例外じゃない。これからピークを迎えるだろうな。淘汰とM&Aも増えるし、介護業界だって医療と切っても切れない仲だ。もう、表裏一体と言っていい。」

常務は資料を閉じ、指を組む。
 

「物を右から左に動かして金を稼ぐ――そんな古典的な商社機能だけじゃ、もうやっていけない。分かるだろ?ソリューションを提供して、そのフィー(手数料)で稼ぐ。それがこれから生き残る唯一の手段かもしれん。要するに、早い者勝ちだ。」

「ここからは、俺の独り言だと思って聞いてくれ。」
小川常務は少し声を潜め、顔を近づけてきた。

「わが社もだな、昨日までの敵と手を組む…異業種とコラボする、なんてことも、そう遠い未来の話じゃないかもしれんぞ。」
その表情には、どこかしたたかな企みがにじんでいた。

 

 

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