いざ、ソリューション推進部へ。
2011年4月、俺はソリューション推進部に異動となった。もっとも、異動といっても本店の5階から6階に移動するだけ。距離にしてエレベーター数秒の旅路だ。
出勤初日、松下部長と田町副部長は期初の社内会議に出ているため不在。周りを見渡すとほとんどが俺よりも年下の社員。
ソリューション推進部には、三つのグループがある。M&Aグループを率いるのが久保 正平、法人営業グループは今林 清吾、そして医療・介護グループは真崎 孝。この三人がリーダーだ。全員初対面だったが、どいつもこいつも一癖ありそうな面構えで、一匹狼面である。
そんな中、グローバルチームの取手さんが俺に声をかけてきた。
「よぉ、山本ライダー!元気が足りんぞ~」
「取手さん、現場ではご活躍だったそうですね」
「当たりマエダのクラッカーだそ!」
さらに畳みかけるように取手さんが続ける。
「お前、何かやらかしたんだろう? 『オールドルーキー』が異動してきたって、みんな噂してるぜ!」
「まぁ、一等兵には違いありませんけどね」
「何かわからんことがあったら、何でも俺に聞くなよ!聞かれても何もわからんからな!」
「……頼りにしてません。取手さん」
少しだけ疲れた俺に追い打ちをかけるように、医療・介護グループの真崎さんが淡々と指示を下す。
「これからの3か月間、私の取引先訪問に随行してください。それ以外の時間は資料作成などを手伝ってもらいます。あとは、半年後に医療経営コンサルタントの資格試験がありますので、その勉強をしておいてください。不合格はなし、でお願いしますよ」
……「不合格はなし」って簡単に言うけど、そもそも合格する保証もない試験なんだが。俺の新しい職場での挑戦は、どうやら前途多難な予感しかない。
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