オートバイをもう一度(107) | cb650r-eのブログ

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林、元専務

 

さて、話は半年ほど飛んで、1997年の秋。ようやく上海での生活にも慣れてきた頃のことだ。
俺宛てに人事部の上釜副部長から電話がかかってきた。


「ニーハオ、仮面ライダー。中国でも元気か?」
「はい、おかげさまで元気にやっております。」
「そうか、それは何よりだ。ところで、ちょっと頼みがある。お前も知ってる通り、林、元専務が当社を退職された後、大阪のメモリーライフの社長に就任されたのは知ってるよな?」
「はい、冠婚葬祭を関西で手広く展開しているあの会社ですよね。」
「そうだ。その林社長が、この秋に上海を訪問したいとおっしゃっている。でな、山本、お前が上海にいると伝えたら、『ぜひ、山本君に案内してもらいたい』と仰ったんだ。」

 

不思議なことに、何故か俺には林 元専務が上海に来るような予感があった。
「そこでだ、平賀支店長にもお願いするが、2日間、林社長のアテンドをお前に任せたい。林社長は奥様同伴でいらっしゃるから、そのつもりで頼むぞ。」
「分かりました。では、平賀支店長に電話を代わります。」
平賀支店長と副部長が話し終えた後、支店長が電話を切り、俺の方を向いた。
「よし、林社長のアテンドは“ファーピアオ(領収書)案件”で対応してよし。」
「ありがとうございます。ただ、林社長には個人的にいろいろとお世話になっていまして……。今回のアテンドは、費用を含め、私に任せてもらえないでしょうか?」
「お前がそう言うなら自由にしていい。ただし、無理はするなよ。」
「ただ一つだけお願いがあります。謝さんだけは、2日間、私につけていただけますか。」
「もちろんだ。安全第一だから、謝さんをサポートにつけるつもりだ。」
こうして、元専務を上海で迎えるという大仕事を任されることになった。波乱の2日間が幕を開ける。

 

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