オートバイをもう一度(102) | cb650r-eのブログ

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無問題。

 

一区切りついたところで、「どうだ」と平木支店長が精査メンバーに尋ねた。
現地スタッフが香港語で言った。「無問題(モウマンタイ)」

「よっしゃ!」俺は思わず叫んだ。
「飲みに行くぞ」と小川部長が声を上げた。
「そのあとは、ビクトリア・ピークで夜景三昧だ!」と有永副部長が叫んだ。

金曜日。帰りはバラバラである。空港までは湯村支店長がセドリックで送ってくれた。平木支店長も富田君と一緒に香港空港に見送りに来てくれた。

最初に有永副部長が成田に向けて出発し、少し遅れて小川部長が伊丹(大阪)に向けて出発。そして、俺は上海に向けて飛ぶ。別れ際に、富田君がポツリと俺に言った。

「山本さん、最初に見たときはダサいやつだなーって思ったけど、最後は結構いい仕事してるじゃんって思ったよ」

「香港って、中国に返還されるじゃん? そうなると、アジアの金融セクターは上海になるかもしれないと思ってるんだよ。上海に行くか日本に帰るかは分からないけど、その時は連絡するよ」

「連絡待ってるよ。なにしろ君は大阪貿易の命の恩人だからね」

「俺のお金じゃねーし」

「そりゃそうだけど。じゃあ元気で」

「山本さんこそ元気で」

俺は上海便に乗り込んだ。

海外での縁というものは、時として人を強く引き付けるものである。富田君との再会は、四半世紀後の日本、意外な場所で実現することになる。

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