帰郷。
さて、上海である。
「うわ、もう帰ってきやがった。1か月といったろう。1か月! お前、2週間で片付けたのか?」
応接セットの椅子にふんぞり返り、日経新聞を広げていた平賀支店長が、驚いたように上半身を起こして俺を見た。
「いや、皆で力を合わせた結果です。」
「だが、上海も暑いだろう。スーツなんてよく着てたな。」
「正直、無理です。今日から普段は半袖シャツにさせてもらいます。」
「日本人くらいだよ、夏にスーツとネクタイなんて。好きでやってるなら止めはしねぇがな。」
夕方5時。オフィスに漂う空気が少しずつ弛緩していく中、平賀支店長が声を上げた。
「おーい、山本!」
机の真向かいからの声に顔を上げると、支店長はニヤリと笑って続けた。
「報告書の代わりに、アバンティーで話を聞かせろ。俺がおごる。」
「断る理由は、もちろんありません。」
俺たちは立ち上がった。
「じゃあ、スタンさんに会いに行きましょう!」
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