オートバイをもう一度(95) | cb650r-eのブログ

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東京集合。

 

金曜日。久しぶりに、有楽町線の月島駅に降り立った。東京分室は駅から歩いて10分ほどのところにある。東京分室の入り口のインターホンを押す。「山ちゃーん、久しぶり」出てきたのは、お局スタッフの平野さんだ。「山ちゃーん。お土産にもらった『やせる石鹸』全然効かないじゃないの。」 「まあ、まあ。その話はあとで。小川さん、もう来てますか?」 「支店長と応接室に入って、もう小一時間経つわね。」平野さんが言う。

俺は、応接室の扉をノックした。 「入れ。」懐かしい松岡支店長の声である。 「よう、山本。久しぶり。まあ、座れ。大体のことは、小川次、いや部長から聞いた。」 それから、少し近況などを話したが、松岡支店長が切り出した。 「それで、小川部長の考える、香港支店の起死回生の『打ち手』は何だ。教えてくれ。」 「はい、四菱銀行国際部の榊原部長のところへ直談判に行ってみます。」 「四菱銀行か…。四菱銀行も今回のアジア通貨危機は相当堪えていると聞くが…」 「もちろん、それは承知です。邦銀のメガバンクで影響がない銀行なんてありませんよ。」 「勝機アリか?」 「いえ、今回ばかりは事が事ですので。」 「では、そろそろ約束の時間なので。」

営業室を通ると、スタッフ全員がそばに寄ってきて、懐かしむ声をかけてくれた。店を出ると、俺は小川部長に言った。「なんか、皆さんいい顔してましたね」 「そうだな。」

小川部長と俺は、月島からタクシーに乗って大手町にある四菱銀行の国際部を目指した。

 

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