今日は、毎月の行事としては一番楽しみにしているおもちゃ病院です。先月の入院患者:宿題は先月書いたようにその日に解決したので気持ちよく今日を迎えることができました。
それで会場で担当した1件目なのですが
これは競馬場です。長さ75cm・幅40cm と大きなものです。
磁石の付いた馬の人形を適当に配すると、この競馬場の中を走ってぐるぐる回ってくれるというものです。
とりあえず動かない、と言うことで調べると、電池ボックスの電極が完全に錆で腐り落ちていました。電極そのものを材料から作り直さないと治らないので、入院:預かりとしましたが、何分面白そうなので、ばらしながら内部を調べてみました。
表の板を外すと、たくさんの磁石が並んでいて、それが馬場の下で回るようになっています。それで、上に載っている磁石付きの馬が一緒に回るという構造です。
磁石の部分だけを外すと、こんな風になっています。この緑のプーリーがモータで駆動されて回転し、この磁石たちをコースの下で回転させるのです。
一応電池のおもちゃなので、モーターで駆動されているのですが、モータにかかる部分はこれだけです。左茶色の直方体が単11個入った電池ボックスで、その上のスイッチでモータを入り切りします。右側の赤い部分は一つのモータで音を出す部分と先の磁石の群れを駆動する部分を動かしています。
これがモータと磁石の群れの駆動部分で、モータの回転を5つのギアで減速してかなりゆっくりした回転に変えて、先に出てきた緑のプーリーを回転させます。
これが音を出す部分で、いわば電気を使わないレコードプレーヤーです。モーターにベルトをかけて駆動プーリを回転させます。そうすると、レコード円盤が回転します。円盤はレコードですから、音に対応した凸凹が溝についています。その溝にレコード針が当てられて凸凹を拾い振動にします。そしてその振動はスピーカーに伝えられて音になります。
今のレコードプレーヤーはレコードの溝の凸凹を一度電気信号に変換して電気的にそう服してスピーカを電気的に駆動しますが、昔のSPレコードのいわゆる蓄音機はこのような機械構造だけで音を出していました。
これはスピーカ部分です。今どきのおもちゃは音を出すには電気的スピーカを付けてそれを、マイコンが作り出した電気信号で駆動しますが、このおもちゃは機械構造だけで、音楽を演奏してくれます。
いやはや、電池を使うのは一つのモータを回すだけ、あとは完全に機械的からくりをそのモータの回転で駆動することで、動かすという、「からくりおもちゃ」としてはシンプルながらよくできたもので、感動してしまいました。
せっかくのいいものに行き当たったので、しっかり修理して、へたっててきている部分のオーバーホールもしてあげて、ちゃんと動くように仕上げてあげようと思います。