断酒できなかったアルコール依存症患者 | 断酒てへ日常

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断酒を続けること、そのために断酒例会に毎日出席を続ける日々

 私がアルコール専門病院に行ったときに、「あなたはアルコール依存症のエリートです」なんて言われました。

 

 日本にいるアルコール依存症者は109万人との調査結果があります。また別の推定では300万人とも言われています。そかし専門医療にかかった人は5万人程度で、患者数から比べて極めて少ないのです。だから選りすぐりという事でエリートと言う表現になったようです。

 

 そしてさらに、医療にまでたどり着いても、その全員が断酒出来ているわけではありません。医療にかかった人のごく一部しか断酒もできていないという事です。全断連の会員は2023年で5000人ぐらい、1994年だと12000人と言うものだそうです。もう一つの自助グループを含めて多めに見積もっても断酒継続している人がたかだか30000人ぐらいしかいないということになります。要はアルコール依存症患者のほとんどは断酒で来ていないのです。

 

 アルコール依存書であって、断酒で来ていないという状況がどんなものかは、過去を振り返り体験談にまとめて語ってみればわかるように、酷いものです。まともに社会で生きていけるものではありません。そんな人が人口の1~3%も存在するとなると、とんでもない社会問題です。

 

 しかし問題であるとはされていても、差し迫った問題とはされていないようです。少なくとも酒類の販売を制限しろと言った議論が出てこない程度だという事です。これが何故かと推察したら「ひどいアルコール依存症患者はほどなく死ぬから」ということではと思うのです。

 アルコール依存症も程度があって、だんだんひどくなり、酷くなるにつれて、その酒害の程度も悪化してきます。ひどい酒害をまき散らす患者は全患者の一部であり、尚且つその患者は長年の大量飲酒で少なからず体を壊していると思われます。それで、アルコール依存症が進みひどい酒害をもたらすようになるころにはその患者の余命も少なく、永続的に酒害をまき散らし続ける前に亡くなってしまうと推定できます。

 

 多くの医療につながらなかったアルコール依存症患者、そして病院で出会ったけど、その後の消息が不明な人たちは生きながらえて酒害をまき散らし続けているのではなくて、亡くなっているのでしょう。

 

 その人たちはどう思って最期を迎えたでしょうか。酒で死ねて本望だ、そう思ったでしょうか。人に嫌がられて、「死んでくれれば」などと家族に思われながら迎える死はどうだったでしょうか。あるいは誰にも看取られることなく孤独のままに最期を迎えたのでしょうか。

 それを思えば、苦労して何とか酒を止めて、断酒を続けていることの価値も見えてくるのかもしれません。そして素面で最期を迎えれることとをありがたく思えるでしょう。


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