こんにちは、nobuです。
ちょっと間があきましたが、
ギターケースの話を続けます。
といっても、今回はギターケースというよりも、
Louis Vuittonのクリエイションオーダー体験記といった内容なので、
うっかりギターマニアでもないのに当ブログを見てしまった、
でもLouis Vuittonのオーダーメイドには興味があるぞ、という方にも、
おすすめです。
(そんな人がこのブログにたどり着くかは微妙ですが)
さて、前回の内容の通り、
ギターケースをLouis Vuittonにオーダーすることにした私。
ちなみにLouis Vuittonでは、
お客様のご要望に合わせて、
専用のトランクの製作を受け付けており、
そのサービスのことを、
「クリエイションオーダー」
と呼んでいます。
既製のトランクも扱っているようですが、
やはりLouis Vuittonのトランクの花形は、このクリエイションオーダー品だと思います。
オフィシャルの参考資料?もあります。
こちら、『Legendary TRUNKS』。
書籍ですが、人を殺めるのに充分な重さがあります。
ともあれ、この本によると、
たとえば、こんなのとか…
こんなのとか。
市川海老蔵さんの化粧道具箱。
赤が映えて美しいですね。
それから、ギターケースと言えば、この方。
キースリチャーズ!
ちなみにこれは…
『traveler's tales』より。
こちらも鈍器として充分な攻撃力を備えております。
でもWebで検索しても、
キース=リチャーズ以外の
Louis Vuitton製ギターケースって、
あまり出てこないんですよね。
特にソリッドは。
アコースティック系はそれなりにヒットするのですが…
意外に、ストラト用のケースを作った人は、
少ないのかもしれません。
さて、気持ちの上ではオーダーしよう!という気になった私ですが、
そもそもどうやってオーダーすればいいのか?
そして何より…
おいくらまんえんするのか?
気になって仕方ありません。
そもそも大半のギタリストにとって、
ギターケースなんてギター買ったらオマケで付いてくるものです(言い過ぎ?)
それをカネまで出して買うなんて、
正気の沙汰ではありませんし、
したがって相場が全然わかりません。
以前、クリエイションオーダーではなく、
既製のバッグの素材替えをお願いした場合の価格を聞いたことがあるのですが、
たしか通常価格の20%だか50%だかアップだったような気がします。
私自身はそのサービスに魅力を感じなかったのものの、
価格の目安にはなるかもしれません。
そもそも既製のトランクの価格もよくわかりませんが、
仮に50万だとして、
50%アップなら、75万ですね。
たけえわ。
普通に高い。
下手したら中身より高くなる。
誰も作らない理由がわかる。
ただ、在庫にならないんだから、店舗的にはありがたいだろうし、
価格交渉とかできるんだろうか?(笑)
ま、うだうだやってても仕方ないんで、
お店に行って相談してみることにしました。
ちなみにムスメ同伴(笑)
パパの生き様を目に焼き付けておくがいい…
私「あのー、すみません」
エージェント「はい?」
私「えーと、トランクを作って欲しいんですが。」
エージェント「おお、よくご決心されましたね! 展示会にご招待した甲斐がありました。
それで、どんなトランクにするか、お決まりですか?」
私「はい、実はギターケースを作って頂きたくて。」
エージェント「ギターケース! いいですね!
えーと、あのひょうたんっぽい形のヤツですよね?」
私「いえ、それではなく、エレキギターってやつでして。」
エージェント「はあ。ちなみに具体的な形のイメージはありますか?」
私「それはもう。天井に届くくらい囲まれてますから…」
エージェント「……?」
こうして、その場で簡単なラフを描いて、
ここがこうなってて、ここはこうで…
という説明を行う。
絵が描けてよかった。
プランとしては、
基本的にはフェンダーのケースをそのままLouis Vuittonで再現、というヒネリのないもので、
ギター以外に何も入らない、
シンプルな仕様。
あとは、Louis Vuittonから何か提案があれば、
それを受け入れるつもりでした。
エージェント「ありがとうございます。大まかな形はつかめました。ただ、具体的な寸法を測らないといけないので、
申し訳ないのですが参考にするギターケースを、
中身も入れた状態でお持ちいただけますか?」
私「わかりました」
…こうして後日、
ギターケースを中身入りで店舗に持参。
いやー、もの凄く店舗の雰囲気にミスマッチ(笑)
オマケに計測はお店のど真ん中でやってたので、
まるで目玉商品のように陳列される。
燦然と光輝くフェンダーカスタムショップロゴ!
でも中身はPGM(笑)
あ~他のお客さんからの視線が痛い。
エージェント「ちなみに、このギターを入れるんですよね?」
私「たぶんそうなると思います。
まあ、実際にはコレじゃないかもしれませんが、
同じ形のしかないので」
ストラトしか持ってなくてよかった
エージェント「では、ギターのほうも採寸しますね」
…こうして、とりあえず中身と現状のケースが計測される。
もし、具体的なケースの形状に要望がない場合は、
中身がどんなものでどんな使い方をするかヒアリングして、
一からデザイン起こして、
提案してくれる、とのこと。
それはそれで、体験してみたかった気もするが…
エージェント「それでは、一旦これで図面を起こしますが、
実際に製作する際には、もう一度お借りして、
パリの工房に送ることになると思います」
えー、そうなの?
つまり、PGMが遂にフランスデビュー?
案外Louis Vuittonの職人に気に入られて、
パリからオーダーが入ったり…?
これはもうムーランルージュで採用される日も近い、ということか…?
※個人的にはテンション上がったPGMのフランスデビューですが、
どうみても代替の利かなさそうなギターであるため、
輸送中の万が一の事故が懸念されることから、
フランス輸送は中止と告げられました(笑)
PGMのムーランルージュモデルは、
まだ先のことになりそうです。
何はともあれ、大まかな形と中身の採寸は終了したので、
次に外装などの仕様を決めていきます。
今回は分かりやすくLouis Vuittonらしさを感じたかったので、
外張りはモノグラムフラワーにすることにしていたのですが、
他にも選べる箇所があるようです。
たとえば、ケースの縁と角をレザー&金具でバインディングするかどうか、
鍵をゴツいのにするかシンプルなものにするかどうか、
ネームプレートをつけるかどうか、等。
とりあえず、なるべくクラシックな仕様にしてもらいました。
(つまり全付け)
それからエージェントからの提案で、
ケースのサイド(天辺側)にも取っ手をつけて貰うことに。
たしかにここに取っ手があると、かなり運びやすくなるので、
この提案は嬉しかったです。
ちなみに、逆にこちらの要望を聞いてもらえない箇所もありました。
私「一点要望があるんですが…」
エージェント「なんでしょう?」
私「正直、ケースがこれ以上重くなるとツラいので、
ケースのサイズはフェンダーのケースと同じかそれより小さくしてもらえませんか?」
偽らざる本音です(笑)
ですが…
エージェント「申し訳ございません、その内容はお受けできません。」
私「え、なんで?」
エージェント「何故なら、ケースには外装のデザインと調和する、
最適な寸法が御座います。
私どもはその寸法に従って製作しますので、
外寸の指定はお受けできないのです。」
私「は、はあ…」
エージェント「例えば、フェンダーのケースと厚さを揃えた場合、
錠前のサイズに比べて、ケース自体が薄すぎます。
また、横寸も、外装に対して最適な寸法とは言えない可能性があります」
私「ふむふむ…」
エージェント「つまり、このサイズでは、
美しくない
のです。」
私「わ、わかりました!」
こういう、全然機能面とは関係ないけど、
ポリシーのある断られ方に、
私は大変弱いのです(笑)
そういうわけで、サイズ面は完全におまかせ。
…ちなみに、フェンダーのケースって、
ギターを入れた状態でバランスとるために、
ハンドルがケース中央についてませんよね?
あの設定も、美しくない…ということで、
一旦却下されました(笑)
それから、ちょっと悩まされたのが、内装の色。
素材はマイクロファイバーのスエード一択なのですが、
カラーバリエーションが豊富。
でもモノグラムに合うとなると、
やっぱり赤系がよさそうで、
そうすると、かなりベタな配色に。
なんかちょっと意外性が欲しい気もする。
店内にあった資料をパラパラ見ていると…
おお!と目を引く鮮やかなオレンジの生地見本が!
(画像なし、すみません)
これなら、定番の赤系から外れずに、
しかもちょっと意外性もある。
なにより、オレンジという色が好きだ(笑)
私「すみません、このオレンジを使って欲しいんですが」
エージェント「あ~…、申し訳ございませんが、
その生地はダミエ(市松模様の外装のこと)用の内装で御座います。
お客様はモノグラムを選ばれておりますので、
こちらの内装はお選びいただけません。」
私「えー、なんで?」
エージェント「何故なら、外装に合った最適な内装の色の組み合わせがあり、
その組み合わせの中でお選び頂いております。
つまりダミエ用のオレンジとモノグラムとの組み合わせは、
美しくない
からダメです。」
私「…」
エージェント「…」
私「………」
エージェント「………………」
私「いや、絶対これも美しい。
だからこれで行こう!!」
エージェント「うう…
わかりました。パリの職人に相談します(泣)」
…というわけで、少しだけ、
個性?を出せたかもしれません。
これで仕様は全部決まり、と思っていたのですが、
最後にエージェントから一つ提案が。
エージェント「実はこのケースのキー用に、専用のキーケースがオマケでつくのですが、
お好きな形を指定していただければ、
それに合わせて職人が革で手作り致します」
私「へー、それは嬉しいね!」
エージェント「せっかくだから、ギターの形にするとか、
いかがでしょうか?」
私「うーん、それはちょっとダサいかも(笑)」
エージェント「…(涙)」
…といっても大してアイディアもなかったので、
釣り鐘的な形にしてもらいました。
一応、ノートルダムの鐘ってことで(笑)
私「ところでこのキーケース、素材は何になるの?」
エージェント「ハンドルと合わせたカラーの、ヌメ革になります」
私「ふーん…」
エージェント「ケースとも調和して、オシャレだと思いますよ♪」
私「………ここに、赤色が欲しいなあ」
エージェント「…へ?」
私「全体的には暗めのブラウンじゃない?
鮮やかな赤のワンポイントが映えると思うんだよなあ」
エージェント「はあ…」
私「そうだよ、やっぱりここは赤色にしよう!」
エージェント「ですが、ヌメ革に赤色の設定は御座いませんので…」
私「誰もヌメ革を使うとは言ってないぞ」
エージェント「は、はあ… じゃあエピか何かでしょうか?」
私「違う、ワニだよ」
エージェント「はい?」
私「イリエワニの革を綺麗な赤に染めたら、間違いなく美しいよ! そうだ、それでいこう!!」
エージェント「ええええええ~~~~!?」
私「いやー、楽しみだなあ」
エージェント「………パリの職人に相談します(泣)」
…こうして、ずいぶん長文になりましたが、
無事仕様が全て決定しました。
…が、肝心なことを忘れています。
私「あー、そういえば、結局見積りってどうなるの?」
エージェント「見積りですね。仕様が決定しましたので、
正確な図面をパリの工房で起こした上で算出します。」
私「え、そこまでするの?」
エージェント「はい。だいたい3~6ヶ月程度で金額が確定すると思います」
…長いな(笑)
なお、実際にはここまでで既に2ヶ月程度かかっております。
今更やっぱりやーめた、というのも少し心苦しいし、
時間を無駄にする気もします。
とは言え、お値段も気になるところ…
私「ちなみに、もし、もしもだよ?
見積りが高くて、よう買わんわ~ってなったらどうなるの?」
エージェント「そうですね………」
私「………」
エージェント「………」
私「………」
エージェント「ぜ、全然気にされなくて大丈夫ですよ(泣)」
私「………」
これ、絶対断れないヤツだ!!!
………ま、そういうわけで、私、
無事にLouis Vuittonへギターケースをオーダーしたのでした(笑)
長くなったので、続く。