君と見た

あの夜の月を想い出していた

繋いだ手の

指と指の隙間がもどかしくって

君の肩がさびしそうで

そっとその髪に触れて

抱き寄せたあの日

月が僕たち二人を静かに照らしていた。

寂しそうに君は微笑んだね。
瞳は雨・・

どんなに君を想っても
君がどんなに僕を想っても

決して交わる事の無い二人の道
そして二人の影

君は今どうしていますか?
寂しくは無いですか?
泣いてしまってはいないですか?

今宵満月・・
見えない月・・
雨月・・

月影を探して
二人再び寄り添う心

離れていても・・

君に逢いたい・・
どうしても・・言えなかったんだ・・


言葉にしちゃえばきっと君を困らせるから・・



「好き」っていうたった一言がやっぱり言えなかった。

言葉にするのは本当はたやすい事かもしれないけど
君のその笑顔を見失う事が怖いから・・

僕はその時こう決めたんだ。

君が涙の時は
その心を癒す静かな光

例えば木漏れ日みたいな優しい光になって
君の心にそっと寄り添おうと・・

そして時に涼風になり
君のその長い髪を揺らし
そっと触れようと・・
疲れちゃった心が癒えるように・・

道に咲く名も知らない小さな花になり
君に優しく微笑みかけよう

もし君が僕の存在に気づかなくても
誰かに僕の心が踏みにじられたとしても

僕はずっとここに居るよ。

君が道に迷った時は
君の背中をそっと押すそんな静かな風に

優しく君を照らす月明かりとなって
僕が君の道しるべになろうと。

君が幸せで居る事
笑顔で居る事が僕の喜び

だから・・

言えなかった言葉は
今も僕の心にある・・そっと
時に立ち止まり・・

風を待つ時。

小さな深呼吸を一つ・・

そんな時間も時に許せるだろう。

誰かの幸せをそっと願い・・
誰かの飛びっきりの笑顔を想った時

心がほっとして
救われて・・

つられて笑顔になってしまう瞬間。

はじけたような笑顔と笑い声が
気持ちにそっと入ってくる。

そんな瞬間が
とても好き。

思い通りにいかなくて
気持ちが報われない時も

そっと立ち止まって
再び風が吹き始めるのを待つ。

その風はさわさわと
心を揺らし
心を濡らし・・

やがて優しい笑顔を運んでくる。
そんな風を待ってみよう。

何かに流される事無く
自分の想いに正直に生きたくって
でもそうできなくって・・

そんな切なさも
優しい風は包み込んでくれるはずだから・・

ありのままで・・
もう少し
もう少しだけ

待ってみよう。

そんな時をかみ締めながら・・