めずらしく夜なんの用事もなかったので、ずっと来週のツーリングの予定を立てていました。
なかなか走りがいのありそうな感じの予定になってきました。
たぶん途中でトラブルがあって予定通りには行かないのだろうけど、一応予定では1週間350キロ~400キロくらいを走る予定です。
島を一周するつもりです。
なんだか天気が悪いみたいなので心配ですが頑張って楽しんできます!
旅の計画をいろいろと考えていたのですが、旅の楽しみのひとつが宿です。
わたしはハタチのときの初めてのひとり旅で泊まったカナダのB&Bに感動して以来、将来ペンションをするのがずっと夢です。
その宿は今までのわたしの宿の常識をくつがえしてくれました。
そのときの旅はカナダのプリンスエドワード島というところに、わたしがイチバン好きでイチバン尊敬している作家のモンゴメリの故郷でありその物語の舞台に旅しに行ったのですが、とにかく自分なりのこだわりがあって自分なりのプランをたてました。
なのでほとんどの人がその島には飛行機で行くのですが、わたしは船で渡りました。
その時間の都合で、船のついた場所の近くに泊まらなければならなくてその宿"DEW DROP INN"に泊まりました。
全然観光地ではないそこの宿の人たちにとってはわたしは初めての日本人だったらしく、港まで迎えに来てくれました。
Bradという笑顔のステキなおじさんが、大きな手で握手をしてくれて、わたしはドキドキしながら一緒に宿に行きました。
宿は森の中にある一軒家で、赤い屋根のステキなホントにかわいい家でした。
ついたらBradはコーヒーを入れてくれて、一緒に座ってどこからきたのかとかいろんな話をしました。
それから家の中を案内してもらうと、ホントにかわいい家でわたしは終始感嘆の言葉を発しまくりました。
その中でも暖炉に感動してわたしは初めて暖炉を見たよ、って言うと外で汗だくになってまきを割ってくれて暖炉に火をくべてくれました。
わたしはその優しさに感動してお礼に折り紙で鶴を折ってあげると、Bradはめちゃくちゃ感動してくれてなんだかとても誇らしかったです。
そのあとはあたりを散歩してまわりました。
宿には大きな黒い犬、彼はずっと猫を追い掛け回していました。
庭の大きな木の下にはブランコ、そして小さなほったて小屋にはBradは昔トロントでメッセンジャーをしてたとのことで自転車がたくさんありました。
庭はそのまま森になり、ずっと歩いてもどこまでもひたすら森でさすがに不安になってちいさな池のところでひきかえすとわんちゃんが迎えにきてくれて一緒に走って宿まで帰りました。
カナダの夕暮れは長くて2時間くらいかけてゆっくりと日が沈みます。
わたしは宿のリビングに腰掛けて、窓をあけてライラックの甘い香りのする風に吹かれながらずっとその美しい夕日を眺めていました。美しすぎて言葉もでないほどでした。
部屋は誰かの部屋に泊まりにきたようにクローゼットには誰かの服が入ったまま、本棚には誰かの読んだ本がたくさん並んでて、それがなんだかとてもうれしくて、わたしは窓を開けたまま心地よい夜風に吹かれて眠りました。
次の日の朝はBradが焼いてくれたマフィンの甘いにおいで目が覚めて、輝く朝日の中を散歩した後、さよならを言っておとなりさんの車で次の町まで送ってもらいました。
たった一晩だったけどあまりにもステキな時間を過ごして、ここがすっかり好きになってしまっていたのでなんだかとても寂しかったです。
そこから5日間わたしはいろんなとこを旅して、見知らぬ人の家に泊めてもらったりするのですが、ここはとても長いので省略します。
その5日間で、わたしはいろんな観光地に行ったのですが、それはとてもがっかりするものでした。
観光用に作られたものを見て、みんな並んでお金を払って、みんな写真をとってお土産買って、そのほとんどは日本人でわたしはうんざりしました。
そんなんじゃない、わたしがしたいのは。
こんなに美しい島なのに、誰もそんなの見てない気がしました。
そしてわたしはあの家に帰りたくて仕方なくなったのです。
それで、わたしは最後滞在していた街からBradに泣きながら電話しました。
いますぐいきます、どんなにお金かかってもいいからタクシー乗っていきます、と。
するとBradはタクシーはお金がかかるから、明日妻が迎えにいくよ、といい、次の日街の工場で働いてるSueが迎えにきてくれました。
Sueは宿だけでは厳しい財政を助けるためにウィークデーは街の工場で働いてるとのことで、帰りに迎えにきてくれて、わたしたちは一緒にスーパーで買い物をしたりしながら帰りました。
ユウコはなに食べたい?って聞かれたのでポテトって答えました。
だって島中ポテト畑でいっぱいでしたから。ポテト畑ののどかな景色がすごくきれいなんです。
かえってきてからはわんちゃんを乗せてビーチにいってはしゃいで、灯台に登ったりしました。
その夜はBradとSueがご近所さんも呼んでくれて、庭でバーベキューをしました。
ゆっくり沈む夕日のなかでたくさん食べて笑って、陽が沈んでからはポーチでビールを飲みながら星をみながらいつまでも語りあかしました。
美しい世界の中に自分たちしかいないような静寂の森の中で、言葉を越えた暖かさに心が溶けてしまいそうでした。
ここには何もなかったけど、なんでもありました。
わたしはどんな有名な場所よりも、どんなにお金を積んで食べたものよりも、ここで過ごした時間、ここで見たもの、ここで食べたものがなによりイチバン美しく素晴らしいと思いました。
手付かずの美しい自然、美しい人々。
たった33ドルしか払ってないわたしにここまでしてくれたことにもすごく感動しました。
Bradに感謝の気持ちを伝えると、「人になにかをするのが好きなんだ」と笑ってました。
この宿の紹介には「Come as a guest, leave as a friend」と書いてありましたが、まさにそのとおりでした。
それからもわたしの旅は誰かとの出会い、そしてその人びとのホスピタリティーに救われることの連続でした。
だからわたしもいつか、最高の旅は、有名な場所を訪れること高級ホテルに泊まることやや高価なものを食べることではなく、美しい場所と人々との出会い、そしてそれを通して自分を再発見することなんだと、そういう旅の感動を与えれるような宿をしたいのです。
この感動をまた誰かに返していきたいのです。
それがわたしの夢です。
でも残念ながら日本ではなかなかそういった宿に出会えていません。
いわゆる「よい宿」の定義からは外れているのですしね。
それでも沖縄はなんだか期待できそうな気がしていますので、楽しみなのです!
長くなりましたが最後に、カナダの宿を出るときわたしはBradと約束しました。
「わたしが結婚するときには、このリンゴの木のした、満開のリンゴの花の下で結婚式をするよ!」
それは果たしてかなうのかな(笑)
