ポップ・ミュージックのトリコ -88ページ目

ポップ・ミュージックのトリコ

流行音楽を聴きながら、人生を音楽で豊かにしたいと願う、私的でミーハーなブログです。

監督 久保茂昭

 

ジャンル アドベンチャー/冒険

 

出演 山﨑賢人 山田杏奈 眞栄田郷敦 工藤阿須加 栁俊太郎 泉澤祐希 矢本悠馬 大谷亮平 勝矢 高畑充希

 

鑑賞方法 映画館(IMAX)

 

もはやドルビーシネマ・アイマックスなどのいわゆる「ラージフォーマット」体験がしたくて映画館に観に行っている感覚もあるこのごろ。しかしまあ『ゴールデンカムイ』は邦画なわけですよ。映画を好きな人ならみんな味わったことのある『邦画の屈辱』。今度はきっと面白いだろう、と思って観に行ったら、あまりにショボいSF映像を見せられて、「ハリウッドとは違うのだよハリウッドとは」とあざ笑うような声が脳内にかすめること幾度か。やはり同じおカネを払っている以上、いくら日本人びいきをしたくてもガマンできないところ。

ところがここ最近すごくよくできているんですよね。

『キングダム』とか『ゴジラ -1.0』とかはマジでやばいクオリティで、『メイド・イン・ジャパン』が輝いていた1950年代当たりの映画界が復活したかのような映画体験。ハリウッド作品がCGを多用しすぎて現場が逼迫してクオリティが維持できなくなってきている昨今、邦画実写ものは確実に世界に打って出ることのできるクオリティに進化しています。これまでアニメにばかり映像作家は才能が集まっていましたが、これからは実写でも人材があふれ出てきそうな予感がします。

 

そして『ゴールデンカムイ』。『キングダム』と同じ制作チームが山崎賢人を主役に映画を撮るって、もうほぼ『キングダム』なのですが、こちらは北海道が舞台。原作漫画で序盤の活劇としての見せ場である熊との戦いとかって”どうやってごまかすのかな?”なんて思ってたら、ガチのCGで度肝を抜かれました。CGでやるにしてもどうやってあれだけ躍動感のある動きを付けられたのか?『RRR』の虎並みのホンモノ度に『インドにできて日本に出来ないわけがない』という制作陣のホンキが伝わってきました。

 

それに加えてアシㇼパを演じる山田杏奈の魅力。彼女の漫画を再現しきる顔芸から、弓を構えて獲物を狙う時の凛々しい姿には並々ならぬ下準備があったことが伝わるし、その魅力をフィルムに残し切る撮影・効果スタッフの力量にもやられてしまった。『ゴールデンカムイ』と聞いてまず脳裏に浮かぶのは彼女が弓を弾くポーズで構える息をのむような美しいカット。

 

そして何より映画冒頭の日露戦争の戦闘描写。言葉に出来ないくらいの圧倒的な戦場の描写。アクションもできる山崎賢人という俳優の魅力が存分に発揮されています。これはもはやハリウッド映画。年末にリドリー・スコットの『ナポレオン』を観たところだったので、余計にその遜色ない仕上がりに驚きました。

・・・こんなことが邦画にできるんだ、という感慨と感動がごちゃごちゃになった感覚が湧いてきます。

 

世の中には映画を観るだけでもお金がもったいないのに、さらにお金を追加で払って邦画なんかをみるなんて馬鹿げている、と思う人もいるかもしれませんが、今でも脳裏に焼き付く上記をはじめとする数々の見せ場に加えてアイヌの日常生活を垣間見れる美しい映像は映画館で、それもできればベストな環境で堪能するべきだとわたしは思います。

 

そしてこの映画の魅力はコメディの部分がしっかりしていること。

これも制作陣や演者がこの作品の魅力を存分に把握してどうにか伝えようと妥協なしに追求しているからでしょう。

 

もう次作が楽しみです。

山崎賢人はモーレツに働いていますね。作品ははやく観たいけど彼のことはちょっと心配かな。

なんなら彼のドキュメント映画や自伝映画も撮れば面白いことになってそう・・・。

 

 

監督 八鍬新之介

 

ジャンル アニメ

 

出演 大野りりあな 小栗旬 杏 滝沢カレン 役所広司

 

鑑賞方法 映画館(近所行きつけ)

 

ブログ再開ということで、新しい取り組みとして鑑賞した映画ログを残します。

できるだけ評にはせず、観た映画のうち「良かった」と思ったものをログとして残します。

自分の心の琴線に触れなかったものはまたどこかの機会でまとめてザっとリスト化する程度に留めます。

これは音楽のことを書く時にも心がけていることで、どんな作品にも何らかのメッセージはあり、それがどこかのだれかに届く可能性の芽を摘んでしまうまでに作品の価値を貶めることに加担することは避けたいからです。

まあ、不満くらいは多少書きますけどね・・・。

 

で、2024年に観た作品から。

 

ここ数年友人の影響もあって映画熱が再燃。コロナ過もあってたっぷり自宅で映画を観て、コロナが明けて映画館が再始動しはじめるともうこれが楽しくて仕方ない。映画館でなんて年に1,2作見ればいい方でもっぱらDVD鑑賞メインだったのに、月に2本は映画館で観るなんて「バカ」なエンタメ生活をしています。

 

 

で、2024年最初はもはや近所のいきつけのバーのようにメインで通っている映画館で事始め。

 

シンエイ動画という普段『どらえもん』や『クレヨンしんちゃん』を作っている会社が、満を持してつくった”本当に作りたい作品”。

 

日本の1940年代を活写したこまかな道具類の使用感まで伝わる描写からキャラクターの指先まできちんと生命がこもっている描写まで、とにかく動画が豊か。こういう作品だとテーマが先走って絵作りは二の次になるほど出来事が前のめりになりそうなのに、ストーリーと動画がものすごく丁寧に積み上げながら最後まで紡がれるのでまったく飽きません。

 

普段子供向けのアニメをつくることを生業にしている会社だけに、題材も子供の教育で、テーマとしては反戦ですが、直接的な書き方はせず、絵の中の映り込みなどで、すっと入れ込んでくるのが何とも映画的。

世の中がどんどん戦時体制になっていく普通の街の様子を子供の視点で”ただの景色”として見せていくことの不気味さは戦場で銃弾が飛び交う映像がなくてもとても怖いものがありました。

 

それだけに本作は子供が見れば純粋な児童向けの美しい映画。大人が見れば養護教育・反戦などについて考える動機付けになる作品。

ひとつの時間軸で何層もの構造になって大事なことを同時に伝えるという特殊な芸当は、ドラえもん、しんちゃんなどで子供映画を作りながら、一緒に鑑賞しているオトナまでも釘付けにしてきた制作スキルの集大成でしょう。

 

『バービー』が中学校に置いておき、全生徒に見せるべき映画なら、『窓ぎわのトットちゃん』は小学校・養護学校に置いておくべき金字塔的作品。

最後の5枚は個人的な嗜好全開でセレクト。

 

 

①『The Off-Season』J. Cole(2021.5.14)

"The Climb Back"

 

 

 

②『Call Me If You Get Lost』Tyler, the Creator(2021.6.25)

"WusYaName"

 

 

 

③『Gemini Rights』Steve Lacy(2022.7.15)

"Bad Habit"

 

 

 

④『Utopia』Traavis Scott(2023.7.28)

"Fe!n"

 

 

 

⑤『Zach Bryan』Zach Bryan(2023.8.25)

"I Remember Everything"

 

 

 

20年代も実はもう中盤戦に入ろうとしています。

すっかりストリーミングが定着して時間の許す限りありとあらゆる音楽を享受することができるようになりました。

こうなると音楽も可処分時間を相手取るビジネスになります。

しかしポップ・ミュージックの需要は若い世代に偏る宿命があるのにその世代にはまとまった可処分時間はそれほど多くありませんし、その多くはスマホを通してのなにか別のことをしながらの動画観賞に吸い取られます。

結果、細切れの動画でも鑑賞しやすいショート動画がプロモーションの主戦場になっています。

それ以外では動画を観ながらでは危険で難しい郊外の通勤中の車中のラジオぐらいしかまとまった音楽鑑賞の時間はなくそんなシチュエーションにピッタリのカントリーが存在感を増してきています。

実際注目が集まればお金も動くのでいい作品が生まれやすい土壌ができていますね。

2024年も面白い作品にたくさん出会って、このリストが大きく変化するようなことになると嬉しいです。