『ゴールデンカムイ』 | ポップ・ミュージックのトリコ

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流行音楽を聴きながら、人生を音楽で豊かにしたいと願う、私的でミーハーなブログです。

監督 久保茂昭

 

ジャンル アドベンチャー/冒険

 

出演 山﨑賢人 山田杏奈 眞栄田郷敦 工藤阿須加 栁俊太郎 泉澤祐希 矢本悠馬 大谷亮平 勝矢 高畑充希

 

鑑賞方法 映画館(IMAX)

 

もはやドルビーシネマ・アイマックスなどのいわゆる「ラージフォーマット」体験がしたくて映画館に観に行っている感覚もあるこのごろ。しかしまあ『ゴールデンカムイ』は邦画なわけですよ。映画を好きな人ならみんな味わったことのある『邦画の屈辱』。今度はきっと面白いだろう、と思って観に行ったら、あまりにショボいSF映像を見せられて、「ハリウッドとは違うのだよハリウッドとは」とあざ笑うような声が脳内にかすめること幾度か。やはり同じおカネを払っている以上、いくら日本人びいきをしたくてもガマンできないところ。

ところがここ最近すごくよくできているんですよね。

『キングダム』とか『ゴジラ -1.0』とかはマジでやばいクオリティで、『メイド・イン・ジャパン』が輝いていた1950年代当たりの映画界が復活したかのような映画体験。ハリウッド作品がCGを多用しすぎて現場が逼迫してクオリティが維持できなくなってきている昨今、邦画実写ものは確実に世界に打って出ることのできるクオリティに進化しています。これまでアニメにばかり映像作家は才能が集まっていましたが、これからは実写でも人材があふれ出てきそうな予感がします。

 

そして『ゴールデンカムイ』。『キングダム』と同じ制作チームが山崎賢人を主役に映画を撮るって、もうほぼ『キングダム』なのですが、こちらは北海道が舞台。原作漫画で序盤の活劇としての見せ場である熊との戦いとかって”どうやってごまかすのかな?”なんて思ってたら、ガチのCGで度肝を抜かれました。CGでやるにしてもどうやってあれだけ躍動感のある動きを付けられたのか?『RRR』の虎並みのホンモノ度に『インドにできて日本に出来ないわけがない』という制作陣のホンキが伝わってきました。

 

それに加えてアシㇼパを演じる山田杏奈の魅力。彼女の漫画を再現しきる顔芸から、弓を構えて獲物を狙う時の凛々しい姿には並々ならぬ下準備があったことが伝わるし、その魅力をフィルムに残し切る撮影・効果スタッフの力量にもやられてしまった。『ゴールデンカムイ』と聞いてまず脳裏に浮かぶのは彼女が弓を弾くポーズで構える息をのむような美しいカット。

 

そして何より映画冒頭の日露戦争の戦闘描写。言葉に出来ないくらいの圧倒的な戦場の描写。アクションもできる山崎賢人という俳優の魅力が存分に発揮されています。これはもはやハリウッド映画。年末にリドリー・スコットの『ナポレオン』を観たところだったので、余計にその遜色ない仕上がりに驚きました。

・・・こんなことが邦画にできるんだ、という感慨と感動がごちゃごちゃになった感覚が湧いてきます。

 

世の中には映画を観るだけでもお金がもったいないのに、さらにお金を追加で払って邦画なんかをみるなんて馬鹿げている、と思う人もいるかもしれませんが、今でも脳裏に焼き付く上記をはじめとする数々の見せ場に加えてアイヌの日常生活を垣間見れる美しい映像は映画館で、それもできればベストな環境で堪能するべきだとわたしは思います。

 

そしてこの映画の魅力はコメディの部分がしっかりしていること。

これも制作陣や演者がこの作品の魅力を存分に把握してどうにか伝えようと妥協なしに追求しているからでしょう。

 

もう次作が楽しみです。

山崎賢人はモーレツに働いていますね。作品ははやく観たいけど彼のことはちょっと心配かな。

なんなら彼のドキュメント映画や自伝映画も撮れば面白いことになってそう・・・。