監督 福田己津央
ジャンル アニメ
出演 保志総一朗 田中理恵 石田彰 森なな子 鈴村健一 坂本真綾 折笠富美子 三石琴乃 子安武人 関智一
鑑賞方法 ドルビーシネマ
公開されたらすぐにでも観たい衝動をこらえてドルビーシネマでの公開を待って鑑賞。
その時間をつかって『SEED』・『SEED DESTINY』を全話鑑賞。おさらいをしっかりしたうえで臨みました。
そりゃ20年も待ったら細かい事忘れてますからね。
ただ見直して思い出したのは物語の結実に向かうにつれて露呈する閉塞感。
戦うロボットアニメの代名詞であるガンダム作品なのに、テーマはまさに日本が抱えているような「非戦」による世界の実現は可能なのか?という壮大なもの。
ただ。これは戦闘と勝利を物語の軸に据えて主人公の成長を語ることをができなくなり、主人公たちは戦闘しながら戦うことを否定するというパラノイア的な状況に陥る負のスパイラルに絡めとられてしまうため、ストーリーにカタルシスを得られないという致命的な弱点が発生してしまいます。『SEED』ではそんな矛盾を抱えながらも今はその実現のために戦う、という選択を取り、主人公は絶望しながら戦い抜くという修羅のみちを進むことで、奇跡的にもガンダムにしてガンダムらしからぬエモい作品に昇華していました。一方『SEED DESTINY』ではその連鎖を断ち切ることを物語冒頭で宣言してしまうため、いよいよ何に向かっているのかさっぱりわからず、着地をどこにするのかも見当がつかなくなってゆきます。そりゃこれがガンダム以外の幼稚な作品なら「モビルスーツは全機破壊され、核兵器も根絶され地球は未来永劫に平和になりました」という筋書きが許されますが、残念ながらリアルロボット路線の先駆者たるガンダム作品が、そんなバカみたいな世界を実現してしまうのは土台無理な話です。結局黒幕は戦争をビジネスとしている軍事産業としてつるし上げ、それを排除したうえで、実は全人類を全体主義による管理社会の実現により支配する独裁者の存在こそが悪でした、という物語の大どんでん返しで切り抜けたのが『SEED DESTINY』でした。
政治的・軍事的な決着は「モヤっと」しながらも何とか着陸させることに成功しているのですが、終盤においてはそこに物語の配分を置きすぎたので、各キャラクターの成長という意味では消化不良な終結のままになってしまっていました。
さて、そんな中、劇場版の『SEED FREEDOM』です。
これは『逆襲のシャア』が『Z』『ZZ』を通じて語れなかったアムロとシャアの物語に終止符を打つ作品であったように、キラ・ラクス・アスラン・カガリ・シンにもうワンチャンス用意して彼らの群像劇に何らかの帰着点をつけるための作品になることは明らか。
そんなことが2時間ちょっとの上映時間でやり遂げられるのか心配でしたが、見事納得のいくエンディングをみとどけることができました。
そしてその筋書きに用意されたのは自由主義を脅かしつある、権威主義あるいはエリート主義による支配の是非。いままさに世界が向かっている新秩序に対するガンダムSEEDなりの回答になっていて、ただの終章映画になっておらず現代的な問題提起を行っているのもすごい。
こんなの見せられたらまた続きが見たくなる・・・いや、それはまた20年後になってしまうのか。


