『オーメン:ザ・ファースト』 | ポップ・ミュージックのトリコ

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流行音楽を聴きながら、人生を音楽で豊かにしたいと願う、私的でミーハーなブログです。

 

監督 アルカシャ・スティーブンソン

ジャンル ホラー

出演 ネル・タイガー・フリー ビル・ナイ ラルフ・アイネソン チャールズ・ダンス ソニア・ブラガ アレッシア・ボナッチ マリア・カバイェロ ニコール・ソラス ミア・マクガバン・ザイニー アンドレア・アルカンジェリ タウフィーク・バルホーム

鑑賞方法 鑑賞方法 映画館(近所行きつけ)

 

ホラーはあまり得意なジャンルではないので観るかどうか迷いましたが、これを逃すと『猿の惑星』まで洋画で目ぼしい劇場作品が無いので意を決して劇場へ。

劇場の観客は9割女性という『アイアンクロー』とは真逆の男女構成比。最近のホラー映画を支える顧客層を象徴していました。

映画の主役も公開当時すでにオッサンの年齢に達していたグレゴリー・ペックからネル・タイガー・フリーをはじめ若い女性陣にシフトチェンジ。映画のルックそのものも『ラスト・ナイト・イン・ソーホー』のようなオシャレな感じになっていて往年のオーメンとは隔世の感があります。

オカルト映画なのでグロ描写はちゃんと手加減なしにあるのですが、主演陣の麗しさに加え舞台が風光明媚なイタリアのローマになっていることで独特の様式美の世界に染め上げられており、何とも言えない背徳的な感触で最初から最後まで怖いのに気持ちいい感覚に包まれました。

『オーメン』原作への愛もふんだんに感じられて、もちろんクライマックスでは世界的に有名なあのテーマ曲"Ave Satani"が劇場に流れ、怖さでドキドキしながらもテンション爆上がり!これ劇場で聴いたらものすごく怖いのに神秘的でなんか頭の中が心地よさと嫌悪感でゴチャゴチャになってまさに悪魔的な何かに感性を持っていかれます。

惜しむらくは主演のネル・タイガー・フリーが迫真の演技を見せるクライマックスでまるで昭和の時代のような雑なモザイクが画面の中央を占拠して何が起こってるのかよくわからないところ。

まあ、より広い年齢層にみてもらうには仕方のない処理ですが、グロ描写さえも美しく切り取る映像美が台無しでなんとも勿体ない。

これはモザイクが無くなるなら配信でもう一度観たほうがよさそう。

いわゆる前日譚ものなので、結末がわかっている分、もうこれっきりで彼女らの活躍も見納めかと思ったら、まさかのアナザーストーリーへの扉が開かれるエンディングになっていたのも意外でしたね。

劇後半につれて、主役陣の演技がいいので”ああ、まだ終わらないで”という気持ちになってくるのでこれはありがたい演出でした。

主役のマーガレットを演じるネル・タイガー・フリーも良かったのですが、友人役のルスを演じたマリア・カバイェロもカルリータを演じたニコール・ソラスも負けず劣らずめちゃくちゃ良かったですね。

配信シリーズものでもいいので是非とも早く彼女らの活躍が観たいです。ディズニーは必ずやってくれるはずでしょう。

『沈黙の艦隊』『サンドランド』『ゴールデンカムイ』とこういう展開になるものが最近多いのですが、どれもクオリティが高くて、いやな気持ちになるどころか嬉しくなります。映画館と配信サービスの融合も次のステップに向かっていますよね。

日本ではドラマと劇場版のミックスはドラマ先行のことが多かったわけですが、劇場先行の『海猿』方式が今後しばらく研究されそうな流れがきています。

ホラーは苦手なのにオーメンにはすっかりドハマりしてしまいました。

 

当ブログ的にはNancy Sinatra & Lee Hazlewoodの"Some Velvet Morning"が使われているところはちゃんとピックアップしておきましょう。

マーガレットが物語の舞台となる教会に向かうために空港からローマに向かうタクシーに乗っているシーンでこの曲が流れるのですが、個人的にはここでこの映画に対する信頼度が爆上がりしました。

"Some velvet morning when I'm straight

I'm gonna open up your gate"♪

と歌い始められる歌詞がこれから教会の扉を開けようとする主人公の描写にピッタリ嵌っています。しかもナンシー・シナトラは米国の歌手なのにこの曲はヨーロッパで大ヒットしてるんですよね。そのあたりも米国からきたマーガレットの設定にぴったり合ってます。