中東戦争でパレスチナからエジプトに退避し
た日本人女性のインタビュー映像をテレビで
ご覧になりましたか?
国境なき医師団メンバー、白根麻衣子さん。
テレビに映る顔を目の当たりにしながら、
「私、この人知ってる。どこで会ったんだろ
う? 名前も聞き覚えがある」
何度も顔を見るたびにそう思っていて、ふと
母校の中高で教鞭を執っていたときの教え子
ではないかしら? と思ったのです。
急いで、母校の学校関係者に連絡して尋ねた
ところ、やっぱりそうでした。
人懐っこい子でした。いつも私に、
「清水先生の黒板の字に癒やされるんだよね」
と、言ってくれていた中学生の白根さん。
きっとそれでよく覚えていたのです。みんな
のいいところを何か見つけては、誰とでも自
然に接することができる、そんな子でした。
だから、こうした世界を股にかけるような大
仕事に着いたのね、と「人」の天性の資質、
そしてそこから展開されるべき「人生」とい
うものを強く知らされる思いがしました。
作品タイトル: 「 遠く淡くなって行く 」