書家 清水恵エッセイ 『 ときどき書心 』vol.6 | インテリア書道の専門店 & ギャラリー キャレモジ

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夕べは深夜まで横尾忠則さんの新作誕生の

現場に潜入するBS番組に釘付けでした。

 横尾さん87歳。コロナ禍の1年間をアト

リエに籠もり、100点余りの新作を完成さ

せたとか。題材は「寒山(かんざん)拾得(じっとく)」。

寒山と拾得の2人は、中国唐代の脱俗僧。

寒山寺に伝わる風狂の詩人僧としての伝承を

持ち、古来水墨画の画題として禅宗寺院の画

僧によって多く描かれました。

髪はボサボサ、寒山は手に経巻を持ち拾得

は箒を持ち、そのそれぞれの表情はさまざま。 

とりわけ狩野山雪が描いた寒山と拾得は顔

が何とも横尾さんによく似ている。(笑)

さすが横尾さんも脱俗? いや風狂ですな

あと思いきや、横尾さんが描き出す寒山と拾

得は色彩が実に若々しく瑞々しい。モノクロ

水墨画が突如カラー映像に変わる醍醐味あり。

 それでも現場の横尾さんは筆を執りカンバ

スに向かうも「フウフウ」と息荒く。体力の

限界に挑みつつ、命を振り絞るかの制作。

 その精神力を画面越しに頂戴しましたよ。

筆の究極、まさに精神と情熱ですなあ。

 

作品タイトル: 「 もうすぐ芽が出そうよ 」