MMT派ハドソン教授による「アメリカと銀行家たちが、IMFや世界銀行を通じて、グローバルサウスをドル負債の返済地獄に陥らせ支配している」というロジックを、ノーベル経済学賞受賞者のスティグリッツが証明している。


ハドソンのロジックの簡略図

この記事は前回の続きとなる。

 

*この記事はシリーズ「全体主義からの脱獄」の一部となる。他の記事はこちらから。

 

書籍「世界を不幸にしたグローバリズムの正体(2003)」以降のスティグリッツの著作、合計6冊の記述を引用していく。
アメリカとIMF、銀行家のグローバルサウス支配は今も続いている。


「私の信じるところを述べるなら、先進国がIMF、WTO、世界銀行などの国際機関を通じて行った援助は、…ときとして途上国にさらなる苦難を強いた。実際、IMFのプログラムは明らかに東アジアの危機を悪化させたし、旧ソ連と衛星諸国に押しつけられたIMFの”ショック療法”は、市場経済への移行が失敗する大きな要因となったのだった」
- 世界に格差をバラ撒いたグローバリズムを正す(2006)(p.21)

「実際、IMFと世界銀行は、あまりにも条件をつけすぎると批判をうけてきた。現在、両機関はみずからの行き過ぎを認めており、ここ5年間で援助条件の数は大幅に減少している。
途上国の大半は債務問題に直面している。政府支出額の半分以上、もしくは貿易による外貨獲得額の半分以上を、債務の利払いに充てざるを得ず学校や道路や診療所の建設を断念する国もある。
…G8サミットは、IMFと世界銀行が保有する最貧国18カ国の債務を100%免除することで合意が成立した。過去二回、債務削減が試みられたあとも、相変わらず途上国の多くは過剰債務に苦しんでいる。…債務総額は概算で1兆5000億ドル。このうち三分の一が、低所得諸国が抱える債務だ。数度の債務免除にもかかわらず、低所得国の債務額水準は上昇を続けている
- 世界に格差をバラ撒いたグローバリズムを正す(2006)(p.52)

アルゼンチンは二〇〇二年一月に生じた債務不履行の影響に対処していた。それは史上最大級の債務不履行であり、三年半前のロシアの債務不履行に匹敵する規模だった。不履行の前に、約1500億ドルの対外債務 (IMFと世界銀行にたいする負債をふくむ)が経済を壊滅させていたのだ。二〇〇一年には公債と公的保証付き融資への返済額だけで、輸出額の44パーセント、GDP の10パーセントを占める160億ドルに達していた。アルゼンチンからモルドバ、アフリカからインドネシアに至るまで、債務は世界じゅうで途上国に過酷な負担を与えている。…債務の返済はしばしば、教育や医療プログラム、経済成長、国民の幸福などを犠牲にすることを国に強いる
資金は富裕な国から貧しい国へと流れるべきだが、債務返済があまりに巨額になったせいもあって、ここ数年、資金の流れは逆になっている。当然ながら、途上国から金が流れでてしまえば、経済成長と貧困の解消はますます困難になる。
問題のありかは明白だ。 途上国は過剰な借入れをしてあるいは過剰な貸付をされているばかりか、二次的な金利の上昇や為替相場の変動、所得の減少など、ほとんどあらゆるリスクを負わされている。これを考えれば、途上国が借金を返済できない場合が多いのも驚くにはあたらない」
- 世界に格差をバラ撒いたグローバリズムを正す(2006)(p.315)

「なぜ利潤最大化をはかる熟練した貸し手が、それほど ひんぱんに貸しすぎてしまうのだろうか? 貸し手は、儲かるからこそ負債を勧める。途上国政府は、借りすぎを強制されることさえある。融資にはリベートがつく場合が多く、もっとひんぱんなのは事業計画への出資にリベートがつく場合だ。
たとえ汚職のレベルまで行かなくても、西側の経営者や融資家に影響を受けるのはたやすい。彼らは借り手の責任者たちを気前よく接待して、融資パッケージを売り、なぜ今が借り時なのか、なぜそのパッケージが特に魅力的なのか、なぜ今が債務編成の適時なのかを説いて聞かせる。
借金がリスクに値することを確信できない国々は、信用格付けを得ることがいかに重要かを論される。たとえ実際に金が必要でなくても、借りろということだ
わたしはこれをベトナムで目の当たりにした。」
- 世界に格差をバラ撒いたグローバリズムを正す(2006)(p.321)

「もし金利が7パーセントから14パーセントに上昇すれば、国の返済額も倍増する。上昇の前に、債務返済に輸出収入の25パーセントを支払っていたとすると、上昇後には、50パーセント支払うことになる。つまり、不可欠な輸入品に支払う充分な金額がのこらない。これがアルゼンチンに起こったことだ。 主として、新興市場にたいする金利が上昇したせいで、アルゼンチンの債務返済額は一九九六〜二〇〇〇年までのあいだに二倍以上になった。
これらの事例では、債務が返済不能なレベルになったおもな要因は、国境の外からやって来た。 多大なリスクを負わされ、変動の激しい世界市場にさらされた途上国では、…途方もない債務負担に変わってしまう可能性が…多い。事態をさらに困難にしているのは、融資がおもに短期(ときに要求払い)であるせいで、外国の銀行は、景気減速の徴候があればすぐに途上国から資金を引きあげることができるという事実だ。」
- 世界に格差をバラ撒いたグローバリズムを正す(2006)(p.324)

「東アジア危機への対処ぶりを現場で直接目にしてきた私は、…賞賛する気にはなれなかった。…東アジアの人々にとって、”世界を救う委員会”の肝いりでIMFとアメリカ財務省が行った政策は、危機を現状よりはるかに深刻化させるものでしかなかったからだ。景気下降の局面においては、拡張的な金融政策ならびに財政政策を講じる必要があるというのが、現代マクロ経済学の知見だが、彼らの政策にはそういう基本原則への理解が欠けていた」
- フリーフォール(2010)(p.12)

「IMFと財務省の行動は、不況を長引かせ、深刻化させたのか。…私から見ると、答えははっきりしている。IMFと財務省が推し進めた高金利と支出削減の策は…危機の傷口を広げた。」
- フリーフォール(2010)(p.17)

「IMFを直接この目で見てきた経験から、IMFに融資を願い出るのをためらう国があることは理解できた。IMFの資金提供には、必ずきびしい条件が課され(中央銀行が金利を引き上げるか、赤字が削減されるというマクロ条件、政府が銀行を民営化するという構造条件、政府が中央銀行を完全に独立させるという政治条件が相まって、独立した政策決定の範囲を狭めているので、これらの条件は経済的主権を奪うものだとみなす途上国が多い)、現実にはそれが苦しんでいる国々の景気をさらに下降させてしまったこれらの条件は、ヨーロッパの債権国ができるだけ多くの資金を回収できるように立案されたもので、苦しんでいる国が経済力を維持できるようにするためのものではないIMFがひんぱんに課す厳格な引出条件は、世界じゅうで暴動を誘発してきた。最も名高いのは、東アジア危機の最中のインドネシア暴動だ(アルゼンチン、ブラジル、コロンビア、ケニア、韓国、ジンバブエでも起こっている)。
IMFのプログラムは過去のものと著しく異なっていたが、いまだに過酷な引き出し条件を課されている国もあるようだった。その条件の中には、予算削減と高金利という、ケインズ経済学が推奨する条件とは正反対のものも含まれる。」
- フリーフォール(2010)(pp.303-304)

「〔リーマンショックについて〕…現実を見るかぎり、有罪判決を受けるべき連中の多くは訴追さえされず、訴追されてもたいていは無罪となり、服役する者は皆無に近かった。ヘッジファンド業界では、イン サイダー取引で有罪判決を受けた者が数名いたものの、これは枝葉末節の問題でしかなく、議論の本筋を見失わせる危険がある。世界金融危機を引き起こしたのは、ヘッジファンド業界ではなく銀行業界だ。そして、銀行家はほとんど全員が自由の身になっている
- 世界の99%を貧困にする経済(2012)P.22

「政治と経済の機能不全は、たがいに相乗効果を与え合っている。富裕層の声を増幅する政治制度は、法律と規制そのものだけでなく、法律と規制の執行をもゆがめる可能性が高い。このように設計され た仕組みのもとでは、富裕層が一般市民を食いものにし、社会全体を犠牲にしてさらなる富の蓄積を進めていくだろう。
市場を形成してきたのは政治であり、最上層が残りすべてを搾取できる仕組みを構築したのも政治である…。経済制度は法と規制がなければ機能せず、その活動は法的枠組みの中に限定される。枠組みには数多くの種類があり、どの枠組みを選択するかによって、成長性や効率性や安定性や富の配分が左右される。経済界のエリートたちがせっせと築き上げてきたのは、他者の犠牲のもとで自分が利益を得る枠組みだ。
- 世界の99%を貧困にする経済(2012)P.27

「IMFは、…危機に陥った国に対して貸付などの救済を行ってきた。しかし救済を行う際に、IMFはいくつかの条件…を付けることが多い。例えば1997~98年のアジア通貨危機では、各国に財政赤字削減のための緊縮財政政策をとることを条件づけた。スティグリッツによれば、こうしたIMFの救済策は市場原理主義のワシントン・コンセンサスに基づき、……適切に対応していないというのである。また為替レート維持のために高金利政策をとることを求めたが、…IMFのこうした対応はウォール街の金融業界の利益を反映したものであると批判する」
- スティグリッツの経済学 「見えざる手」など存在しない 薮下史郎著(2013)(p.186)

「国際的なルールもまた変わりつつある。多くは同じ誤った経済理論の影響下にあり、同じイデオロギーと似通った経済的利益に動かされている。いくつかの問題では、アメリカはロールモデルとみなされていた。あるいは、アメリカは自国の影響力を世界銀行やIMF、WTO、G20その他の国際的な舞台で行使し、他の国にさらなる不平等やさらなる景気低迷に繋がるような変化を強いることもあった」
- これから始まる「新しい世界経済」の教科書(2016)(p.16)

IMFはこれまでアメリカの意見に支配され、アメリカへの批判には及び腰だった…」
- プログレッシブ・キャピタリズム(2020)(p.22)

「世界銀行のチーフエコノミストという当時の私の立場から見れば、世界的なルールが偏っているのは明らかだった。そのルールは、アメリカなどの先進国に…有利な内容になっており、発展途上国の犠牲の上に成り立っていた。貿易協定は、アメリカやヨーロッパに利益を、発展途上国に損害をもたらす不公平なものだった」
- プログレッシブ・キャピタリズム(2020)(p.134)

アメリカの経済規模は、中国やヨーロッパの経済規模とさほど変わりがない(まもなく中国の経済規模は、アメリカを30%以上超えると予想される)。その両者が協力してアメリカに対抗したり、どちらかが「第三世界」を味方につけたりしたら、アメリカの優位性は瞬く間に消え失せてしまう。
- プログレッシブ・キャピタリズム(2020)(p.137)


極めつけは、下記の2022年の記述だ。米・IMFによる支配体制が、ほとんど変わっていないことが伺える。
 

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▼IMFの追加料金:世界的な回復のためのLose-Lose政策
ジョセフ・スティグリッツ、ケビン・P・ギャラガー 2022年2月7日
https://voxeu.org/article/imf-surcharges-lose-lose-policy-global-recovery

IMFは、多額の借入を行わなければならず、債務を迅速に返済することができない国々に多額の追加料金を課しています。
このコラムでは、これらの追加料金は、国が最も余裕がないときに課せられる景気循環的な罰金であると主張しています。
それらは、借入国とその投資家の両方の潜在的な結果を悪化させ、両方を犠牲にしてIMFに利益を発生させます。
このIMFへの資源の移転は、危機に瀕している国の貧困、健康、教育、そして全体的な幸福のレベルだけでなく、その潜在的な成長にも影響を及ぼします。

…各国がIMFの支援を求めることを選択した場合、それは通常、他に選択肢がないためです。その見返りに、彼らは彼らの経済政策に対するかなりの主権を放棄することを余儀なくされています。 

多くの場合、IMFが経済的収縮につながる逆効果の条件を課し、またIMFは、民間債権者の借入国からの資金引き出し制限を課すことができなかったため、うまくいきませんでした。

…IMFは、COVID-19危機の始まりから2022年の終わりまで(IMF 2020)、借入国が利息の支払いと手数料に加えて40億ドルを超える追加料金を支払うと見積もっています。
ハードカレンシーで支払われるこれらの追加料金は、通常、通貨の不足に直面しているときに借入国に課せられます。
追加料金は循環的であるため、逆効果です。追加の外国為替要件を満たすために、各国は、貧困の増加を含むあらゆる面で社会に莫大な費用をかけます。
輸入の削減など、さらに収縮的な政策をとることを余儀なくされる可能性があります。IMFは根本的な問題を悪化させるのです。

…多くの場合、数年以内に大幅な債務削減につながります。景気循環を促進する罰金は、借入国が最も余裕がないときに課せられるため、追加料金は、借入国自身、その投資家、および民間債権者の結果にさらに打撃を与え、すべてを犠牲にしてIMFに利益が発生します。 

…ワシントンに本拠を置く経済政策研究センター(Arauz etal。2021)によると、アルゼンチンは2018年から2023年までの追加料金に33億ドルを費やします。
これは、すべてのアルゼンチン人に完全にCOVID-19の予防接種を行うために費やす金額の9倍に相当します。 
調査はまた、追加料金が、5つの最大借入国がIMFに負っている全債務返済の45%であることを発見しました。 
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Covid-19のパンデミックでチャド、エチオピア、ザンビアなどの発展途上国に債務危機が訪れたことは世界銀行も報告する。
https://thedocs.worldbank.org/en/doc/cb15f6d7442eadedf75bb95c4fdec1b3-0350012022/related/Global-Economic-Prospects-January-2022-Topical-Issue-1.pdf

スリランカはソブリン債の引き受け手を、利率が高く短期融資を扱う民間国際金融市場に頼る構造に移行した結果、デフォルト(債務不履行)した
https://www.dw.com/en/sri-lankas-foreign-debt-default-why-the-island-nation-went-under/a-61475596


債務国では、ドル建ての政府債務の民間引き受け比率が上がってきている。
(出典:世界銀行、「Brady」=ドル建ての国債 https://www.investopedia.com/terms/b/bradybonds.asp

スリランカのデフォルトについて、MMT派のステファニー・ケルトン教授とファデル・カバウブ教授(米デ二ソン大学)は、「スリランカのデフォルトはMMT式の野放図な財政運営を行ったのが理由」とする言説に反論している。
https://econ101.jp/%e3%82%b9%e3%83%86%e3%83%95%e3%82%a1%e3%83%8b%e3%83%bc%e3%83%bb%e3%82%b1%e3%83%ab%e3%83%88%e3%83%b3%e3%80%8c%e9%81%95%e3%81%86%e3%80%81%e3%82%b9%e3%83%aa%e3%83%a9%e3%83%b3%e3%82%ab%e3%82%92%e9%9b%a3/

カバウブは、スリランカは、何十年もの間IMFの指示書に従い、合計16件もの融資受けたうえ、輸出入と対外債務、外国の融資に頼る古典的なIMFスタイルの経済開発モデルを採用してきたことが原因だと指摘する。
https://frontline.thehindu.com/cover-story/roots-of-sri-lanka-economic-crisis/article38467127.ece

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アメリカとIMFが何を行ってきたかはすでにわかったと思うが、最後に、ダメ押しでジェフリー・サックス教授の、今年に入ってからの話も引用しておこう。
サックスは、国連事務総長の顧問を18年間勤め、現在、国連サスティナブル開発ネットワークの所長、コロンビア大学の教授を務めている。

サックスは国連のSDGs系のブリーフィングの場で、植民地支配を脱しようとしたコンゴのルマンバ大統領をCIAが暗殺(1961年)し、コバルト等の鉱物資源を略奪するなどして、西側がアフリカを貧しくしている、現在は米軍をバックにつけた民間企業が同じ支配体制を構築していると糾弾している。
また、コロナ禍では、世界銀行や富裕国は、貧しい国に5%、10%もの金利で債務を押しつけようとし、資金を借りることさえもできず苦しめている現状があるため、ゼロ金利で融資すべきだと、加えてG20にアフリカの代表を加えG21にすべきだと提案している。
https://www.youtube.com/watch?v=TeKeGzeZ_6Q


20世紀初め、植民地時代に片手を落とされたコンゴ人

1904年、5歳の娘の切断された手と足を見ているコンゴ人奴隷

コンゴでは、1885年から1908年までのあいだに人口の半数、1000万人が殺されるか強制労働で死んだ。
天然ゴムの生産ノルマを達成できなかった者や反抗的な者は手を切り落とされた。ベルギーとタイヤ会社の「ダンロップ」、「グッドイヤー」はこうした搾取の上に事業を築いた。
壮絶な植民地支配が表面上廃止されたあとも、1961年に「反白人の共産主義者」だとレッテル貼りされたルマンバ大統領がベルギー警察とCIAに処刑されるなど、米欧の支配が続いている。
https://www.sydneycriminallawyers.com.au/blog/a-forgotten-genocide-the-congo-free-state/
https://www.bbc.com/news/business-48533964


世界中で同様のことが起こっている。米国の支配体制に逆らう者は、NSAやCIAがエコノミック・ヒットマンなどを送り込み暗殺された。
https://www.youtube.com/watch?v=v8Xsz62O-fU

サックス教授はアフリカ連合との会合では以下のように語っている。
私のアフリカ経済に関する研究結果は、IMFや世界銀行に所属するかつての私の生徒たちとは全く違います。彼らから30年債などの長期債の借入をしたら、もっと教育、社会保障、そして電気設備、鉄道や道路の建設にお金を使うべきです。短期の5年債では債務危機に陥るだけです」、「世界銀行はホワイトハウスに近すぎるため、決して皆さんに答えを教えません。彼らよりも他の世界中の友人を頼るべきです。例えば中国や湾岸諸国、インドがいます」、「民間セクターでなく、中国のような政府主導で公共セクター(インフラ・教育・社会保障・環境)への投資を優先させれば、GDPは中国のように急速に何十倍に成長します」、「国際機関のシステムはひどい欠陥を抱えています。IMFは子供が学校に通っているか、医療や保険制度が十分かどうかなんかも気にしません
https://lawrencefreemanafricaandtheworld.com/2023/03/07/jeffrey-sachs-agrees-with-me-financing-infrastructure-essential-for-africas-development/
https://africanagenda.net/professor-jeffrey-sachs-economist-speech-to-the-africa-union-the-times-are-perfect-for-longterm-rapid-development/


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米国とIMF、そして金融家は、「意図的に」グローバルサウスの国々に高利で債務を押しつけ、暴利をむさぼってきた。

スティグリッツ教授はその理由を「誤った経済学理論を選択したため」と言うが、その見解の端々に、「意図的に」やっていると確信していることが伺える。

「世界を不幸にしたグローバリズムの正体」では、この搾取のシステムを構築した理由は、ワシントン・コンセンサス(IMFと米国の間で結ばれた新自由主義政策、つまり民営化・自由化・グローバリズム・金融化のこと)を採用したせいであり、それは金融機関出身者で占められるIMFの幹部が、IMF退官後により良い条件で金融機関に再就職するためだったと示唆されている。

敵はハーバードやコロンビア大学を卒業した世界で最も頭の良い詐欺師たちであり、この世界規模の詐欺を白昼堂々、公的に行っているため警察組織に捜査されることもない。
これは「世界の99%を貧困にする経済」でも示唆される通りであり、彼らスーパーエリートの犯罪を証明することは極めて困難なのだ。

ようやく結論にたどり着いた。
とにかく、「どうせ学会の片隅で陰謀論にかぶれた無名の学者が言ってるだけで信憑性がない」と感じる人たちの感覚が正しくないことは証明できたのではないだろうか。
ハドソン教授のロジックはほぼ事実に違いない。

さすがに、最強の権威であるノーベル経済学賞受賞者や国連事務総長顧問を「陰謀論にかぶれた」などと言う人もいないだろう。

 

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