防衛省の皆さん、見てますかーー!?

防衛省は「日本の防衛に関して正しい発信をするインフルエンサーにアプローチする」というが、ぜひ筆者を検討してほしく思う。
https://nordot.app/973917552334143488


岸田文雄工作員は「安定した財源が不可欠だ。国債は未来の世代に対する責任として取り得ない」「(安定財源としての増税)を国家の意思として毅然として内外に示す。強い決意を持って臨んでいく」として防衛費増額の原資を増税とする強い姿勢を見せた。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA103GA0Q2A211C2000000/
https://sp.m.jiji.com/article/show/2864813

所得税なのか法人税なのか消費税なのか、はたまた復興税なのか定かではないが、とにかく防衛費の財源には増税をすることだけは決まっているようだ。
「検討使」と揶揄される岸田が随分と思い切ったものである。

いつなんどきでも政府自民党を支える「夕刊フジ」の世論調査ですら、この件に関しては「9割以上が増税反対」としている。
https://www.zakzak.co.jp/article/20221210-WFZRD44YYZOJRHHENDGVCN2NAI/photo/JO57PGXXVVE6PDV6ZEFT6KG27M/


この増税案は、相変わらずだが愚策でしかない。
「未来の世代に対する責任」を感じるのならば政府支出/国債発行をせねばならない。


細かい予算、予定、財源の話は置いておいて、とにかく日本政府は緊縮財政と増税で毎年数兆円もの財源を確保するということだが、岸田や自民党、財務省官僚らの指針はすでに以下の有識者会議の議論で規定路線が定まっていることがわかる。
岸田の種々の発言がこの会議の議論からブレることはないのでその証左となるだろう。
 

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▼第4回    令和4年11月21日(月)
「国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議」報告書(PDF/583KB)
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/boueiryoku_kaigi/index.html
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/boueiryoku_kaigi/pdf/20221122_houkokusyo.pdf
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この幼稚な報告書を逐一論破していこうと思う。
報告書内の「3.経済財政の在り方(p.17以降)」、つまり財源に関する考え方の部分にツッコミを入れていく。

本記事読者の皆さんにおいては、高卒の底辺ミュージシャンにエリートが完全論破される様をニヤニヤしながら楽しんでもらえれば本望だ。

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防衛力有識者:
①国力として防衛力を強化するためにも経済力を強化する必要がある。
防衛力強化は我が国の経済力強化にもつなげられそうだ。
我が国の財政基盤の強化も欠かせない。

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「防衛力を強化するためにも経済力を強化する必要がある」ことは間違いない。
しかし、今回の防衛費増額の施策は、「防衛力を強化するために経済力を疲弊させる」ことに他ならない。
緊縮財政と増税により、市中の流通貨幣量を減らせば不況になるだけであり、経済力が毀損されることは間違いないからだ。
これでは「財政基盤の強化」をするどころか弱体化をさせることになる。

また、「防衛力強化が経済力強化につながる」とのことだが、これは一面だけを捉えるならそうだろう。
防衛関係予算を支出すればそれだけその分野には貨幣が供給される。しかし広く浅く庶民から緊縮財政と増税により資金・購買力を召し上げ、防衛分野にだけ分配するのでは本末転倒である。

ましてや防衛装備の購入の多くはその対象が海外企業、とくにアメリカの軍事産業になりかねない。
つまり、少なくない金額に関して、庶民から金を奪いアメリカの軍事産業に金を貢ぐような金の流れになるということだ。
したがって、防衛力有識者会議と財務省の「絵に描いた餅」のように経済力強化に繋がることはない。
仮に防衛費増額を求めるのであれば、流通貨幣の減少と破壊を促す緊縮財政と増税による財源確保の手法に頼るのはなく、純然たる貨幣量増大となる政府支出・国債発行に求めるべきだ。


国債発行とは通貨発行(マネーストックの増加)に他ならない

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防衛力有識者:
②(国債の)資金調達を海外投資家に依存せざるを得ない事態に備えることも必要だ。

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自称有識者たちは、いかなる事態を想定して国債を購買する主体が「海外投資家」になると指摘しているのだろうか。
現在の既発国債保有主体の90%以上は日銀と国内金融機関である。
https://www.mof.go.jp/jgbs/reference/appendix/breakdown.pdf

国債は国内金融機関が必ず購買するよう利率が設定されており、十分なインセンティブが付与されている。
また、日銀はそのルール上「最後の貸し手(LLR/Lender of Last Resort)」の機能を有している。日銀が国債の買いオペ業務を拒否するという事態はありえない。(日本銀行法第33条)
https://www.boj.or.jp/announcements/education/oshiete/pfsys/e03.htm/

そのため、財務省指定の国債価格で未達が起こることは殆ど起こらないし、結果として必ず取引が成立している。
もしマイナス金利等の影響で国内金融機関が国債の購買を忌避する心配があるというのであれば、その方針を変えればよいだけである。

加えて言うなら、金融市場に海外投資家を参入させるべく規制緩和したのは自分たち財務省である。
自分で外国人投資家を呼び寄せておいて、「海外投資家に依存せざるを得ない事態に備えることも必要だ!」との言いようにはまったく恐れ入る。
マッチポンプに他ならない。財務省内には海外投資家と通じた工作員がいるのだろうか。

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防衛力有識者:
③英国政府の大型減税が大幅なポンド安を招いたことは、国際的なマーケットからの信認を維持するのに重要だ。

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「英国政府の大型減税が大幅なポンド安を招いた」との認識は正しくない。
もともと英中銀のイングランド銀行は、各国中銀と同様にコロナ禍でQEを講じ低金利維持を目標としていたが、2022年に入りインフレ対策のため利上げに動いた。
しかし米国の利上げスピードに追い付かず日英金利差が拡大し、ポンド安が進んだという経緯がある。



加えて、トラス首相の減税政策に過剰に反応した市場参加者による国債・ポンド売りによって金利が高騰。当時利上げ方針を堅持していたイングランド銀行の対応が遅れ、瞬間的に混乱が生じたという事案だ。(市場参加者/投機筋は金利高騰により金儲けができる)


英10年債金利
https://jp.investing.com/rates-bonds/uk-10-year-bond-yield

しかし半月ほどで、イングランド銀行は買いオペにより金利高騰とポンド安を抑制したことも事実であり、少々過剰なボラティリティが生じても中銀のオペが強力で盤石あったことも同時に物語る。
(この件は複雑であるので別稿で論じなければならない)

結局、中央銀行による介入は、中央銀行がいつでも債券利回りをどのような水準でも安定させることができ、債券投資家が国債売りなどを介して圧力を加えようと、債券利率変更のためにできることはほとんどないことを証明した。
トラス首相辞任表明は、閣僚の不祥事など複合的な要因がある。

英国債市場はイングランド銀行の利上げのためのオペレーションを続ける最中、過大な金利高騰圧力が加わったため一時的に混乱をきたしたが、結果的に事態の収束を見た。
このことはYCC/QEを継続する我が国の中央銀行である日銀のオペを見ればより顕著となる。


指値オペで完璧に金利をおさえる日銀

 

http://bilbo.economicoutlook.net/blog/?p=50605
これがYCCパワーである。例え投機筋が国債売りを仕掛けようと金利を閾値の0.25%に貼り付けることができる。

「防衛力有識者」は、なにか「減税が通貨安を招く」かのような短絡的・近視眼的思考に陥っているようだが、国際情勢・金融政策に関するあまりの見識のなさに愕然とする次第だ。


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防衛力有識者:
④公的債務残高の対GDP比の高い我が国は、国際マーケットからの信認の維持を意識しなければならない。

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「公的債務残高の対GDP比」とは、GDPに比した累積債務残高のことであるが、財務省と有識者は、それが他先進国より多いことを心配しているようだ。
しかし累積債務の多寡自体に特に意味はない。(実際は債務ではなく負債であるので返済する必要すらない)
どの不換貨幣発行国も、国力(供給能力/生産力)に合わせて負債を発行し、必要な行政予算に振り向けている。

下記画像で一目瞭然であるが、2000年以降の政府負債の増加率は、日本より他先進国のほうが高い
累積の負債額や比率がどうであろうとどうでもいいのだ。


(体調や体重を気にする人がいたとして、今まで生きてきたなかで累積で何キログラムのラーメンを食べて来たかなどを気にする愚かな人がいるだろうか。気にすべきは昨日食べたラーメンと今日の体重、新陳代謝の関係ではないだろうか。そして新陳代謝の能力は人によって違うのである)

米英仏に比べ経済成長率の低い日独伊は負債増加率も低いことから、負債を増やしていないから成長しないのだと言える。



公的支出とGDPはほぼ並行し、相関している。これは国債発行を介した公的支出こそが対GDPで最も大きな変数であることを示している。

また、日本の状況は、呼び水政策と緊縮財政政策(Stop and Go政策)を繰り返したことにより余計な国債を発行せざるを得ず、負債率を高めてきたことが原因である。
https://ameblo.jp/cargoofficial/entry-12664539224.html

債務対GDP比を改善したい、またはGDPを増加させたいのであれば、緊縮財政に陥らず、負債の発行により国民に潤沢な資金を供与し、経済を拡大していくべきである。
経済が拡大し税収が増加すればおのずと債務対GDP比は改善される(本来は改善を目指す必要すらない)。
逆に、緊縮と増税により債務対GDP比を減らそうとすると、その努力に反し債務対GDP比が増えることが事実だ。
現状の負債対GDP比を上図のように仮定する。
政府負債を減らすと当然ながらGDPも減る。結果として負債対GDP比は悪化する。
逆に政府負債を増やすと当然ながらGDP増える。結果として負債対GDP比は改善する。
https://ameblo.jp/cargoofficial/entry-12706071004.html
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防衛力有識者:
⑤自らの国は自らが守るとの国民全体の当事者意識を多くの国民に共有していただく

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キミ達公務員とみなし公務員に、国民がどう考えるべきかをアレコレ指図される筋合いは1ミリたりとてない。
愚かなことを言ってないで、公僕は憲法15条にしっかりと従いなさい。
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防衛力有識者:
⑥安定財源の確保が基本である。防衛力の抜本強化のための財源は今を生きる世代全員で分かち合っていくべきである。

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安定財源とは政府支出と国債発行のことである。これは既に本稿で論じた。
国債発行が「将来世代の負担になる」という認識であるのなら、それは完全な誤りである。
国債発行額を抑えようと緊縮財政を貫き、国民生活を毀損しては経済力・国力を衰退に導くだけであり、それこそ「将来世代の負担になる」のだ。ひいては防衛力にも負の影響を与えることは自明だ。


「防衛力有識者会議」の報告書にはもう2ページほどくだらないことが書かれているが、本記事が長くなってきたので、続きのツッコミは次回投稿に譲る。


本日はここまで。

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