▼ウクライナ情勢 リンクまとめページ

 


先日の記事(https://ameblo.jp/cargoofficial/entry-12735962986.html)のコメントにお答えします。
(*当ブログは公式仕様になっており私はコメ欄にて返信できません)

・・・・・・
> petetow33さん
シカゴ大教授のミアシャイマーの日本語字幕付きのビデオ(https://www.youtube.com/watch?v=cZaG81NUWCs)は見てなかったので助かります。
お返しに14年のミアシャイマー論文を一部要約したものを貼っておきます。この人は一貫してぶれていないようですね。

ロシア侵攻前の2月15日にも「アメリカはあらゆるロシアのものに制裁を強いて、ヨーロッパの「同盟諸国」を経済自殺するよう駆り立てている」と語ってしましたが、ウクライナがアメリカの傀儡として生贄にされたという見立てのようです。
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2022/02/post-1b9147.html

それと、エマニュエル・トッドも似たような認識でしたのでお知らせさせてもらいます。
現在の戦況、または「ロシアのキエフ攻略電撃作戦は失敗だったのか?」問題に関しては、チャンネル桜で四人の元自衛隊・陸将/海将が討論していてとても参考になります。
失敗とも言えるし陽動作戦とも言えるしという感じです。
「作戦失敗してない説」は、「軍事的常識として一本道を戦車で攻めることはありえないから陽動作戦だった」という向きで、それも一定理解できます。
https://www.youtube.com/watch?v=zQZYi8Ss54Q
・・・・・・・

 

・・・・・・
> kkosu1914123さん
ロシアのネオナチのワグナー部隊に関してですが、私はあまり詳しくありません。
プーチンとしては利用できるものは利用するということなんじゃないかと私は考えています。
プーチンも元KGBで策士ですから、卑劣な手口を使うこともあります。
チェチェンのカディロフ部隊を最前線に送ったように、傭兵や凶悪な者たちは捨て駒にできるという軍事的な利点があるのだと思います。
・・・・・・・

 

・・・・・・・
>リアラさん
「アゾフらネオナチは現在のウクライナでは勢いがなくなった、正常化された」とする論理はだいぶ見当はずれだと考えます。
そのあたりはまた後日、公的資料をもってまとめますのでご参考にしていただけるとありがたく思います。

また、「日本もいまのウクライナのネオナチ勢力の台頭に絡んでいるのか?」というご質問ですが、マイダン革命/クーデター以降はちょうど安倍政権とかぶっていましたので、「自由と繁栄の弧」戦略がウクライナにも影響を与えています。
マイダン以降のウクライナを米欧と同様に財政支援していました。
ネオナチ勢力を意図的に支援したかはわかりませんが、当時の元駐ウクライナ大使の角氏はテレビ出演しだいぶ酷いことを言っています。彼に対する反論も後日公開する予定です。


https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/enzetsu/18/easo_1130.html
上図の「東欧の民主化に対する様々な支援」に注目してください。 ・・・・・・・

 


今回は2014年にドンバスの内戦を引き起こすターニングポイントになった「オデッサの悲劇」事件を扱う予定だったのだが、現在の紛争において重要な事件となった「クラマトルスク駅の爆撃」を先に扱う。
答えはまだ確定できていないが、本記事後半部(次回)では、おそらくまだ世界の誰も扱っていない問題を扱うので、ウクライナ軍犯行説に寄る人もロシア軍犯行説に寄る人もぜひ見てほしい。

結論から先に言うが、これは物的証拠から、ウクライナ軍の攻撃であった可能性が高まった


ちなみに「ブチャの虐殺疑惑」についてはあまりに多くの疑惑・疑問・不確定事項が残り、個人的にはまだ確定的な答えが出せないでいるため検証継続中だ。
現時点では、おそらく、双方の砲撃の巻き添えで亡くなった人、ロシア兵に殺された人、アゾフ大隊らに殺された人(白腕章の親露派)がおり、その遺体をウクライナ軍がかき集めて路上に並べ、「ロシア軍による虐殺」として4月2日に記念撮影を行ったのだと推測している。

【目次】
① テレ東が「ロシアが認めた」とした報道は、FAKEの可能性
② 時事通信の「親露派ニュースが『露軍がクラマトルスク駅を攻撃した』と伝えたが削除」も、FAKEの可能性
③ ウクライナ軍の誤爆や偽装工作だった可能性の高い前例
④ ロシアの反論 - (1)ブースターの落下位置

 *「あまりにも長文だから読むのが面倒だ。結論だけ教えてほしい」という方は「④ ロシアの反論 - (1)ブースターの落下位置」だけ読んでほしい。この点さえおさえればほぼ間違いない。

 

 

① テレ東が「ロシアが認めた」とした報道は、FAKEの可能性

 

4月8日、ドンバス地域・ルガンスク州の都市クラマトルスクの駅において、クラスター爆弾によって50名以上が死亡した。
もちろん米欧日のプロパガンダメディアは証拠もないなか「ロシアが攻撃した」と大合唱している。

ポダムTV(ポダルトン)の「深層NEWS」の内容が4月12日にYoutubeにアップされている。
そこで2人の専門家が何の根拠も明示せず、「クラマトルスク駅の爆撃についてはロシアの仕業だ」としながら、以下のように論じた。

 

・・・・・・・

慶應准教授の鶴岡路人
「民間人を意図的に狙っている。民間施設を攻撃したことはないとロシアは真顔でしゃあしゃあと言っている。嘘をつくのを通常運転の一環として普通にやっている。ロシアの荒唐無稽な主張を伝えれば伝えるほど信じちゃう人がいるが、ロシアの思うつぼ


明海大教授の小谷哲男
ロシアの嘘・プロパガンダはずさんで普通に考えれば騙されないが、騙される人も一定数いる

▼ 日テレNEWS 【ウクライナ情勢】ロシア“残虐行為”の実態。ロシアの反論とどう向き合う?【深層NEWS】
https://youtu.be/Z1RZVp2_NOE?t=1342
・・・・・・・


一方の意見を「嘘・プロパガンダ」の一言で封じる姿勢は、科学や民主主義的観点を持つまともな文化人とは程遠い。
ましてや大学で他人にものを教える立場の人間が、恥ずかしげもなくテレビでこのような言説を垂れ流しでいることは、厳しく批判しなければならないだろう。
このように専門家を自称する者たちでさえ、米欧日のプロパガンダ・メディアのホラ話を信じてしまうようだが(工作員である疑いもぬぐえないが…)、本件に関わる主流メディアの誤報ないし虚偽報道の疑惑についても指摘しておこう。


その前に少し必要となる前提知識を共有させてもらう。

クラマトルスク駅はいわゆるATOライン(対テロ作戦ライン)の西側、つまりウクライナ政府の支配地域となるが、ロシア系住民が多く住む。



ウクライナ側は当初ロシア軍のイスカンダル・ミサイルの攻撃だとしていたが、主張を翻した。
https://t.me/ConflictChronicles/917
https://www.bbc.com/news/world-europe-61036740

現在では、トーチカU(クラスター弾)による攻撃であったことが確定的となっている。
トーチカUのブースター部が残されていたため、決定的な物証となるはずだ。
このトーチカUはウクライナ軍、ロシア側(主にドンバス軍)双方が所有する。


https://www.pakistanpoint.com/en/story/1495689/missile-attack-on-kramatorsk-train-station-must-be-inve.html
画像: クラマトルスク駅で50人以上を爆殺したトーチカUのブースター部

4月9日にテレ東が、ロシアのインタファクス通信の報道として、「ロシアの報道官が駅攻撃に無差別殺傷短距離弾道ミサイル”トーチカU”を使用したと認めた」とする記事・ニュース映像を出した。

 


https://txbiz.tv-tokyo.co.jp/txn/news_txn/post_249502
アーカイブ http://web.archive.org/web/20220409092351/https://txbiz.tv-tokyo.co.jp/txn/news_txn/post_249502

これは誤報/虚偽報道である可能性が極めて高い
ロシアのインタファクス通信(https://www.interfax.ru/)にそのような記事は存在しないし、その痕跡も見つからない。
代わりに”ウクライナのインタファクス通信”の「ロシアに攻撃されて甚大な被害を受けた」というものや、ロシアの民間報道機関コムソモルスカヤ・プラウダの「キエフはクラマトルスク駅の爆撃の責任を回避できない」等とする報道記録が残るだけである。
https://en.interfax.com.ua/news/general/822416.html
https://www.kp.ru/daily/27376/4569599/

「駅の攻撃をロシア政府側が認めた」などとする記事は一つも無かった。
もしそのような記事があったら欧米メディアが大騒ぎするはずだが、そのような報道もない。

 

 

② 時事通信の「親露派ニュースが『露軍がクラマトルスク駅を攻撃した』と伝えたが削除」も、FAKEの可能性


一方で、時事通信は「着弾当初、『ウクライナ軍が集結しているクラマトルスクの駅を10分前に攻撃した』と親ロシア派ニュースはテレグラムでこぞって戦果として伝えた。しかし、避難民に死傷者が出ているのが判明し、不自然な形で削除した」等と報道した。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022040900232&g=int
アーカイブ http://web.archive.org/web/20220409045645/https://www.jiji.com/jc/article?k=2022040900232&g=int

この記事もツイッターや5ちゃんでは「ソースが見つからない」として誤報や虚報が疑われたニュースだ。

以下の西側のOSINTの専門家と見られる人物の投稿に注目しよう。
https://twitter.com/n_waters89/status/1512364593187807234
アーカイブ http://web.archive.org/web/20220416135859/https://twitter.com/n_waters89/status/1512364593187807234?s=21&%3B%3Bt=nf0hc9TlDo2Kkt0WVHNLcQ


上記ツイでは、「クラマトルスクの攻撃に関連して、ロシア国防省が本日、ポクロフスク、スラビャンスク、バルベンコボの各鉄道駅を標的に「高精度空中ミサイル」を使用したと述べた」としているが、画像の「Mod Russia(ロシア国防省)」は、駅自体を攻撃したのではなく、当該三つの駅にある軍事施設を攻撃したと報告しているだけであり、彼の言うように「クラマトルスクの攻撃に関連」と認識しうるものなのかも疑問である。
国防省は、他には「クラスノセルクの外国人傭兵部隊の訓練施設を破壊した」と伝えるのみだ。



実際の4月8日朝10時15分のロシア国防省のブリーフィングでは、「ドネツク州の高精度空中発射ミサイルにより、ポクロフスク、スラビャンスク、バルベンコボ鉄道駅で、ドンバスに到着したウクライナ予備軍の武器や軍事装備が破壊された」と報告されている。
https://www.kp.ru/daily/27376/4569599/

アーカイブ 

(*KPは、ロシアの民間報道機関コムソモルスカヤ・プラウダ)


OSINTの専門チームであるべリングキャットの、本件調査に関する報告も上記の事実に沿っている。
べリングキャットは欧州各国(主に英蘭)やマイダン革命/クーデターを支援した米国NED、ジョージ・ソロスのOSFに資金提供される団体であり、明確な反ロシア派だ。

その団体をしても「ロシア国防省や広報、または親ロシアのチャンネル、ロシア軍がクラマトルスク駅を爆撃したと言った」などと報告してはいない。
「親クレムリンのタブロイド紙コムソモリスカヤ・プラウダの特派員であるドミトリー・ステシンがテレグラムに動画を投稿し、10分前にクラマトルスク駅で”爆発が聞こえた”」と付け加えた、「ステシンは直後に投稿を削除した」と報告するのみである。
https://www.bellingcat.com/news/2022/04/14/russias-kramatorsk-facts-versus-the-evidence/

◇◇◇◇◇◇◇◇

似たような内容の記事を、NewsWeekが報道している。

 

・・・・・・・
ANNA News特派員が投稿したツイートのスクリーンショットは、ジャーナリストのJulian Röpcke氏によって共有され、次のように書かれている。
 「クレムリン系列のメディアは最初に #クラマトルスク の殺戮を誇らしげに報じ、ロシアのミサイルが昨日の夕方に到着した弾薬列車に命中したと主張した」
「民間人の犠牲者が現れた途端、彼らはウクライナを非難し始めた」と続けた。


独立系ロシア語ニュース「The Insider」は、親クレムリンのテレグラム・チャンネルが、ロシア軍が鉄道駅でウクライナの「武装勢力」に発砲したと報告したが、民間人の死亡画像が現れると、"これらのエントリーは変更された "と述べた。
▼ Pro-Kremlin Media U-Turns Over Kramatorsk Station Attack in Ukraine(4月8日)
https://www.newsweek.com/russia-ukraine-kramatorsk-donetsk-telegram-peskov-1696344
・・・・・・・


実際のJulian Röpcke氏のツイートはこちらだ。
https://twitter.com/i/web/status/1512365048018132997
アーカイブ http://web.archive.org/web/20220418072241/https://twitter.com/i/web/status/1512365048018132997


NEWSWEEKとJulian Röpcke氏の文章はどうも文脈がわかりづらい。

RöpckeがANNA News特派員Vоенкор diZaのテレグラム投稿をグーグル翻訳したという文章が分かりやすいのでそれも翻訳してみる。

 

・・・・・・・


【ロシア語からの機械翻訳】
Our sources in kramatorsk report that about 20 min ago the railway station area was hit.
There is also information that on the eve of the armed forces of ukraine they drove a train of equipment there. this information is verified.

【上記英文を拙訳】 
クラマトルスクの情報筋によると、20分ほど前に鉄道駅のエリアが攻撃されたとのこと。
また、前日にはウクライナ軍がそこに装備の列車を持ち込んだという情報もある。この情報は認証済です。

・・・・・・・


このJulian Röpckeは、「扇情的なゴシップ記事を扱う」とされるドイツのタブロイド紙「Buid」の編集者を務め、米国の「Business Insider」誌でも記事を書いているようだ。
https://muckrack.com/julian-ropcke

どうも怪しいので、ロシア語原文を翻訳してVоенкор diZa氏の発言内容を確認することにしよう。

 

・・・・・・・
Vоенкор diZa の投稿がキャッシュで残っていたので、コピペしてロシア語の意味も確認する。
https://cc.bingj.com/cache.aspx?q=V%d0%be%d0%b5%d0%bd%d0%ba%d0%be%d1%80+diZa+%d0%9a%d1%80%d0%b0%d0%bc%d0%b0%d1%82%d0%be%d1%80%d1%81%d0%ba%d0%b5+%d0%b6%d0%b5%d0%bb%d0%b5%d0%b7%d0%bd%d0%be%d0%b4%d0%be%d1%80%d0%be%d0%b6%d0%bd%d0%be%d0%b3%d0%be+%d0%b2%d0%be%d0%ba%d0%b7%d0%b0%d0%bb%d0%b0&d=4691474701354564&mkt=ja-JP&setlang=ja-JP&w=3RB5Heg7BYBVb6NYXauxOg4QEqbIjc4n

Наши источники в Краматорске сообщают о том, что около двадцати минут назад удару подвергся район ЖД вокзала.
Также поступают сведения, что накануне ВСУ пригнали туда состав техники. Эта информация проверяется.
・・・・・・・


DeepLで「ロシア語→日本語」で翻訳にかけるとこうなる。

 

・・・・・・・
クラマトルスクの情報筋によると、20分ほど前に鉄道駅周辺が攻撃されたとのことです。
また、前日にはウクライナ軍がそこに装備の列車を持ち込んだという情報もある。この情報は、現在検証中です。


удару =  Blow・Hit・Strike、 叩く・打つ・打撃
подвергся =  be subject (to)、 「〜の対象になる、〜に従う」
район = Area、 エリア・地域
железнодорожного вокзала = Railway station、鉄道駅
информация = インフォメーション、情報
проверяется = Verify、 認証・検証
・・・・・・・


筆者はロシア語の能力はないが、上記の検証過程を加味すると、テレグラムのVоенкор diZaの元投稿では、「クラマトルスクの情報源に駅が攻撃されたと聞いた」だけであり、「”誰が””どの駅”に攻撃したのか」定かではない。
なお、文章中の「検証中」なのか「認証済み」なのかは、ロシア語の文法に明るくないためここは捨ておくことにする。

上述したようにロシア国防省が「ポクロフスク、スラビャンスク、バルベンコボの3駅の軍事施設に精密ミサイルで爆撃した」と公表した事実を思い出してほしい。
下の地図を見ても確認できるようにクラマトルスクはスラビャンスク、バルベンコボの地域で最も大きい都市で、地域を包括する軍事情報センターのようなものがあると考えられないだろうか。
Vоенкор diZa氏は、クラマトルスク地域の情報センターから「ロシア軍によって駅が爆撃された」と聞いただけであることも推測できる。



NEWSWEEKは自身の誤報の責任を回避するために、「ジャーナリストのJulian Röpcke氏が『クレムリン系列のメディアは最初に #クラマトルスク の殺戮を誇らしげに報じ、ロシアのミサイルが昨日の夕方に到着した弾薬列車に命中したと主張した』と言っている」と伝聞のかたちをとった
それも、確信犯的やり口なのか、「クラマトルスク駅をロシアが爆撃した」のかはっきりしない煽動的な文法表現を使っている。

一方で、時事通信は「着弾当初、『ウクライナ軍が集結しているクラマトルスクの駅を10分前に攻撃した』と親ロシア派ニュースはテレグラムでこぞって戦果として伝えた。しかし、避難民に死傷者が出ているのが判明し、不自然な形で削除した」と確定的事実として報道した。
極めて悪質なフェイクニュースと言えるだろう。

米欧日メディアや、そのプロパガンダ報道を鵜呑みにする全体主義支持者たちは「これがロシアがやった証拠だ!」と嬉々としていたが、結果としてFAKEと言っても過言ではないほど怪しい報道であった。

Vоенкор diZa氏が後に投稿を削除したのも、誤解を生むからではなかっただろうか。

いずれにしても、私が調べた限り「4月8日にロシア軍がクラマトルスク駅を爆撃した」などというロシア筋の報告は存在しない。

上記テレ東の件、または時事・NEWSWEEKの報道の件で、「別の一時ソースを見つけた!」という人がいたらぜひ教えてほしい。
その方はべリングキャットやCITを超えるようなOSINT能力を持つ方だろうから、個人的にもぜひ知り合いになりたい。

もし投稿が削除されていたとしてもアーカイブには必ず残っているはずだが、記事が存在しないのなら、誤報である可能性が高いということになる。
現時点では、私はこれらの報道は、「FAKEニュース」と判断する。


そもそも、駅の軍事施設を攻撃するのに、対人殺傷を目的としたクラスター弾を使う可能性は低いのではないだろうか。
また、ロシア国防省の発したスラビャンスク駅など三つの駅での事例通り、ソ連時代の旧式であるトーチカUより精度の高い高精密空中発射ミサイルを使用するだろう。

高精密ミサイルとは、一発でビル全体を破壊できる、下記RTの動画で示された類だ。
https://www.rt.com/russia/552408-kiev-mall-bombing-military/

 

 

 

 ③ ウクライナ軍の誤爆や偽装工作だった可能性の高い前例

 


今まで大本営メディアにより「ロシア側による空爆・砲撃だ」とされてきたが、ウクライナ軍の攻撃だった強い疑いのうまれた件も多い。

 

・・・・・・・
・2月26日にキエフの高層アパートへ着弾したミサイルは、ウクライナ軍の地対空ミサイルの誤射であった可能性が高い。
https://news.yahoo.co.jp/byline/obiekt/20220304-00284973

・「3月9日にロシアがマリウポリの産科病院を空爆した」とされていた件は、入院していた妊婦らの証言により「空爆」が否定された。
https://ameblo.jp/cargoofficial/entry-12735962986.html

・3月9日にクラマトルスクで国家警備隊に発見され「ロシアの極超音速ミサイルの不発弾」とされたものは、実際はウクライナ軍所有のトーチカUであることが確実視される。
https://news.yahoo.co.jp/byline/obiekt/20220329-00288816

・3月16日のマリウポリでの「ロシア軍による劇場攻撃で300人死亡した」とする報道の唯一の情報源は、当時マリウポリにいなかった「親アゾフ当局者」によるものと判明。犠牲者は0人である可能性が高く、ロシアの言う通り「空爆ではなく建物内部の爆発物が原因だ」とする複数の証言も。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/504340
https://thegrayzone.com/2022/03/25/bbc-fixer-war-ukrainian-nationalist-pr-operative/

・3月21日にロシアに爆撃され民間人8人が死んだとされたショッピングセンターは、ロシアの反論通りウクライナ軍に基地化されていたことが確実視される。
https://ameblo.jp/cargoofficial/entry-12733596788.html

・3月25日に英国防省が「ロシア軍が白リン弾を使用」と誤報。日本防衛省もそのまま転載する間違い。実際は9M22Sクラスターテルミット焼夷ロケット弾だった。
https://news.yahoo.co.jp/byline/obiekt/20220413-00291318
・・・・・・・


上記の、国家警備隊(アゾフや右派セクターらネオナチが所属)が3月9日にクラマトルスクで「ロシアのキンジャール・極超音速ミサイルの不発弾を発見した」と嘘をついた件であるが、その写真がこちらだ。
これもトーチカU(クラスター爆弾)で、国家警備隊が自演のためその場所に置いた疑いが強い。


https://news.yahoo.com/what-are-hypersonic-missiles-russias-newest-weapon-in-ukraine-war-174751874.html

クラマトルスク駅に落ちたものとそっくりだが、これだけではクラマトルスク駅のトーチカUがウクライナ軍のものかは証明できない。

しかし、この自作自演が事実であれば、クラマトルスク付近のウクライナ国境警備隊がトーチカUを所持していたことを示すのではないだろうか。

 

 

 ④ ロシアの反論 - (1)ブースターの落下位置


さて、ここでロシア側の反論を軸に論点を整理しよう。

【ロシア側の反論】
(1) ブースターの落下位置の関係から、ウクライナ軍発射のものと確定できる
(2) ロシア軍は現在、旧式のトーチカUを使用していない
(3) ウクライナ軍が常用するトーチカUの製造シリアルNo.が、クラマトルスク駅のものと近い


日本のネット、特にツイッターや5ちゃん界隈では下記の図が出回り、「ロシアの攻撃だ」とする言説が一時勢いを増した。
(*初出の人物が攻撃される可能性があるため出典の明示は控えたい)



しかし、「ウクライナ軍の攻撃だ」とする側からは、下記のような同様の図が提示された。


https://pantip.com/topic/41364501

これは以下のべリングキャット/CITの報告より、後者の画像が正しいと断言できる。
前者画像の作成者が、ロシアを貶める意図をもって作った可能性も否定はできないが、何かを勘違いして作ったのではないだろうか。

ブースター部は飛行途中で切り離され、先に落下し、ブースターから発出された弾頭とクラスター弾はより遠くまで飛ぶのだ。

べリングキャットの協力者で、同じく西側のOSINT専門チームのCIT(Conflict Intelligence Team)は、クラマトルスク駅爆撃の件に関して、「ブースターの位置から、ウクライナ支配の南西部から来たことを示すが、発射可能地域には分離主義者の支配する地域も含まれる」と苦しい言い訳をしている。
CIT自身が示した下の画像の通り、発射可能地域としてドンバスの独立派地域のかぶった部分はわずか5%以下といった程度だ。
https://twitter.com/CITeam_en/status/1512425868815179778

*上図の着弾点の半径120mの90度の範囲内(灰色の部分)が発射可能エリアだ


また、2月25日にSumy州Okhtyrkaの幼稚園で、9M27Kウラガン(トーチカUと似たクラスター弾搭載ロケット砲)の被弾により3人が死亡した事件では、べリングキャットとアムネスティ・インターナショナルはブースターノーズコーンと貨物コンパートメントが幼稚園の200m東側で発見された。当時オープンソースの記述によりOkhtyrkaの西側にロシア軍が展開していたことが分かっていたため、ロシア側からの攻撃だった可能性が高い」と結論づけている東側はロシアの方角となる。
https://www.amnesty.org/en/latest/news/2022/02/ukraine-cluster-munitions-kill-child-and-two-other-civilians-taking-shelter-at-a-preschool/

(上記の記述に誤解・誤表記があったため4月21日に修正・加筆)


https://maphub.net/Cen4infoRes/russian-ukraine-monitor

https://twitter.com/MitchvdKlundert/status/1497201512547860483


上記の幼稚園爆撃事件の犯人は確定されるに至っていないが、重要なのは、OSINTの専門家が「ブースターや貨物コンパ―トメントの落下位置」を重視し、それを最大の証拠としている点だ。


カナダのジャーナリストSerge Rousskikhも、「ブースターはクラスター弾より手前に(先に)落ちるためミサイルの軌道を予想することができる。クラマトルスク駅爆撃は西側(ウクライナ軍のいた地域)からの攻撃を示す」と同じような見立てだ。
https://mobile.twitter.com/SergeRousskikh/status/1512570338089050112

 


上記に論点を三つ提示したが、既に一つ目の論点「ブースターの落下位置」を検証する過程で、「ウクライナ軍の攻撃であった」可能性がかなり高まったのではないだろうか。

ある意味、残りの二つの論点は蛇足となるのかもしれないが、検証過程のまとめをネット空間にアーカイブする意味でも、議論の経過を残しておくことにする。


残りの二つの論点の検証結果もまとめようと思ったが、今回もあまりに長文になってしまったため、続きは次回に譲ろうと思う。
明日にはその続きの記事をアップできるはずだ。


追記:
ツイッターで教えていただいたが、こちらの検証記事も興味深いので、気になった方はこちらも参照いただきたい。
この方もウクライナ軍犯行説に寄っているようだ。

▼ 「ウクライナ情勢 - クラマトルスク駅へのミサイル攻撃を検証しました」
http://piropiro562.blog121.fc2.com/blog-entry-78.html?sp


ではまた次回。

cargo

 

 

・・・・・・・・
4月21日追記:
本記事公開後4月20日にツイッターで「べリングキャットはブースターの落下位置を特定材料として扱っていない」と指摘をいただいた。
これは重要な指摘だ。当該べリングキャット報告について、私が言及していなかった箇所であり、ご指摘に感謝したい。

べリングキャット/CITの4月14日の報告における当該箇所を抄訳する。

・・・・・・・
しかし、べリングキャットが接触した専門家は、子弾やミサイルの破片の方位(the direction)は、それ自体が正確な発射位置を示す有用な証拠にはならないことを再度示唆した。

(ロケット工学を専門とするST Analytics社の)シラー氏は、「子弾が展開されると(着弾位置から約2キロメートルの高度)、重量分散の効果により、残ったミサイル本体が不安定になる可能性が高い。この後、落下する際には従来の弾丸のような挙動をしなくなる」と言及した。
 彼は「このため、私はミサイル本体の落下位置によって何かを解釈することはない」と付け加えた。

ラフォイも大筋で同意し、「地上でのブースター部の向き(The orientation)は、実際の軌道を示すものではない」と述べた。
「ブースターは軌道を外れて回転する(Tumble=宙返りする、ひっくり返る)余地が大きいため、たとえその向き(the orientation)が概ね東の起点を示していても、明確に決定することはできない」「だから、それが南北、東、西、または逆向き(backwards)で横たわっているとしても、とくに重要ではない」とラフォイは述べた。

 

https://www.bellingcat.com/news/2022/04/14/russias-kramatorsk-facts-versus-the-evidence/
・・・・・・・


(*ミサイルの残骸の位置関係からは西の起点を示すはずなのに、なぜラフォイが「概ね東の起点を示していたとしても」と言ったのかはよくわからない。”例として”東と言っただけだろうか。私の英語力・読解力が足りないからか、ラフォイが誤魔化そうとして印象操作したのかは定かではない)

しかし、私は、このあたりの記述はべリングキャットの「苦しい言い訳」だと解釈した。
なぜか?
2014年以降べリングキャット、アムネスティ、ヒューマンライツ・ウォッチなどは、ブースターやクラスター弾、貨物コンパートメントの落下位置や、突き刺さったブースター部の向いた方角等を重要な判断材料として扱い、トーチカUやウラガンなどのクラスター弾搭載ロケット砲がどちらの陣営から発射されたのか推定を行ってきた。
もしそれが判断材料にならないと言い出すのなら、これまでの自身らの判断はすべて間違っていた、とセルフ論破することになりかねない。

したがってこれは、米英蘭政府やソロスに資金提供を受け、西側を最大限擁護するミッションを担っていると見られるべリングキャットの「苦しい言い訳」だと判断した。


また、2月25日のSumy州Okhtyrkaの幼稚園爆撃の件を報じるアムネスティ/べリングキャットの記事(https://www.amnesty.org/en/latest/news/2022/02/ukraine-cluster-munitions-kill-child-and-two-other-civilians-taking-shelter-at-a-preschool/)も再点検した結果、私の誤解・誤訳が発覚したので、4月21日に修正・加筆した。
当該事件においてべリングキャットは、ブースターの落下位置ではなくノーズコーンと、クラスター弾が収納される貨物コンパートメントの落下位置の関係から、発射位置を推定したようだ。
誤訳・誤表記に関しては謝罪したい。