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昨日のゼレンスキーの国会演説は実に薄気味悪いものであった。

紛争当事国の一方だけを招き、国権の最高機関で自由にプロパガンダ演説をさせ、それを極右の山東昭子が「命を顧みず祖国のために戦っている姿を拝見して、その勇気に感動した!私たち国会議員も全力を尽くす!」と、今にも「偉大なる将軍様、マンセーっ!!」とでも叫び出しそうな雰囲気であった。

それを立憲はおろか共産党までがスタンディング・オベーションで迎えるのだから世も末である。
翼賛体制下の90年前の我が国もこんな雰囲気だったのだろう。

欧米様の猿真似をして、威勢よく「経済制裁しろ」だとか「軍事物資を送れ」だとか言ってる人間は、北方領土がどうなったか考えてもらいたいところだ。
https://mainichi.jp/articles/20220323/ddm/003/030/117000c


さて、今回の記事はこんなラインナップで書く。だいぶ短いので安心してほしい。

【目次】
① マリウポリ市民3000人以上が死亡?
② 劇場で1000人が生き埋め? ショッピングセンターが爆撃?
③ ツイッターの戦況報告の画像は本物か?

昨日・一昨日はこんなニュースがあった。

 

 

① マリウポリ市民3000人以上が死亡?

 

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▼ 「ウクライナ東部マリウポリ 市民3000人以上死亡か 人権団体報告」 
2022年3月22日  NHK(米欧サイドの報道)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220322/k10013545131000.html
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このようなヘッドラインを見ると、誰もが「人権団体がマリウポリで民間人3000人が死んだと報告したのか。ロシアは酷いな」と感じるだろう。
しかし、実際の記事の内容を確認するとこうある。

 

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アメリカに本部がある国際的な人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」は21日、激しい戦闘が続くウクライナ東部のマリウポリの状況について報告をまとめました。
この中では、20日に市の幹部から聞いた話として、これまでに3000人以上の市民が死亡した可能性があり…
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「ヒューマンライツ・ウォッチが、マリウポル市の幹部から聞いた話」ということだ。
つまりウクライナ側からの情報をHRWから又聞きした、というだけである。

戦時中はこの手のタイプの飛ばし記事のみが紙面や画面で踊るが、多くの人は最初に記事のヘッドラインを見た時の「マリウポリでロシアが民間人3000人を殺した。ロシアは酷い」という印象しか残らない。

勿論、民間人の死者は許されない。
ロシアは一刻も早く停戦し撤退すべきだ。

しかし、米欧日のプロパガンダ・メディアの毎度の虚偽報道は、余計な「憎悪」をたらすことを意図していると言わざるを得ない。

 

 

② 劇場で1000人が生き埋め? ショッピングセンターが爆撃?


私の肌感だと、ウクライナ・米欧日のプロパガンダメディアは被害や戦績を「5~10倍は盛る」感じがある。

3月16日に「劇場が空爆され避難民1000人が生き埋め」という衝撃的なニュースがあった。

報道の流れは以下のようになる。

3月16日に、何者かが民間人の避難所になっていた劇場に、空爆・爆撃ないし砲撃を行った。
当たり前のように米欧日メディアはロシアの犯行として、また、1000人が死傷したかのように報道した。

▼ 2022年3月16日 TBS(米欧サイドの報道)
「1000人避難の劇場空爆、ロシア軍による民間人への攻撃報告相次ぐ」
https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye6008162.html

ところがロシア側はこの空爆・爆撃ないし砲撃を否定。

▼ 2022年3月16日 ロシアRTの報道
ロシアは「避難所になっていたことは知っていたため、標的のリストには載っていなかった」と空爆の事実を否定し、ネオナチのアゾフ過激派が建物を爆破した可能性があると主張した。
https://www.rt.com/russia/552101-mariupol-theater-ukraine/
https://www.rt.com/russia/552266-mariupol-theater-civilians-survived/

その後、最初の米欧の報道とは異なる事実が明るみに出てくる。

▼ 2022年3月18日 日経(米欧サイドの報道)
「ロシアが空爆のマリウポリの劇場、130人以上救出か」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR17EVY0X10C22A3000000/
(*RTの報道では200人以上が救出されたとされる)
▼ 2022年3月19日 AFP(米欧サイドの報道)
「劇場空爆、1人重傷も死者なし マリウポリ当局発表」
https://www.afpbb.com/articles/-/3395869

誰が劇場を爆破したのか確定はできないが、私はおそらくロシアが誤爆したのではないかと感じている。

それにしても毎度のことだが、米欧日メディアはあたかも「ロシアが民間人1000人以上いる避難所を意図的に爆撃した」かのように報道している。
結果として、1000人以上の避難民がいるはずの劇場には200人程度しかおらず、死者も0人だったのだ。

死者がいなかったことは不幸中の幸いであったが、忘れてはならないのが、ゼレンスキー大統領が「市民を戦闘員」にしてしまったことである。

▼ 2022年2月25日 FNN(米欧サイドの報道)
ゼレンスキー大統領は国民総動員令に署名、18歳から60歳までの男性は出国が禁止された。
https://www.fnn.jp/articles/-/321162

これでは民間人と戦闘員の区別ができないし、「人間の盾」疑惑も残るが、米欧日のプロパガンダ・メディアがこの2月25日の国民総動員令の発布時以降この件に触れることはない。
「ロシアが民間人を意図的に狙っている!」の大合唱を続けるのみである。


◇◇◇◇◇◇◇◇

また、米欧のメディアは3月21日に「ロシアがショッピングセンターを爆撃して8人を殺した!」と例の如く、民間人を狙ったかのように報道していた。

しかし同日、ロシアは「ショッピングセンターが軍事基地化されていた」ことを示すビデオを公開した。
https://www.rt.com/russia/552408-kiev-mall-bombing-military/
●証拠とされるビデオ→ https://t.me/Murad_Gazdiev/389

これはロシアが「シロ」であった可能性が極めて高い。
映像もCGではなく本物だろう。

なぜなら、誤爆したと思われる「劇場」や「小学校」、「産婦人科病院」に関しては、映像などの証拠を用いた説明を行っていないが、ショッピングセンターだけは詳細な説明を行ったからだ。
映像以外にも、フランスのメディアが「ショッピングセンターが軍事基地化されていた」ことを示す報道もしていた情報もあるため、証拠が揃っている。

もちろん、この件でも人々の記憶に残るのは「ロシアが民間施設を意図的に爆撃し、民間人を殺した」というイメージだけである。

何度も言及していることだが、戦時中は双方が過剰なプロパガンダを行うため、何が事実なのか掴むことは難しい。

 

 

③ ツイッターの戦況報告の画像は本物か?


「一月万冊」というYoutube番組があるが、ここは米欧日のプロパガンダメディア報道をそのまま信じてしまい、ロシア批判を続けることで視聴回数を稼ぐ商売を行っている。

3月8日の放送では「21世紀の戦争のリアル」としながら、出演した元朝日新聞・ジャーナリスト佐藤章氏は「ウクライナの人がツイッターで画像や映像を投稿してくれていて、事実が嘘偽りなく流れる」と発言していた。
https://www.youtube.com/watch?v=bi7HbF0MHvY

残念ながら佐藤氏は、現代の「Info Wars」をあまり理解しているとは思えない。
その「嘘偽りない事実」の正体をご覧いただきたい。


数年前のイスラエルによるGAZA空爆の写真が、「ロシアのウクライナに対する爆撃」として拡散された例


2015年の中国での爆発が、「ロシアのウクライナに対する爆撃」として拡散された例


2010年の映画のワンシーンを「ウクライナで撮られた写真」として拡散された例


他の映画のワンシーンが「ウクライナの今」として拡散された例


2018年のガス爆発が「ロシアのウクライナ侵攻の結果」として拡散された例


CNNにより、2015年の爆発が「ウクライナの今起こった」として拡散された例


2018年のシリア爆撃の際の被害者が「ウクライナ」として拡散された例
https://www.stopworldcontrol.com/ukraine


イタリアのテレビが、映画ディープインパクトの画像を「ウクライナの避難民」として報道、拡散された例

しかし、話は「米欧メディアやウクライナがフェイクを流している!」という糾弾だけでは終わらない。

上記のイタリアのテレビ画像とされるものが、フェイクであったことがほぼ確実となったのだ。

イタリアのテレビ局TGCOM24いわく「この映像は1998年の映画「ディープ・インパクト」のものです/キエフからの脱出を語るこの映像が流れたかどうか(中略)ある編集者と話したところ、そのシーンは一度も放送されていないことも確認されました。」とのことだった。
https://www.verygood.la/?p=253742

何が言いたいのか。
上掲した数枚の画像も、米欧メディアやウクライナ側のフェイクなのか、そのフェイクを模して作成したフェイク・フェイクなのか、よくわからないのである。
この手のものは9/11やイラク戦争以降から多く存在した。

事実かどうかを確かめる時間ももったいないので、私はあまり戦時中は「どこそこで爆撃があった!」とか「何人死んだ!」という速報的事案を扱わない。
ある程度資料の出そろった過去の問題を検証することで、今を読み解く。

結局何が事実かなんて、容易にわかるものではない。

米欧日のプロパガンダ・メディアを妄信する人にも、ロシア側のプロパガンダや陰謀論にハマる人にもほどほどにと言いたい。


本日は、先日の古谷経衡氏の記事の続きを書こうと思ったが、記事が長くなったので、次回にする。

次回は、公的資料による証拠満載の記事になる予定だ。

では。
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