前回の続きとなります。

コービンのPQEは、一般的なケインズ主義的な「金融緩和&財政出動」方式と、いったい何が違うのでしょうか?


本題に入るまえに、またも安倍政権がとんでもない売国をやらかしたので、ご報告いたします。

安倍政権は、アメリカの雇用を創出するために、GPIF(年金基金)を通じて約17兆円の投資を表明するようです。笑

自国にはほとんど投資しないのに、宗主国様には大盤振る舞い...、いったい安倍政権はどこの国の政府なのでしょうか?

最近では、米国のシェール事業投資で、住商が2400億円、丸紅も1700億円の損失を計上、さらに伊藤忠は1000億円かけた米国のシェールガス事業を1ドルで売却(笑)、今年に入っても、東芝が米国原発事業で7000億円の損失を、日立も同じく原発投資で700億円の損失を計上....、
と枚挙にいとまがありませんが、この対米投資というやつは本当に嫌な予感しかしません。

個人的には、この手のエネルギー・インフラ事業への対米投資は、米国に収奪されることを見越した「上納金」なのではないかと推測していますが、その対米投資を、国民の年金17兆円も使ってやろうというのですから、完全に気が狂ってます。

もう一度強調しますが、17億円でも17億ドルでもなく、17兆円です。


反日売国スパイ・安倍ちゃんは、国民の年金を「打ち出の小槌」か何かと勘違いしているようですが、この世界には、実は「打ち出の小槌」は存在するともいいます。

信用創造」システムです。


そこで我々オルタナ派が推奨しているのが、信用創造システムをうまく利用した「コービンの国民のための量的緩和(PQE)」となりますが、前回ブログでおつたえした理論を一旦整理するために、以下にまとめてみます。

 

▼ 一般的な(ケインズ主義の)量的金融緩和(QE) : 

政府が国債発行 
→ 市中銀行が国債を買い上げることで、銀行が保有していた現金が政府へ移行 
→ さらに中央銀行も市中銀行から国債を買い上げマネーを創造(中央銀行の帳簿でマネーが創造される) 
→ 政府が公共事業で建設事業者などに現金を振り分ける 
→ その現金が公共事業者の預金になり、預金が創造される

(ただし、金融市場や不動産投機市場、建設業界にしかお金がまわらず、富裕層優遇になるばかりか、通貨量が増えることで通貨価値が減少し、一般国民の実質賃金が減
少する弊害がでるとも言われています。 日本の場合はアベノミクス以降の4年間で約300兆円のマネーが創造されたが、そのうち250兆円が日銀当座預金にブタ積みになり、残りの50兆円は金融市場などに投資され、実体経済にはほとんどまわっていません)

 

▼ ヘリマネ :

政府が国債発行 
→ 中央銀行が国債を買い上げ、マネーを創造、低金利もしくは無利子で政府に貸し付ける
→ 政府が公共事業に振り分ける

(政府が公共投資を適所に振り分けられるが、現状では、政府が中央銀行に直接的な働きかけをする「財政ファイナンス」は、法的に禁止されている)

 

▼ コービンのPQE :

http://www.nakedcapitalism.com/2015/09/corbynomics-101-a-guide-to-peoples-qe-pqe.html
政府が国債発行
→ 中央銀行が国債を買い上げ、マネーを創造、国立投資銀行に貸し付ける
→ 国立投資銀行と政府が適切な公共事業に振り分ける

(政府が中央銀行に直接的な働きかけをする「財政ファイナンス」が禁止されているので、「国民投資銀行」を仲介させる。「国民投資銀行」は政府のコントロール下にあるの
で、政府が公共投資を適所に振り分けられる)

 


*上記は経済評論家の天野統康先生に理論的な確認を取りましたので、間違いないはずです。
 

 

 *注 【用語】
:日銀当座預金
日本銀行当座預金とは、日本銀行が取引先の金融機関等から受け入れている当座預金のことです。
「日銀当座預金」、「日銀当預」などと呼ばれることもあります。

日本銀行当座預金は、主として次の3つの役割を果たしています。
(1)金融機関が他の金融機関や日本銀行、あるいは国と取引を行う場合の決済手段
(2)金融機関が個人や企業に支払う現金通貨の支払準備
(3)準備預金制度の対象となっている金融機関の準備預金

【出典】日本銀行
https://www.boj.or.jp/announcements/education/oshiete/kess/i07.htm/

わかりにくいと思いますが、日銀当座預金とは、市中銀行が信用創造(マネーの創造)をするために必要な、日銀内にもつ担保のようなものです。
「信用創造」に関しては、こちらを参照ください。  

また、金融機関が、日本銀行に預け入れる無利子の預金のことを預金準備といい、法律で自金融機関の預金の一定比率以上を預け入れることが定められており、この比率を超える超過準備のことを「ブタ積み」といいます。
 


上記の三つ(ケインズのQE、ヘリマネ、コービンのPQE)は何がどう違うねん?てことですが、国民の代表者である政府が中央銀行によるマネーの創造(信用創造)とその供給先をコントロールできるか否かということになります。

経済学の現場でよく「馬を水飲み場に連れていっても、水を飲むかは馬次第」といわれるように、従来型の金融緩和では、どんなにマネーを創造しても市中銀行や一般企業が投資しなければ、市中にお金は還流しません。

それに対してコービンのPQEでは、「お金刷っても市中にまわらないんなら”国民投資銀行”を作り、政府主導で適所に投資すればいいじゃん」という話になっているわけです。



私も以前まで、コービンのPQEは、「従来型の量的金融緩和と同じ方法で国債を用い、社会保障分野など政府が必要と思える分野に公共投資する。財政支出先を建設国債を用いた建設事業などに限ったものとやり方が違うだけ」...、そういうものだとおおまかに思っていました。

しかし、これは私の勘違いだと気づいたのです。

なぜ私が勘違いしていたのかは、以下のような、おそらく意図的に「PQE/ 国民のための量的緩和」のメカニズムに関して語らない姿勢を貫き、批判を繰り返す主流メディアの姿勢と、オルタナ派の誤解も、理由としてあげられるでしょう。

主流メディアに関しては、「よほど都合が悪いようだな」状態だと推察できますが、オルタナ系であるはずのサヨク陣営に関しても、かなり誤解しているのが問題です。
 
【参考】

▼ 英労働党新党首の政策、インフレで経済破綻の恐れ=財務相 -  ロイター
http://jp.reuters.com/article/britain-politics-labour-osborne-idJPKCN0RF0YI20150915

▼ 英労働党のコービン新党首、24の信念 - BBCニュース
http://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-34422479

▼ People’s QE would be disastrous   - Centre for Policy Studies
(PQEは悲惨な結果をもたらす)
http://www.cps.org.uk/blog/q/date/2015/08/28/people-s-qe-would-be-disastrous/

▼ Why The People's Quantitative Easing Will Simply Never Work  - Forbes
(PQEがなぜ機能しないのか)
http://www.forbes.com/sites/timworstall/2015/08/29/why-the-peoples-quantitative-easing-will-simply-never-work/#78f328b9685f

▼ Warning to Corbyn: money-printing always ends in tears  - Telegraph
(コービンに警告:マネー創造は常に涙と共に終わる)
http://www.telegraph.co.uk/finance/economics/11877247/Warning-to-Corbyn-money-printing-always-ends-in-tears.html

▼ 労働党党首選「英国の再国有化」唱えるコービン氏が圧勝 こうして左派は自滅する (木村正人) - BLOGOS
http://lite.blogos.com/article/133610/

▼ ”エキタス”の金融緩和に関するツイートまとめ
 https://mobile.twitter.com/aequitas1500/status/738492386838339584

▼  マイナス金利中止を/小池氏 日銀が国債“爆買い”  -赤旗
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2016-04-02/2016040204_03_1.html

▼  エコノミスト金子勝氏の講演会を聴講 安倍政権に対する鋭い批判と、信用創造に触れない対策案 : 天野統康
http://sp.ch.nicovideo.jp/amanomotoyasu/blomaga/ar1180374

▼ LITERAさん、松尾匡はアベノミクスを絶賛していましたよ? - 時事解説「ディストピア」 
http://blog.goo.ne.jp/minamihikaru1853/e/c11a7a1338175ec3ec3fd8dea0b15a5b

僕なんか音大出ですし、はっきり言って高卒みたいなもんですが、本日は、高卒程度の学力でも理解できる「コービンのPQE」をまとめてみました。

それにしても、大学でしっかり経済学を勉強したはずの連中が、「コービンの国民のための量的緩和」どころか、「量的金融緩和」や「信用創造」のメカニズムさえも誤解している...。

まったく不可思議でしょうがないです。



本日はここまで。

「コービンのPQE」に関しては、もう少し次回に続けます。

ご覧いただきありがとうございます。

cargo

 

 

【関連記事】
【重要】英首相候補コービンの討論動画を翻訳してみた 前編

http://ameblo.jp/cargoofficial/entry-12281189692.html

【重要】英首相候補コービンの討論動画を翻訳してみた 後編

http://ameblo.jp/cargoofficial/entry-12281404484.html

英労働党党首コービンの「国民のための量的緩和/People'sQuantitativeEasing

http://ameblo.jp/cargoofficial/entry-12243351541.html

英労働党党首コービンの「国民のための量的緩和/PQE」②

http://ameblo.jp/cargoofficial/entry-12244394450.html

英労働党党首コービンの「国民のための量的緩和/PQE」③

http://ameblo.jp/cargoofficial/entry-12246007801.html