先日の「コービンのPQE」ブログを政治経済評論家の天野統康先生が、絶賛してくださった。

私は天野先生を経済の先生として尊敬し、天野理論といえるべきものを世に広めたいと思っているので、大変光栄な限りです。

 

▼ 日本の不景気を克服する「国民のための量的緩和」について知人のcargo氏がわかりやすく解説
http://ameblo.jp/amanomotoyasu/entry-12244719457.html

黒田日銀が300兆円も通貨を作り出しても、なかなか本格的な景気回復も、物価上昇もしない日本経済。
これがアベノミクスの第一の矢の金融政策である。
経済学では、この政策を主にマネタリストが提唱してきた。
 
1990年のバブル崩壊後の日本は、法人税減税や財政出動などを行い続け膨大な財政赤字を作りだしてきた。
これはアベノミクスの第二の矢の財政政策である。
経済学では、この政策を主にケインズ学派が提唱してきた。
 
 
また規制緩和を行い、株式市場も外資に開放し、構造改革も行ってきた。
そのおかげで日本の非正規社員率は急増し、終身雇用は崩壊
上場企業の株主の約3割が外資というありさま。
これがアベノミクスの第三の矢の成長戦略である。
経済学では、この政策を主に新古典派が提唱してきた。
 
主流の経済学が提言していることを全て行ってきたにも関わらず日本経済は25年間ほとんど名目GDPが変わらず経済成長していない。
 
こんな国は現在の資本主義世界で日本だけである。
 
何故、景気がよくならず、物価も上昇せず、経済成長しないのか?
 
その答えは、「実体経済向けの信用創造」の拡大に失敗し続けたからだ。
 
上記のアベノミクスの3本の矢に見られる経済政策はどれも実体経済向けの信用創造を拡大させるのに不十分な政策であった。
 
なぜなら、主流の経済学理論の中に「実体経済向けの信用創造」という観点が根本的に欠落しているからである。
 
この信用創造理論を述べたのが、日本経済の不景気を研究したエコノミストのリチャード・ヴェルナー氏だ。
 
21世紀になって初めてヴェルナー氏によって信用創造理論に基づいた経済理論が体系化された。
 
日本経済の不景気の謎は、ヴェルナー氏によって解明されたのである。
 
その謎の解明は、英米が中心になって作り出してきた、既存の主流経済学(古典派、ケインズ、マネタリストなどの近代経済学のみならず、反体制のマルクス経済学や社会民主主義なども含む)が触れてこなかった経済学のタブーの解明でもあったのである。
 

それでは、どのようにすれば実体経済向けの信用創造が拡大するのか?
 
国民や実体経済に関わる企業に直接、新たな信用創造がなされれば良い。
 
その一つの方法がヘリコプターマネー政策であり、イギリスの労働党のコービン党首が述べている「国民のための量的緩和政策である。
 
これは、従来の銀行と金融経済にばかり資金を供給する中銀による量的緩和政策とは根本的に異なる。
 
実体経済向けの信用創造を拡大させる政策であり、これが行われれば日本も欧州もすぐに景気は回復し、目標としている物価上昇率2%も実現するだろう
 
そのことについて、知人のcargo氏がわかりやすく以下のブログ記事で解説していただいている。
 
素晴らしい記事なので是非、お読みください。


▼ 英労働党党首コービンの「国民のための量的緩和/PQE」②
cargo official blog
http://ameblo.jp/cargoofficial/entry-12244394450.html
 
注:太字等は筆者が加筆



http://www.nakedcapitalism.com/2015/09/corbynomics-101-a-guide-to-peoples-qe-pqe.html

さて、今回の”英労働党党首コービンの「国民のための量的緩和/PQE」③”ですが、コービンの経済政策に関して、PQE以外の部分にも焦点を当てる記事もピックアップしたいと思います。

私のような高卒程度の学力でも理解できる経済学ですので、ぜひ多くの人に親しんでもらいたいと思います。


従来型のQE(量的金融緩和)は、ほとんどが建設業向けの財政出動に限られ、国民生活を向上させ内需を拡大するため、社会保障や少子高齢化対策などの本当に必要な公共投資ができませんでした。

それどころか創造されたマネーは、一般国民にはまったく関係ない金融市場や不動産投資市場にむかうばかりで、格差を産み出す元凶にもなっていました。

しかしコービンのPQE(国民の為の量的金融緩和)を実施すれば、政府が財政支出先をコントロールでき、国民のための景気浮揚や内需拡大につながるというのです。

 

▼ オピニオン:危機回避へ中銀頼みの劇薬浮上=倉都康行氏
2015年 10月 5日 ロイター
http://jp.reuters.com/article/2015/10/05/opinion-yasuyukikuratsu-idJPKCN0RZ0AM20151005?sp=true

【抜粋】
“国民のための量的緩和”を「簡単に説明すれば、国債購入を中心とする既存の量的緩和とは違い、インフラ投資事業を中銀がファイナンスするものだという。
…(その)理屈は、既存の量的緩和が資産効果(株価・不動産価格)に働きかける金持ち優遇政策であるのに対して、インフラ投資によって広く国民に利益が直接届くというものだ。
高インフレを招くとの批判も聞こえてきそうだが、既存の量的緩和でもインフレにならない現状に鑑みれば、その理屈を一方的には否定できないだろう。」(倉都氏)。
 

 

▼ 労働党党首選「英国の再国有化」唱えるコービン氏が圧勝 こうして左派は自滅する 
2015/9/12(土)  木村正人  | 在英国際ジャーナリスト
http://bylines.news.yahoo.co.jp/kimuramasato/20150912-00049449/

【抜粋】
(前略)
  経済政策

緊縮策の終結が最優先課題。
富裕層に対する課税強化。
社会保障を必要とする人たちの支援。
脱税や租税回避の取り締まりで1200億ポンド(約22兆3200億円)を捻出、企業に対する優遇税制を撤廃し、法人税を引き上げる。

こうした政策でNHS(国営医療制度)の財源を倍増できる。
企業トップの報酬に対し、最高賃金の上限を設けることを検討する。
大手銀ロイヤル・バンク・オブ・スコットランドを再国有化する。
英中銀・イングランド銀行は「国民投資銀行」が発行する債券を購入し、「国民のための量的緩和」を実施する。

この資金で住宅、エネルギー、交通手段、デジタル・プロジェクトに関する公共政策を実施して、熟練を要する仕事と実習生の枠を拡大。
金融セクター中心から、高成長を期待でき持続可能な分野への構造転換を図る。
歳出削減では財政赤字をなくせない。均衡財政を達成する期限は設けない。

  欧州連合(EU)政策

EU残留を支持するが、雇用を拡大してより良き「欧州」を目指す。しかし、その一方でギリシャに対する扱いがひどすぎるとしてEUから離脱する可能性に言及したことも。
環大西洋貿易投資協定(TTIP)に断固として反対する。

【後略】
 

 

▼ 英国の労働党新党首が、中央銀行の独立性を剥奪すると公約。真の民主社会の実現に大きな一歩
2015-10-26 天野統康
http://ameblo.jp/amanomotoyasu/entry-12088322785.html

【抜粋】
遂に国際銀行権力の本丸であるイングランド銀行、及びロンドンシティーを抱えるイギリスから、中央銀行の独立を剥奪すると公約に掲げる政治家が現れた。

しかも、二大政党の一つである労働党の新党首である。

(中略)
今回の銀行権力から独立する公約を掲げるに至ったのである。

ネットの拡散により、銀行権力の支配に対して、イギリスの市民が目覚め始めたのが原因であろう。

中央銀行システムの元祖であるイングランド銀行は民間が所有する中央銀行として1694年に設立された。

19世紀にはロスチャイルド財閥が支配権を握るようになった。

しかし1946年に労働党政権のもとで国有化が実現した。

これで、通貨発行権を政府が手に入れることができた、と勘違いされたが、現在に至るまで、1度も政府はイングランド銀行に政策の面で指示をだせていない。

つまり、中央銀行は政府から独立したままなのである。

コービン党首はこの中央銀行の独立性を剥奪しようというのだから、形式的な国有化ではなく、実質的な国有化が実現するのである。

コービン党首が述べている「金持ちのための量的緩和」ではなく「国民のための量的緩和」は、中央銀行の独立性の剥奪が必要になる。

イギリスは国際銀行権力のマインドコントローから遂に目覚めたようだ。

イギリスが、真の民主社会を実現する日もそう遠くはなさそうである。

日本も、米国の金融軍事支配からの脱却を実現しなければならない。

それができる政治勢力は、現在のところ、山本太郎議員と生活の党や、共産党などが連合する政府、ということになるだろう。



 

▼  民衆のための経済政策はこれだ!
松尾匡(立命館大学経済学部教授)  - イミダス 
2016/11/4
http://imidas.shueisha.co.jp/jijikaitai/detail.html?article_id=A-40-116-16-11-G646&iPageNum=2
【抜粋】
(前略)
欧州左翼の常識は緩和マネーで「反緊縮」
 新自由主義的政策を掲げる主流右派と、それを多少緩くしただけの中道派への反発が広がり、それに対する左右からの異論が、民衆のために公金を使うことを唱えて躍進していることは、目下のアメリカ大統領選挙に見られるように、世界的な潮流である。
特に、欧州における、中道社会民主主義政党に対するもっと左からの批判勢力からは、“中央銀行が金融緩和で作った資金を使い民衆のために政府支出する”という主張が常識のように語られている
彼らは一様に、現行の欧州中央銀行による量的緩和を、ただ銀行に資金をためるだけで実体経済に行き渡らず、貧富の格差を増すだけと批判するのだが、量的緩和自体には賛成している。
作った資金の流し方が問題だとしているのである。

 拙著『この経済政策が民主主義を救う』(16年、大月書店)で、筆者は、イギリス労働党最左派のジェレミー・コービン党首の掲げる「人民の量的緩和」をはじめ、EU(欧州連合)の共産党や左翼党の連合である欧州左翼党、スペインのポデモス、欧州の労働組合の連合である欧州労連などが、中央銀行が政府財政を直接支えるべきだと主張していることを紹介した。
その後知った情報では、ドイツ左翼党設立者の一人オスカー・ラフォンテーヌ元蔵相が、中央銀行の財政直接融資の禁止規定を無視せよとして、政府への直接融資とヘリコプターマネー型政策を提唱する論説を書いていたり、12年フランス大統領選の共産党・左翼党等の統一候補ジャン=リュック・メランションの公約が、欧州中銀による政府への低利ないし無利子での直接融資だったりという例がある。

 ヘリコプターマネーとは、返済する必要のない国債を、中央銀行が政府から直接買い入れて財政をまかなう政策のことで、狭義には、特にそうやって発行した通貨を市民に直接給付することを指す。

ヘリコプターからカネをばらまいたらどうなるか、という経済学者ミルトン・フリードマンの寓話が由来となっている。
 欧州左翼党はその後もこの姿勢を強めており、16年6月に出したアクションプランでは、欧州中銀を「投資開発銀行」に転換してユーロ圏の各国や中小企業に資金を貸すことを求めている。彼らは、欧州中銀の独立性を批判して、選挙で選ばれた者と労働組合の代表が意思決定に関与すべきだとしている。
同月には、欧州議会の左派3会派の18人の議員が、欧州中銀に対して、「ヘリコプターマネー」導入を検討するよう求める書簡を提出している。
こうした姿勢が、政府債務が膨らむ中でも民衆のために大胆に支出することはできるという主張に説得力を与えている。
(後略)
 

コービンのPQE以外にも財政ファイナンスを利用したヘリマネなどの経済政策が、欧米では主流派に取って代わろうとしています。

 
これはとても重要な変革です。
 
日本ではいまだこの事実を、マスコミが伝えることはしませんが、我々オルタナ派はこの流れを伝えひろめていくべきでしょう。


以上、本日はここまで。

ご覧いただきありがとうございました。

cargo

 
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英労働党党首コービンの「国民のための量的緩和/People'sQuantitativeEasing

http://ameblo.jp/cargoofficial/entry-12243351541.html

英労働党党首コービンの「国民のための量的緩和/PQE」②

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英労働党党首コービンの「国民のための量的緩和/PQE」③

http://ameblo.jp/cargoofficial/entry-12246007801.html