どうも、講師の山本です。
今回がこの連載の最終回です![]()
「結局日傘の向きはどうするべきなの?!」
という疑問に答えていきます。
以下、第1回〜第3回まで記事です⬇️
さて本題です。
前回は、日傘でカバーできない部分、つまり体に当たる直射日光の長さをA(θ)とおき、
A(θ) = H - ( 2Scosθ - Lsinθ ) tanα
と求めました。
今回は、θがどんな値の時にA(θ)が最小になるか考えます。
A(θ)を調べる
今回知りたいのは、
「どの向きに日傘を差せば、体に当たる直射日光を最も少なくできるのか」
ということです。
つまり、
A(θ)
が小さくなるようなθを探せば良いことになります。
そこで、この式をもう少し詳しく調べてみましょう。
微分してみる
ここで登場するのが、数学でおなじみの「微分」です。
微分を使うと、関数がどのように変化しているのかを調べることができます。
今回の
A(θ) = H - ( 2Scosθ - Lsinθ ) tanα
をθについて微分すると、
A’(θ) = ( 2Ssinθ + Lcosθ ) tanα
となります。
ここで、今回考えている範囲では
0° < α < 90°
かつ
0° < θ ≦ 90°
です。
したがって
sinθ > 0, cosθ ≧ 0, tanα > 0
なので、
A‘(θ) > 0
となります。
つまり、
A(θ)は、θが大きくなるほど大きくなる
ということです。
結局、日傘はどっち?
ここまでくれば、答えはかなりはっきりします。
「A(θ)は、θが大きくなるほど大きくなる」
ということは、体に当たる直射日光をできるだけ少なくするためには、
θはできるだけ小さくすればよいことになります。
つまり、今回のモデルでは、
「日傘は、垂直に立てるよりも、太陽側へ傾けた方がよい」
という結論になりました!
最初は、
「日傘って、どっちに傾けた方がいいんだろう?」
という何気ない疑問でした。
図にしてみて、
三角比を使って、
数式にして、
最後には微分してみる。
すると、
「日傘は傾けた方がよい」
という答えを数学を使って導くことができました。
太陽が真上にあるときは?
……と、ここで一つ気になることがあります。
もし太陽が真上にあったら、どうでしょうか?
この場合、太陽光と地面のなす角は、
α = 90°
です。
ところが、今回求めたA(θ)には、
tanα
が含まれています。
しかし、tan90° は定義されません。
したがって、今回求めた式では、太陽が真上にある場合を扱うことができません。
この場合は、太陽光が地面に垂直になるため、これまでとは別の図を考えて、改めて数学的に考える必要があります。(直感的に真上に日傘を持っていけばいい、と分かりますがね!)
今回の連載ではここまで扱わず、今後の課題として残しておきたいと思います。
まだ考えていないこと
さて、ここまでで、「日傘を太陽側に傾けた方が良いのか、それとも垂直に持った方が良いのか」という問いで、「太陽側へ傾けた方が良い」という答えが得られました。
しかしながら、この時点では「傾けた方が良いか否か」しかわかっておらず、太陽に向けて傾けた方が良いことえを数学的に確かめられたわけではありません。
なぜなら、今回のモデルは、現実の日傘や人間の体をかなり単純化しているからです。
では、今後の展望として、より現実に近く詳細な結論を得るために、どうすればよいのでしょうか。
例えば、今回は体を「縦の線分」として考えているため、体の横幅は考えていません。また、日傘に当たる太陽光の境界線も、一方の端から伸びる1本だけを考えています。
実際には、人の体には横幅があり、日傘の反対側の端からも太陽光の境界線が伸びています。そのため、より現実に近いモデルを考えるなら、体を長方形として表し、日傘の両端から伸びる2本の境界線を考える必要があります。
このようにモデルを少しずつ現実に近づけていくと、「本当に最適な日傘の角度はどのくらいなのか?」という、さらに面白い問題が見えてきます。
今回はここまでとしますが、数学では、このように現実の問題を単純なモデルに置き換え、そこから少しずつ複雑なモデルへ発展させていくことができます。
今回の「日傘は垂直に持つべき?それとも傾けるべき?」という何気ない疑問も、数学の問題にしてみると、微分を使って考えることができました。
身の回りには、まだまだ「どっちのほうがいいんだろう?」と思えることがたくさんあります。
そんな素朴な疑問を、ぜひ一度「数学の問題にしてみる」と、意外なところから数学の面白さが見えてくるかもしれません。
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