どうも、数学科4年、講師の山本です。
前回は、
「体に当たる直射日光を最も少なくする日傘の持ち方は、垂直なのか、それとも太陽側へ傾けることなのか。」
という問題を立てました。
▼前回の記事
今回は、この問題を数学として扱える形にしていきます。
まずは、今回考えるモデルをご覧ください。
モデルを決める
今回のモデルでは、次のように考えます。
【今回の仮定】
- 人体は横から見た一本の線分で表し、長さを H とする。
- 日傘は一本の線分で近似し、長さ L とする。
- 日傘の柄の長さを S とする。
- 地面は水平な直線とする。
- 太陽光は平行に降り注ぐものとする。
- 自由に変えられるのは、日傘の角度 θ のみとする。
もちろん、実際の人体や日傘はこのような形ではありません。
しかし、数学では最初から複雑なものを扱うのではなく、本質を保ったまま単純化したモデルから考え始めます。
このような考え方をモデル化といいます。
また、太陽光を平行に考えてよいのも、このモデル化の一例です。
実際には、太陽から放たれる光は放射状に広がっていますが、太陽は地球から約1億5,000万 kmも離れているため、私たちの身の回りではほぼ平行とみなして問題ありません。
これは、地球が球であるにもかかわらず、学校の校庭や道路を平面として扱っても困らないのと同じ考え方です。
数学の問題にしてみる
図には二つの角度が登場します。
αは太陽光の向きを、θは日傘の向きを表します。
どちらも、地面(x軸正方向)から反時計回りに測った角度として定義します。
今回、私たちが自由に変えられるのは、この θ だけです。
一方、αはその時刻や季節によって決まるものと考え、今回は一定とします。
つまり、この問題は、
「θを変えたとき、体に当たる直射日光はどのように変化するのか。」
という問題に言い換えられます。
数学では、問題を解く前に、
「何を変えられて、何が変わるのか」
を整理することがとても大切です。
今回で言えば、
変えられるものは θ(日傘の向き)、
変わるものは 体に当たる直射日光の長さです。
つまり、「日傘の向き」という一つの変数によって、「体に当たる直射日光の長さ」が決まる問題になったわけです。
ここまで整理できると、日常の疑問が一つの数学の問題へと姿を変えます。
図を整理する
まず、図の中で既に分かっているものを整理します。
人体の長さを H、日傘の長さを L 、柄の長さを S とします。
そして、先程定義したように、太陽光の向きを α、日傘の向きを θ とします。
さらに、日傘の左端を通る太陽光を一本描いてみます。
この一本の光が、日陰と日向の境界になります。
そこで、この境界より右側の、人体に当たる直射日光の長さを A(θ) とおくことにします。
こうして整理すると、この問題は
「H、L、α を用いて A(θ) を表す問題」
と言い換えることができます。
数学では、問題を解く前に、このように「何が分かっていて、何を求めたいのか」を整理することが大切です。
次回予告
ここまでで、日常の疑問を「数学の問題」へと翻訳することができました。
しかし、図を描いただけでは、「垂直」と「太陽側へ傾ける」のどちらがより効果的なのかは、まだ分かりません。
次回は、この図をもとに「体に当たる直射日光の長さ」を角度 θ の関数として表していきます。
そして、その関数をもとに、「どちらがより効果的なのか」という疑問に、数学を使って答えを出してみましょう。
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