シリーズ 松本真 その7 | 松本真の未来創造提案書

松本真の未来創造提案書

南京都の風雲児、表現者松本が語る、
未来に対する提案書的ブログ

一応、理由づけて生きていた。
俺には音楽があるから!
俺にはロックがあるから!

理由が無くなった時、
人は活力を失っていく。

借金は減らない。
ついには住む場所すら失う。
嫁と二人で途方にくれる。
でも一応生きているから、車で過ごす事を決める。
バイトに行く。借金を払う。
安売りの弁当を買う。二人で分け合う。

バイトに行く。借金を払う。
減らない。途方にくれる。

ふと。思う。
もうそろそろ終わりかな。

二人で死のうと。
終わりにしてしまおうと。

でもできない。
後もう少しアクセルを強く踏むだけ。
できない。死ぬ事がとにかく怖かった。

ギターは一切弾かなくなった。
とりあえず借金の利子を払う生活。

バイトを辞めて就職した。
営業職。訪問販売。
喧嘩する。客とも上司とも。
その日に辞める。
そんな事が2、3回あった。

嫁は呆れてる。
でもなんとか働いてる。
利子を払わなきゃならないから。

そんなクソ野郎に、転機が訪れる。

生きてる意味なんて何にも無かった。
別に深い意味があったわけでもないけど、
せめて美味いもんでも食ってみたい。
前を通っては、その芳しいさに心奪われていた地元のイタリアンレストラン。
くしゃくしゃになった5000円札を握りしめて入る。
2500円のコースを2つ。
そんな安いコースなのに、前菜とパスタとメインが出てくる。
無言で食べる2人。
初めて食べるイタリア料理。
ため息と涙が出る。
メインは鴨肉とフォアグラのオレンジソース。

目をまん丸くする2人。
思わず笑ってしまう。
今までもこれから先も、こんなに美味いと感じる料理には絶対出会わないとおもった。

幸せな時間。生きる意味を感じる時間。
俺はこれを仕事にしたい!!

最後の借金。
これで最後。
10万円をかりてボロボロのアパートを借りる。

そしてあのレストランにお願いに行く。

「僕をここで働かしてください!!」

松本。23歳の夏の出来事。

修行は大変だった。
毎日毎日、怒られ殴られ。
それでもなんとか逃げずにいた。

給料は安かった。
とてもじゃないけど、借金を返せない。
でも辞めるわけにはいかない!!
これを辞めたらもう終わり。最後の最後!!

掛け持ちでバイトもする。
レストランの後、深夜から朝までラーメン屋。
少し眠ってレストラン。

体がボロボロになって、胃酸が逆流して嘔吐する事もあった。
でも続けた。続けなきゃいけない理由がもう一つできた。

24歳の誕生日を迎える前日に俺は
父親になった。

まだまだ寒い3月17日の事。

初めて見た我が子。
俺の人差し指をギュッと握ってきた。

生きる意味を得た23歳の最後の日。


それからの松本は、狂気的に働いた。
死ぬわけにはいかないから!!
とりあえず、やれる事はなんでもやった。

それはそれは、刺激的で大変な毎日だった。

でもそれは、また次のお話。
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