都落ちて意気消沈。失意のどん底で京都に帰る。
というよりも、ただただ気持ちが足りなかっただけ。
そのことを認めることが出来なかった松本19歳の冬。
今から15年以上も前。時代は消費者金融最盛期。
こんなクソみたいな俺でも、不思議と金は借りられる。
で、ギャンブルギャンブル。
バイト先もパチンコ屋。寝ても覚めてもパチンコ屋。
たまに大勝、常にちょこちょこ負ける。
大勝の金は湯水のように使い果たし、ちょこちょこの負けは借金に走る。
バンドは続けている。それでも一応は諦めない…ふりをして。
それで、なんとかバランスを保っている…ふりをする。
自分では気づいていた。多分、その先にはいけない事を。
今思えば、
行こうとする決意が圧倒的に足りてなかっただけ。
ギターをかき鳴らす!!ただただ叫ぶ!!!俺はまだ生きている!!
わかっていたけど、多分届かないって。それしかないからそれをやる。
そして、ギャンブルギャンブル。
たまに大勝、常にちょこちょこ負ける。
自分の金のようにサラ金のATMから引き出す。
気付いたらもう遅い。借金で借金を返している。
今の嫁さんと同棲していた。
バイトすら休みだした。
嫁さんは必死に働いていた。俺はギターをかき鳴らしていた。
嫁さんは真面目に働いていた。俺はうそぶいていた。
「俺はBIGになるんだ!!」
でも知っている。俺はその先にはいけないこと。BIGになんてなれるわけねぇ。
あー!!宝くじ当たってくれ!!!神様!!お願いします!!
でも宝くじ買う金がもうねぇよ。
ギター、売ろうかな??
もうわからない。なんで生きてるんだ??なんで生まれてきたんだ??
とりあえずバンドは続けている。とにかくやっているふりをする。
でも知っている。この先そんなに長くはないこと。
後戻りもできないけど、前に進むこともできない事。
22歳になった冬。
メンバーたちは口にする。俺が恐れていた事実を。
「そろそろ解散しようか?」
メンバーたちはそれぞれの道を歩く。歩く道がそこにある。
松本は??松本には…。歩く道すら残っていない。
残ったのは、中学の時の怯えた心と。雪だるまのように転がってできた借金だけ。
人生で最も暗黒の時代。
この先松本はどうなってしまうのか???
それはまた次のお話。